地獄脳
この世界の設定
1この世界では本来人間がもっていない能力を急に手に入ることがある。これを陽性ポジティブと呼ぶ。
能力は妖精に感染することで手にはいる。妖精は目には見えないが感染者と意思疎通ができる。これによって感染者は自分の陽性を知る。妖精の知能は固有差が大きく、これからの研究対象である。
2どんな陽性が発現するかは諸説あるが、妖精と意思疎通できるという点から妖精とは自我の境界線があいまいになることで生じる幻聴ではないかと指摘した精神科医がいる。向精神病薬で幻聴が軽減することもその根拠だ。すると、精神と陽性とは深く関係があることは間違いない。つまり、精神への傷害トラウマが陽性に関係する。さらに陽性のパワーの強さもドーパミンやセロトニンの量が関係しているといわれる。想いが強いと陽性もそれにこたえてくれる。
3この世界は変な人がいる。
作者(tomo-p):この小説の作者。好きな小説家は森博嗣、谷川流、麻耶雄嵩、殊能将之、舞城王太郎。趣味は将棋(4段)
正岡:江戸時代から来たと見せかける人。知った風な口を利くときはたいてい知っていない。
人間は自分に都合のよい物事を信じる傾向にある。宗教やインチキ医療なんかにはまってしまうのも、それが原因だし、創作物のほとんども都合がいいようにできている。
しかし、現実もけっこう都合がいいことが多いものである。食べるものはたいていおいしいし、必要なものを楽しめるようにできている。邪魔なものは無意識化にとどまり、認識しないようにできている。
この世界は地獄。すべての物事が意識にのぼってくる。自分と他人の境界がわからなくなり、それは幻聴や妄想としてあらわれる。人は不安に悩まされ、緊張し、不眠に陥る。
脳を休める方法は睡眠しかない。脳はより疲弊し、神経細胞は破壊され、症状は強くなる。
「ほほう。自分の悪口が聞こえるわい。」
正岡は恐怖で易興奮性になったというよりは、空笑し妄想が出現しているようにみえた。
コロセ・・・コロシテヤル・・・クルマがキニナル・・・・メモニスベテカカナクテハ・・・・カレーパンにドクヲイレタ・・・・
七色の電波に乗って聞こえるその声は、自分をかきむしって、体の底をぬけていく。
「く・狂いそうだ。」
「もうくるっているんじゃ。病識があるのは症状のコントロールの第一歩じゃ。」
「これはいったいなにがおこっているんだ。」
tomo-pはなんとか正気を保とうとする。しかし、正気ではないのに、それを保とうとすれば、自らの思考、認識にゆがみが生じてくる。
死ねば助かる・・お金がたりない・・自分の先祖のばちがあたった・・自分は特別の血筋オオミコセヌイだ・・政府の毒電波のせいだ・・・ピーマンの肉詰めには人肉がはいっている・・・医者は薬を出して俺を殺そうとする・・・。
「いいか。お前は正常な思考とそれに集中力がかけているから、わかりやすく説明するぞ。それも何度もな。脳を休ませるんだ。捻挫みたいなものだ。」
脳を休ませるんだ捻挫みたいなものだ脳を休ませるんだ捻挫みたいなものだ脳を休ませるんだ捻挫みたいなものだ脳を休ませるんだ捻挫みたいなものだ脳を休ませるんだ捻挫みたいなものだ脳を休ませるんだ捻挫
「全然やすまらん!逆効果だ!」
tomo-pはコピペを繰り返す地文に激しくメスを入れた。
脳を休ませるんだ /捻挫/みたいなものだ /脳を休ませる /んだ捻挫みたいなものだ/
脳を休ませるんだ /捻挫みたいなものだ /脳 /を休 /ませるんだ捻挫みたい/
なもの/ だ脳を休ませるんだ /捻挫みたいなものだ脳を /休ませるんだ/ 捻挫
「眠るんだ。それには薬が必要か?罠かもしれん。都合は悪いだろう。悪都合だ。敵の前では窯のポーズだ。」
それは神経が振り絞った最後の悪あがきだった。
窯のポーズ
「ぐは、血がいっぱい出てる。ぐちゃぐちゃだ。どーしよう。ねえ。」
そう言ったのは聞こえた。
窯のポーズは鏡の陽性。全ての悪意を撥ね返す。
そうやって眠りについたtomo-pはまるで胎児のようだった。窯のポーズは胎児のポーズ。悪いことすべて撥ね返す。
「ゆっくり眠りや。」
正岡はわが子をみるようにやすらかに微笑んだ。そして刀を首に。それは今から切るための練習だった。
統合失調症の原因はドーパミンだといわれている。現在の抗精神病薬のほとんどはドーパミンをブロックする。ドーパミンの出すぎが神経を破壊するといわれている。
しかし、ドーパミンが少なすぎても神経を壊す。
天国《ドーパミンが少ない》も恐ろしい。
今日わかったこと
・人は都合のよいことばかり信じる。
・脳を休めるには睡眠しかない
・都合の悪いことを進めてくる人物は、実は本当に自分のことを思ってくれているのかもしれない。恋愛っていうのもそんなものだと思う。
・統合失調症で重要なのは初期治療と適切な量の薬剤。薬剤の効果は最低でも4週間で判断したいところであるのですぐにきかないといって量をあげないように。多すぎる薬も逆効果である。




