睡眠時遊行症
※2011/8/25訂正
僕は不思議な体験をする。
朝起きると僕の足の裏が真っ黒で、体のどこかには必ず小さな切り傷があり、パジャマには血痕がついている。そういう体験をするようになったのは高校を入学してからで、今日が3回目の体験であった。1回ぐらいならすぐに忘れそうなのだが、さすがに3回もなると怖くて仕方が無い。僕は親に相談して医者に見てもらうことにした。
病院に行き医者に診断してもらった結果、僕は睡眠時遊行症だと診断された、俗に言う夢遊病だ。医者の説明での原因は興奮状態で睡眠したり精神的なストレスが多いとされているが、はっきりとした原因が分からない症状で、一応薬物治療が出来るらしい……
僕は医者から薬をもらい、しばらくは様子を見てくださいと言われたので様子を見ることにした。だが僕の病気は治る事は無かった。
ある日僕の家に大学の先生が来た。
僕の親の知り合いで深夜、カメラで僕の事を色々調べたいと言うのだ。僕は始めは反対だったが、調べる事により治す方法が見つかるかもしれないと言われて渋々了承した。カメラの設置はトイレと風呂、親の寝室以外に計20個設置する事になった。しばらくして大学に呼ばれて僕と親は大学に向かった。
大学の先生は「コレを見てください」と言ってビデオを再生した。
(……僕の家だ)
そこに映っていた映像は僕が深夜にベッドの下から包丁を持って、外に出て行く映像だった。
僕は怖くなった。
包丁をあんな所に隠していた事なんて見覚えが無い。僕が朝パジャマについていた血痕は、包丁の件を考えたら恐ろしかった……
もしかして僕は深夜に誰かを殺しているのではないかと思って先生に確認した。
先生は分からないので僕のパジャマと包丁についている血痕の血液検査をすると言った。その日の夕方、先生に血痕がついた服や包丁を渡した。先生は「明日には分かるので明日連絡します」と言われ、僕達家族は家に帰った。
もう時間も遅くなって、家族で食の進まない夕飯を食べて寝た。
次の日、僕が起床した時に異変に気がついた。パジャマが血痕だらけで、部屋が誰かに漁られたようにぐちゃぐちゃに荒らされていた。僕は急いで自分の部屋の異常を親に見てもらおうと親のもとに向かう。
階段を降りて僕は一瞬で固まる。
父と母が血だらけで床に倒れていたのだ……
その後の記憶は覚えていない。気が付いたら病院のベッドの上にいた。
あの後、大学の先生が家に血液鑑定を知らせるために家に来て僕達を発見したというのである。
それから僕はこの病院に連れて行かれたらしい……
しばらくして裁判をする事になり、僕が親を殺したのが分かった。
検察側の証拠で出したのは家に取り付けてあるビデオカメラ。
僕が深夜に起きて包丁を探して部屋中を漁り、一階に降りて僕が外に出ようとしたら親が止めようとして僕がキッチンにある包丁で刺し殺した映像がのこっていた。
病院の先生や大学の先生などの証言で無罪となったが、僕はどうでもよかった
僕に残されたのは自分の手で人を殺してしまった『現実』だけだから
10年たっても病気は治らず
僕は今でも精神病棟の鍵を閉められた一室で夜な夜な睡眠時遊行症を繰り返していた
夢遊病の症状が出ている人を見つけても、止めようとしたり起こそうとしたりしてはいけないです。過去に止めようとした親が殺されたという実話があるので……