プロローグ「軍師目指すは新たなる地」
過去に執筆、投稿していたバトルメイカーの続編となってます。初めて読む方にも分かりやすいように書ければなぁと思いますが…はてさて、俺の力量でどーにかできるもんなのか _| ̄|○
港町アルクリフト。
城塞都市ダラスから暫く南下し、橋一つを渡った先にある小さな港町だ。
とりたて名産品や名所など無く、貿易も盛んではないこの町は、町と言うよりも船着場と呼んだ方がむしろしっくりくる。
そんな平凡殺風景な町の一角、舗装などされてもいない土の道の上で、何やら騒ぎが起きている。
何も無いこの町にとっては珍しいことであった。
「ヤだヤだヤだ〜!絶対にヤぁだ!」
少女が駄々をこねている現場だった。
珍しい光景というわけでもないが、その一行の姿から、物珍しさに人だかりが出来ている。
癖の強い金髪をポニーテールにしている少女が、地べたに座り込んで一人の青年に抗議している姿。
青年は宝石を目一杯ぶら下げた派手な長衣を身に纏っていた。
「仕方ねぇだろ、もうチケット買ってるんだし我儘言うなよ。」
困り果てたような青年の顔。
少女はとうとう泣き出した。
玩具を買ってと強請る子供とその親さながらのやりとりに、冷たい溜息をつく者が一人。
「全くもう…困るのは私なんだから、早く何とかしなさいよ、その馬鹿。」
ウェーブのかかったブロンドの長い髪。
車椅子に乗った彼女はやれやれと言った口調でさらりと流した。毒舌は得意技である。
「とは言ってもなぁ。」
「ここまで頑なになるとは思わなかったよ。これじゃ動かすのも一苦労だね…」
ボサボサの頭をぽりぽりと掻きながら、黒衣の青年が呟いた。
少女の懇願する視線…何とかしてくれと言いたいのだろう…を受けているが、どうすることも出来ずに困っていた。
「早くしないと、船出ちゃうんじゃない?」
半ば呆れたような物言いは、妖精の少女。
焔の様な赤い髪と紫の瞳が綺麗に栄えている。
「まずいな…すまん、力ずくで頼む。」
派手なローブの青年が、傍らに立っていた身の丈二メートルを越えようかという巨躯の男に懇願した。
男は静かに頷くと、少女をひょいと軽く持ち上げ、肩に担ぐ。
少女が一層泣き喚いた。
「ヤだヤだヤだヤだヤだ〜!!フレッドちゃんの馬鹿〜!!」
暴れる少女を物ともせずに歩き出す巨躯。
皆はそれに続いた。
行き先は、船。
あまり大きな船ではないが、新たな大陸に渡るための交通手段。
軍師フレッドの新たな旅立ちは、あともう少しで出足を挫かれる所だった。
人間と異形の者である有翼人とのハーフである弓使いの少女、コリンの我儘によって。
彼女が船を嫌がるのかフレッドは知っていたが、予想以上の反発であった。
まさかここまで頑なに抵抗するとは。
カランカラン、と出航の鐘が鳴り響いた。焦る一行。
「走れ!」
言われるまでもなく、全員全力疾走を開始する。
魔導師である車椅子の女性パールレインは魔法の力で地面すれすれを滑走し、異形の一種だが基本的に害を成さない妖精族であるフィオは全力で四枚の羽で空を切る。
巨人族の大剣使いグラットンは少女を抱えたままでも持ち前の脚力で街道を一気に駆け抜け、虎型の半獣人…ライカンスロープである黒衣の青年カムイは疾風の速さで船へと走る。
「待ってくれぇ〜ッ!!」
叫びながら何とか桟橋を渡りきり、船に突入する。
丁度架け橋が落とされる直前であった。
「イヤアアアアァァァッ!!」
同じく少女の悲鳴が聞こえたが、尾を引いて海原へと進む船と共に陸を離れていった。
軍師フレッドの新たな旅路は、新たな大陸。
騎士の国として名高いリクウィラ領へと向いた。
騎士の国リクウィラで、彼の新しい旅が始まる…
というか、他2作品と同時進行…つまり、三作品同時進行なわけで…ちゃんと出来るのか、俺(;´д`)更新はボチボチやりますが、不安です(;TдT)なら出すなよ、なんて言わないで下さいね(´∀`)