ピーマンの肉詰めには人肉が入っていると思っている女とその世界。
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活発だが、ピーマンの肉詰めには人肉が入っていると思っている女がいる。
何度も自分がピーマンの肉詰めを作ってあげても変わらない。
「お前、いつ人肉いれたんだ?」
「だから、入ってないって言ってるだろ。人肉。」
「でも、入っちゃってるじゃん。」
「それは豚肉だって。」
「これが豚肉なわけないだろ。正気か?どうやって豚殺したんだよ。」
「知らないよ。スーパーで買ってきただけ。」
「それに豚肉の味なんかわかんねえだろ?私みたいに毎週一回は食べてねえと。」
週一って逆に少ないと思う。
彼女はピーマンの肉詰めには人肉が入っていると思っている以外は普通だ。普通より胸も大きいし、顔も整っている。ピーマンの肉詰めだってしょっちゅう食べるものでもない。
しかし、僕はあることを思いついてしまったのだ。
「お、今日の晩御飯もまた、ピー肉かよ。」
「好きだろ?ピーマンの肉詰め。」
「好きだけど、こんなに食べちゃうと申し訳ないな。たまには肉の方をマンピーに詰めてやらねえと。」
「なに言ってるんだ?」
「なんでもねえ。それより、そこどうした?」
「ああ、ちゃっと怪我しちゃって。」
血はまだにじんでいたが、悟られないように包帯で何重にも巻いた。
「今日のピーマンの肉詰めはどうだ?」
僕は彼女がなんて答えるかドキドキした。
「・・・あれ?これ?豚肉?」
彼女の答えは僕が思っていたのと少し違っていた。
僕が時空操り女に連れられてきた世界は、至って普通の住宅街。新しい家が積み木を並べるように建っている。ゴミ捨て場にはマナーを守っていないゴミ袋が赤い張り紙をされて放置してある。ゴミ袋の中にはビニールに包まれた生ごみだ。生ごみはよく水を切って紙袋に入れなければならない。
「大学が近くにあるのか。ゴミ捨てのマナーを守れないのは都会から来た学生だ。都市では燃えないゴミもすべて燃やせるからな。」
「そんなことより、あなたーん。あなたの探す女はどこにいるの?」
「おそらくこの家の中だ。オイスターソースのいい匂いがする。」
僕たちはノックもなしに新しめの3階建て一人暮らし用アパート203に入る。
アパートに入ると、そこにいたのは黒髪ショートの元気そうな女とピーマンの肉詰め。
「この女がそうなのーん?」
「いや、違う。この女はただのピーマンの肉詰めには人肉が入っていると思っている女だ。」
僕はきれい目な皿にのった肉詰めピーマンをつまんでみた。いい油だとわかる。
「こいつを生き返らしてくれ。」
ゴミ捨て場のハエも加わり、黒坊主にしかみえない死者蘇生女が壮大な口笛を吹き始めた。
それを合図にしたようにピーマン肉は大三角形の結晶を無限に無限につくりだす。命が抽出されているのだ。
命の結晶は集まり集まって人の体をなした。それは巨乳をなした女の姿をしたタンパク質となる。
僕は生き返った女を見て気を失った。
そこまで美しかったからだ。脳が遮断を余儀なくするほどの美貌。血液が瞬間的に性器に集められるほどの麗しさ。
「肉の塊にまでなっても男を引き付けて病まなかったのか。」
だからマンピーの肉詰めをみんな好きなのだ。
僕たちは美貌女を殺してピーマンに詰めた。お弁当にもっていくのに最適化したのだ。
ピーマンの肉詰めには人肉が入っていると見抜いた女は仲間にした。彼女は物語の本質を理解することができる。
「お弁当集めの旅なわけ?楽しそうだな。」
ピーマン女は、本質に早くも気づき始めている。