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美人な彼女

2011/10/20改稿

会社の同僚からの誘いで参加した合コンで彼女と知り合った。

彼女の容姿は一言で言うと『美人』、小さな顔に大きい瞳綺麗な鼻などの完璧なパーツ達が黄金比率通りに配置され、その顔にこの体あり!と当然のように外人のようなスタイルな彼女。彼女と町ですれ違ったら間違いなく世の男性諸君は振り向くであろう。


僕は彼女を初めて見た瞬間に一目惚れした。高嶺の花のような彼女が僕みたいな平凡サラリーマンなんか相手にしないだろうと思いつつも、僕はアプローチせずにはいられなかった。

結果を言うと……彼女と付き合う事が出来た。僕が押しに押したら、時間はかかったが彼女と交際するまでこぎつけた。


彼女は外見だけではなく、中身もとても優しく僕には勿体無いぐらいの彼女で僕は本気で結婚を考えるようになった。僕が早く結婚したいという考えは彼女にも伝わっていたのか、付き合ってから僅か3週間で僕達は入籍届けを提出することが出来た。

それからの結婚生活は順調で、それと同じく仕事も昇進して公私共にかなり順調のはずであった……。


昇進すれば当然忙しくなり、仕事が終わり帰る時間は毎晩深夜12時を回る。僕は奥さんのために必死に働いた。


今日は上司達と飲みに行き、深夜2時頃帰宅した。玄関の扉を開けると彼女が不機嫌そうに僕を見つめていた。

「なんで毎日こんなに帰るのが遅いの? 最近はお酒もよく飲んでくるみたいだし」

「仕事だよ、疲れているから先に寝るね」

その日は彼女と軽い口論をした。


昨晩に彼女と口論したばかりにも関わらず上司達との付き合いでまた帰宅する時刻が遅くなってしまった。静かに玄関を開けるとやはり彼女は不機嫌そうな顔で僕を待っていた。

「あなた女の人の匂いがする。もしかして浮気してる?」

「あぁ、今日は部長に誘われて、部長の奥さんがやっているスナックに行ったからじゃないの」

「そんなこと言って誤魔化さないでよ! 浮気してるんでしょ!」

「してないよ! くどいなぁ~何で仕事が忙しくて、お前がいるのに浮気しなきゃいけないんだよ」

僕は彼女と久々に大きな喧嘩をした。浮気はしていないが結局スナック行った僕が悪いと思って謝って終わる事になったのだが……翌日から日に日に彼女は僕を束縛していった。


最初は浮気の事をまだ引きずっていると思っていたので全然問題無かったのだが、今では1時間に一回は携帯の着信音が鳴り、携帯にでなければ会社に電話が掛かってくる。それでも、電話での束縛はなんとか我慢できた。


ある日、会社に『盗聴器、盗撮カメラ発見調査専門』の業者が入って作業をしている時、僕は初めて彼女に対して恐怖を覚えた……

『ピッーーーーー! ピッーーーーーーー!』

僕のスーツと鞄に反応したのだ、盗聴器発見器が。業者が僕の所持品を調べるとある物が出てきた。

「何だこれ!?」

「これは盗聴器ですね……見覚えがありますか?」

「すみません、全然無いです」

業者の人には覚えが無いと言ったが、正直僕は盗聴器を仕込んだ人物が誰か分かっていた。


(…………彼女だ。)


この日は仕事が終わってすぐに家に帰った。

「あなた今日は早いのね。それに何をしているの」

僕は急いで自分の荷物を纏めて、玄関に向かう。

「電話の束縛までは我慢できた、でも盗聴器はお前の性格を疑うわ! お前とはもう離婚する。」

彼女が何かを言って泣き崩れていたが、僕はそれを無視して家から出て行った。


その後僕は携帯の彼女の番号は着信拒否して、番号を通知しないのも拒否設定にした。会社にも事情を話し、彼女からの連絡は拒否してもらうようにした。離婚は弁護士の方に頼んでおいた。


彼女と別れてから1週間経ち、仕事が終わり新しく住みだしたアパートに帰宅したのだが……

(鍵が開いている? 鍵閉めたはずだったんだけど)

たぶん閉め忘れたんだろう。玄関のドアを開けると


『ジャーーーーーーーーーーーーー』

(ビクッ!)

少し驚いたが風呂場から水が流れ続けている音のようだ。

(誰かいるのか?もしかして彼女が来たのか?)

僕はゆっくりと風呂場の取っ手に手を近づけて、思いっきり扉を開けた。


風呂場には誰もいなかった。


さっきの水の音はどうやら水道管が壊れていただけだった。安心した僕はとりあえず冷静になり水漏れを修理してくれる業者に電話した。

「お電話有難う御座います。水道トラブル○○支店○○が承ります。……もしもーし、もしもーし……お客さん聞こえますか? もしもーし」


僕は何かの紐で後ろから首を絞められていた。相手の姿は見えないがこの椿の香水の匂いは彼女のものだろう――。

(彼女に殺されるんだ……)

恐怖は感じなかった。どこかで分かっていたんだと思う、あの執念深い彼女が来ることを。


僕は静かに目を閉じた。



意識が朦朧としながらも僕は目を開けた。

(ここは天国なのだろうか……?)


僕は首を絞められた事を思い出し、とっさに首に手を当てようとしたが両手が動かない、さらに両足も胴体も動かない。

首だけを動かし自分の体を確かめると自分の両手両足、胴など体のいたるところに手錠や鎖などの拘束器具がはめてある。僕が閉じ込められている部屋を見渡すと、目の前の扉から女性が入ってきた。


「あなた起きたの? ご飯がもうすぐ出来るから待ってて」

僕は自分の状況を理解してとっさに叫ぶ

「誰かぁぁ! 助けてくれぇー!」



「誰にも聞こえないよ、これから毎日幸せな二人の生活が始まるね」

外面も大事ですけど、内面も大事ですよね

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