家族の一員
9/20訂正終了。
私の家には父、母、私、犬の4人の家族がいた。
私が幼稚園に入園したばかりの時は本当は皆と遊びたかったけど、人見知りなせいで私は全然友達が出来なかった。家の隣の公園には毎日自分と同い年の子達の遊び声が聞こえる。私の父はそんな私を見かねて犬を買ってきてくれた。毛並みが黒いので名前は『クロ』。友達がいない私は毎日毎日『クロ』と散歩したり、公園で遊んだりした。遊ぶ時も寝る時もいつも私のそばに『クロ』がいた。私とクロの関係は飼い主とペットの関係ではなくて、友人……いや、それ以上の関係であった。
小学生に入学してから『クロ』に興味を持った同い年の子が私に話しかけてくれて、私に初めて人の友達が出来た。『クロ』と一緒に過ごす時間は少しずつ減っていったけど、『クロ』には感謝していた。『クロ』がいなければ私に友達が出来なかったと思うから……。
小学四年生の夏、私の家に黒い服を着た男の人達がたくさんの段ボールを持って押しかけてきた。その日からしばらくして黒い服を着た人にパパが連れて行かれた。ママは泣き叫び私は理由も分からず必死でママを慰める、『クロ』は男の人達が居なくなるまで吠えていた。
そこから毎日が地獄のような生活だった――今まで友達と思っていた子は私と遊ばなくなり、家には『死ね!』『出て行け!』などの落書きを書かれ、近所の人や商店街の人に数多くの嫌がらせを受ける日々。――ある日学校から帰ると普段はあまり吠えない『クロ』が犬小屋から家の中に向かって吠えていた。私は何かあったと思い、家に急いで入る。
『マ……ママ?』
ママは首に紐を巻きつけて、天井からぶら下がっていた。
ママは自分で命を絶った……
育ててくれる人がいなくなった私は施設に預けられることになった。施設の人は私に『クロ』は飼えないと言ったので、私は必死に抵抗したが叶う事はなかった。施設に行く事になった当日、私は施設に行く前に『クロ』に別れを告げる事にした。
いつも遊んでいたはずの公園に行って『クロ』に泣きながら
「もうクロとは一緒に住む事が出来なくなったの、ごめんね……」
私は『クロ』から離れようとしたけど、私についてこようとする。私は泣きながら大きな声で
「クロ! お座り! 待て!」
この二つはクロの得意の技だ。まさかこんな時に使うことになるとは思わなかった。
『クロ』は座って、舌を出しながら尻尾を振っている……
私はもの凄い罪悪感に襲われた。涙が止まらず「ごめんなさい」と一言言ってその場から離れる。
一週間後私は施設を飛び出して『クロ』に会いに行った。
三人を捨てた父。二人を捨てた母。一人を捨てた私。私には出来なかった……。
家族も同然だった『クロ』を捨てることなんて。
私はあの公園に着き『クロ』を見つけた。体は痩せすぎて骨と皮だけになっていてかなり弱っている状態だった。そんな姿になりながらも私の待てという指示に従っていたのだ。私は涙を流しながら「ごめんね、ごめんね……」と『クロ』の頭を撫でた。『クロ』は少しだけ尻尾を振って目を閉じ、動きを止めた――
それから私は中高と卒業、就職もした。年齢も34歳になり、今では10歳年下の彼氏もいてもちろん将来も考えている。
そんなある日彼からプロポーズされた。私の返事は当然OK。プロポーズ後、彼が行きたい所があると言って私を助手席に乗せた。目的地に着いて彼が私に
「俺さぁ、前に捨てられたんだよね……今度は捨てないよね?」
そこは公園だった
日ごろあなたはペットに対してどう接していますか?