目は頭蓋骨キャパ越え前髪鰹節の彼女の場合
僕は目の前に変な女性があらわれ、その女性から好かれる体質である。
女性から好かれる体質なら当然、国家レベルである。世界中の研究者が論文を書くべきであるし、僕をモデルにした作品が世にあふれ経済を潤し、嫉妬で戦争が起こるレベルであろう。
しかし、僕の場合、ただ女性に好かれるわけでも、変な女性に好かれるわけでもない。
変な女性があらわれ、そして好かれるのだ。
今日、僕の目の前に現れたのは【目が大きく、前髪が鰹節で、語尾に骨がつく女】だった。
目は頭蓋骨のキャパを大きく超えるほど肥大し、髪の上に眉毛が存在するなんてまだいい方だ。性格のよさを台詞でアピールするためには、人の心を本能的に興奮させる骨という言葉を語尾に混ぜ込み、乳の大きさは数でカバーする方向の別進化体系にすすんでいる。前髪はよくみたら鰹節だし、何よりいいにおいがする。ナンプラーがシャンプーのにおいがするようになったのも最近のことなので、そのことを付け加えて考えてみても、彼女の匂いは最低でも涎以上だった。(涎はしっかりと臭かったからだ。)
はたして、この新感覚萌えに僕はついていけるのだろうか?!
無理でした。
彼女は死体のように床に寝そべる。僕が殺したからだ。
僕はまず、鰹節を剥ぎ取ることからはじめたのだ。はじめだが、彼女はしっかりと痛がり、毛根に絡みついた神経はしっかりと作用していることが分かった。
「痛い骨!」
反射のように声帯がふるわせた叫び声でも、性格のよさをアピールすることを忘れていない彼女の設定は、しっかりと遺伝子レベルで刻まれているようだ。
そもそも遺伝子レベルという言葉は怪しい。ウイルスですらもっている遺伝子。つまり遺伝子レベルというのは生き物にとって当たり前ということを表す言葉である。骨という語尾は当たり前。言語と脳がウィルニッケ領域に腐らないほどしっかり地図仕立てで配置させられたるに、この骨という語尾もまた、彼女の脳の構造から生じた生体反応のひとつであるのだ。
ならば骨という語尾がなくなったとき、それはマーカーの役割をはたすのではないか。
僕は彼女の唇を上からハンバーガースタイルではさみこんだ。これではもう「楽しからずや」も「骨」もしゃべれない。
彼女は次にどうするのか?
そもそも口を手で押さえられたぐらいで、遺伝子レベルの骨語尾を妨げられるということが不可解である。自分の手で試してみれば分かるが、まるで茶番。軽小説的予定調和である。唇は体積の割りに筋肉量が豊富で、手で押さえるぐらいなら簡単にぬらりといく。
なぜ彼女はしゃべらない?
それは口を開けたくない理由があるからだ。
たいていの場合、それはくちゃくちゃ音を立てて食べているように思われるのが嫌だからだ。口で味わいたい。
僕ははっとして、今度は鼻をつぐんでみた。
「やっぱり、口からナンプラーのにおいがする。」
前髪が鰹節なら、以前に髪を食べたことのある人間の口匂いは発酵臭そのものである。
「おまえ、髪食べてんの?」
僕はおそるおそる聞いてみた。
「違う骨。」
彼女の大きな目は狐のように閉じられていた。
「そっか。前髪が鰹なら、味蕾は魚類になることだって考えられる。」
僕が言ったとおりになる。もし、違うとしても、僕のことが好きな彼女は、味がよくしみ込むように粒粒した味蕾に前髪を移植するだろう。愛するということは移植できるということである。
「それより、君のこの大きな目。どうなってるんだ?」
「副鼻腔を犠牲にすれば可能骨。」
「副鼻腔か。」
「副鼻腔骨。」
「ちょっと待て。それだと副鼻腔骨みたいな骨があるみたいだろ。実際の副鼻腔は上顎骨とか、蝶形骨とからできているんじゃなかったのか?」
「そう骨。」
そういった彼女のうなじのゆるやかさは、油を塗ればすべりやすくなるだろう。蜜キレのよさを苗字にしただろう。
そんなことより、一番僕が許せなかったのは、乳が複数ついていたことである。
だから、僕は彼女を殴り倒した。
こぶしを使うよりひじを今度から使おうと思うのは、実際にこぶしをつかったことのあるものだけだ。僕は彼女に与えたダメージを自分のこぶしで感じ取っていた。
「このこぶしが炎なら、どんなんなっとんの?」
当然の疑問はとまどいながらぶつける。
「痛い骨。」
さっきのは痛くなったのか。僕はしびれるこぶしをなぜながら、そう思った。
僕がゴム人間なら・・・
僕は骨抜きになりたかった。彼女の遊ばれた胸にうずもれながら一億円を手に入れたかった。
だから僕は、彼女のマンカスを食べようとしたのだ。一番僕の好きなもの。検索エンジンとマンカス。
ジャンプしてマンカス食べたらすごく食べづらかった。のどよ。伸びよ。
のどが伸びた僕は呼吸困難で死ぬことになる。僕が生きるには、死者を蘇生させる彼女とのどののびを適度にする彼女の出現を待つこととなった。出現を待て!