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初ドライブでの

※2011/8/18訂正

3週間の自動車免許の合宿を終え、自動車免許を取得した。僕は友人を誘いドライブに行く事になった。

「事故んなよぉ~俺まだ結婚もしてないし、まだ人生を謳歌してないから」

コイツは幼稚園の時からの幼馴染であり、僕の数少ない友人である。

「大丈夫だって! 骨はちゃんと拾うからさぁ(笑)」

「コラァ! 死ぬ前提で話すな!」

お互いふざけあいながら夜の田舎道をドライブする。僕はたまたま見えた港に入る船を見た時、友人が大きな声で「ブレーキ!」と言った。

僕は港の船から視線を前に戻すと、目の前に40代ぐらいの男性と5歳ぐらいの女の子が道路を横断しながらコチラを見つめていた。僕は慌てて急ブレーキを掛けたが同時に二人を轢いてしまった……

あまりの衝撃にフロントガラスにひびが入った。

車を停めて僕と友人は車を降りた。友人はその二人の首筋に手を当てて、僕の方を見て静かに首を横に振った。

「どうしよう、まだ車の保険にも入ってないのに……俺このまま刑務所かな」

僕は二人の容態よりも自分がこれからどうなるかで頭がいっぱいになった。そんな様子の僕を友人が見て

「この二人埋めるぞ」

錯乱状態の僕は友人の指示に従い、車のトランクに二体の死体を入れた。その後車は友人が運転して、しばらく経つと誰も入らなそうな森に着いた。友人は森に着いてから地面を素手で掘り出した。僕も友人に言われるがまま地面を掘った。深さ1.5メートルの穴を掘って、友人は小さな声で

「ここに埋めるぞ、手伝え」

僕と友人は二体の死体をそこに埋めた。埋め終えたら洋一は僕に向かって

「今日は何も無かった。俺もお前も何も見ていない。分かったな?」

僕はその言葉に静かにうなずいた……

二体の死体を埋め終えた僕達は、何も喋らず帰った。



あの事があった日から僕と洋一は会わなくなった。ただ僕は1年ぐらい、殺してしまったという恐怖と警察に見つかってしまうという恐怖に押し潰されそうになった。

ただ、人間は不思議な生き物である。たとえ人を殺したとしても時間が経てばある程度、罪悪感が薄れていく。



次第に僕は精神的に回復して、日常生活に戻りつつあった。


日常生活に戻って、会社に入り、結婚もして、子供も生まれ、家も買った。

あの日から10年も経った今は、あの日の事も忘れて幸せな生活を送っていたはずだったが、突然自宅に連絡が入った。


それは……


昔の友人が包丁で刺されて死亡したという連絡だった。連絡後、僕は家族を連れて友人の実家の近くの病院に向かった。病院についた僕はナースに案内してもらい、そこには洋一の母親と父親、警官2名。洋一の両親は号泣していて、警官が両親の代わりに僕に説明してくれた。


洋一が何者かに刺され、その後通りかかった人に発見されて病院に着いた頃にはもう遅かったらしい。警官の説明後、友人の変わり果てた姿を見て僕は泣いた。泣き疲れた僕は嫁と娘と一緒に一旦帰る事にした。

帰り道の途中

車が故障したらしく、道路の脇に車が停まっていて50代ぐらいの人が助けを求めていたので僕は車を停めて声をかけた。

「大丈夫ですか?」

「いやぁ~ちょっと故障してしまったので、近くの駅まで乗せてくれないですか」

僕はそのお願いに快くOKを出して、彼を助手席に乗ってもらうことにした。

「こんな時間にこんな田舎に何か用があったのですか?」

「娘がこの近くで事故に遭いまして……今日はあの日からちょうど10年経ったので、花束を持って来たのですよ……」

「それはお気の毒に……余計な事を聞いてしまってすいません」

「いや、いいんですよ!あの事故は私達の注意不足だったのですから。ただ、事故を起こした人間が今でものぅのぅと私の目の前で生きているのは許せないですけどね」


『プスッ』


そう言って彼は僕の脇腹を刃物で刺した。

後ろで妻が叫んでいる。


車はガードレールを突き破り、崖から落ちていった……

あなたは忘れかけている過去の過ちは無いですか?

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