虐められっ子の願い 弐
※9/21訂正
彼の外見は低身長、デブ、眼鏡。中身は人見知りで協調性がなく、いつもクラスの隅で読書を嗜んでいる。クラスで騒ぎまわっている男子グループからしてみれば、虐めの標的の的になるのは想像がつくと思う。当然彼は私の隣で虐められている。
真面目で学級委員長という立場の私はいつも彼らの虐めを止める。
「先生のに言いますよ!」と言えば彼らはつまらなそうな顔をして何処かに行ってしまう。
本当は私はこの役はあまり好いていない。なぜなら、私も虐めの標的になりたくないという思いと彼の態度だ。
彼は虐められているのに抵抗をしず、助けも求めない。暴力や恐喝など非人道的な行為をいくらされても絶対に抵抗をしない。そんな彼を私は好きにはなれなかった。
しばらくしてからこの虐めがクラスで問題になり授業一時間分の時間を使って話し合う事になった。私が先生に今のクラスの現状を伝えて、話し合うように提案したのだ。
先生を含めクラス全員で話あった結果、要約すると虐めを止めようという方向になったのだが……
時間が経てばクラスメイトは話し合いの事を忘れ、また虐めだした。学級委員長という立場である私は毎日のように彼に対する虐めを止める。虐めを止める度に彼に対して怒りという感情が大きくなっていった。
『何で、抵抗しようとしないのかと――』
私は彼を呼び出して、思いの丈を全てぶつけた。すると彼は小さな声で
「気持ちいいから……だからもう止めなくていい、正直迷惑で邪魔」と。
私は彼が言っていることを理解する事が出来なかった。彼の事が気味悪くなって、彼に何も言わず早々とその場を離れた。
そんな事があっても毎日私は彼に対する虐めを止めようとした。
ある日学校に行き、上履きに履き替えるために下駄箱を開けるとそこには虫の屍骸でいっぱいになっていた……。
あまりの出来事に唖然としていたら、後ろに気配がした。後ろを振り向くとそこには虐められていたあの彼がいた。彼はにんまりしながら口を開けた。
「仲間入りだね。これから気持ちいい毎日が委員長を待ってるよ、すぐに分かるさ」
彼はにやにやしながらその場を離れていった。
虐められっ子=不幸、可哀相ではなく、虐められっ子=興奮、快感っていう人もいるかもしれないですね。