公園の雪だるま
広い公園がありました。冬になると、その公園には雪が積もり、真っ白になります。
そうなると、子どもたちは大喜びで公園に遊びに来ます。
雪に包まれた公園で、子どもたちはさっそく雪だるまを作りました。
その雪だるまは、少し形が歪でしたが、とても大きく、子どもたちは満足して家に帰りました。
寒い夜に独り取り残された大きな雪だるまは辺りを見回します。
「もう誰もいない……。どうじてだろう? 寒くて心地いいのに、心がカタカタ震えそうだ」
大きな雪だるまは、静まり返った公園に降る雪を数えながら、その独りの夜を過ごしました。
***
次の日も子どもたちが公園にやってきました。大きな雪だるまは子どもたちの笑顔を見て、喜びます。
その日、子どもたちはたくさんの雪うさぎを作って帰りました。
また寒い夜がやってきて、大きな雪だるまは辺りを見回します。
大きな雪だるまの周りでは、雪うさぎたちが楽しそうに飛び跳ねていました。
「キミたちは元気だね。でもボクはキミたちみたいに飛び跳ねたりできないんだ」
重たい体を引きずる大きな雪だるまを励ますように、雪うさぎは雪の降る公園で踊り始めました。
「うわぁ、すごい! 寒くて心地いし、心も弾むようだ!」
大きな雪だるまは、雪うさぎたちのダンスを見ながら、楽しい夜を過ごしました。
***
次の日も子どもたちが公園にやってきました。友だちをたくさん集めて、雪合戦を始めます。
飛び交う雪玉を見て、大きな雪だるまはわくわくしました。
子どもたちが帰ると、大きな雪だるまはそのまま放置された雪玉を拾いました。
「ああ、ボクも雪合戦がしたいな」
そう呟いた大きな雪だるまに、一匹の雪うさぎが、雪玉をぶつけました。
「うわ、やったな!」
大きな雪だるまも手にした雪玉を投げ返しますが、簡単に避けられてしまいます。
さらに雪うさぎはみんなで協力して大きな雪だるまに、次々と雪玉をぶつけます。
「ずるいぞ、お前たち!」
そう言いながら、大きな雪だるまは笑顔で雪玉を投げたり、当てられたりしています。
やがて、疲れ切った雪だるまと雪うさぎたちは、眠ってしまいました。
***
その次の日、朝早く公園に一人の少女がやってきました。
「あら、だれ? 雪だるまに雪玉をぶつけたのは」
少女は雪玉で不自然に膨らんだ大きな雪だるまを見て、少し怒っているようです。
「かわいそう……。わたしがハンサムにしてあげるね」
少女はシャベルを使って、余計な雪を取り除いたりへこんだところを直したりして、大きな雪だるまの形を整えてあげました。
少女が満足した時には、大きな雪だるまはとても綺麗になっていました。
「そうだ、ひとりじゃさみしいでしょ? お友だちをつくってあげるね」
少女は石を一つ拾って、雪の積もった公園の中で転がします。しばらくすると、大きな雪だるまより一回り小さなかわいらしい雪だるまが出来上がりました。
「それじゃ、仲良くしてね」
少女はそう言い残して家に帰りました。
大きな雪だるまは、隣の新しい小さな雪だるまに声をかけます。
「やぁ、はじめまして」
「う、うん……。はじめまして」
小さな雪だるまはおずおずと大きな雪だるまに挨拶を返します。
「キミは大きいんだね」
小さな雪だるまは大きな雪だるまを見上げます。
「キミのほうがかわいいさ」
大きな雪だるまがそう言うと、小さな雪だるまは照れたように、けれど嬉しそうに笑いました。
すると、雪うさぎたちがいっせいに飛び跳ねだします。
「ここはにぎやかだね」
「キミを歓迎しているんだよ」
大きな雪だるまの言葉に合わせて、雪うさぎたちはさらに高く飛び跳ねます。
「ここは楽しいね」
「うん、キミが来てくれたからもっと楽しいよ」
それから、二人の雪だるまは雪合戦をしたり、雪うさぎを増やしたり、夜の星を数えたりしながら、楽しく過ごしました。
***
しかし、やがて春が近づくと、小さな雪だるまの体がとけてきました。それに気付いた大きな雪だるまは、自分の体を削って、雪をわけてあげます。
「キミが小さくなっちゃうよ?」
「大きいからだいじょうぶさ」
小さな雪だるまが心配そうに言うと、大きな雪だるまは笑って答えました。
それからだんだんと暖かくなっていき、小さな雪だるまも大きな雪だるまも、少しずつとけていきました。
それでも自分の雪を小さな雪だるまにわけていた大きな雪だるまは、いつしか小さな雪だるまと同じ大きさになっていました。
「キミも小さくてかわいくなったね」
「ああ、そうだね」
二人の雪だるまはそんなふうに冗談を言って笑いました。
そして二人の雪だるまがとけて、もとの形もわからなくなったある頃に、あの少女が公園にやってきました。
二人の雪だるまは、彼女を見ると言葉にならないありがとうを言いました、
少女はとけてくずれた雪のかたまりから、それぞれの中にあった石を取り出しました。雪だるまの中心となっていた石です。
「また来年つくってあげるからね」
少女は、二つの石を握りしめて、家に帰りました。
それから春がきて、公園の雪は全部とけてしまいました。
おしまい
ここまで読んでいただいてありがとうございます。
また次の物語で待っているからね。
また、その時に会いましょう。




