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■ プロローグ

読むなとは言いません

ブラウザバックしろ、

作者は根暗です(重要)

とあるゴブリンの御話


むーかしむかし

まだこの大地に「人」は「人」であり、

「魔」は「魔」でしかなく、

神々の息遣いだけが満ちていた頃。


その時代、地の底に巣食う種族がいた。

名を、ゴブリンという。


彼らは醜い。弱い。

群れなければ瞬く間に死ぬ。

知能も誇りもなく、ただ喰い、ただ増え、ただ殺されるだけの種。

世界の端っこに、ひっそりと、罵られるように生きる存在。


そんな凡俗の群れの中、

“ひとつの異端”が産声を上げた。


その母は、ゴブリンの雌ではなかった。

白い髪と黄金の瞳をもち、病的なほど美しい、人間の少女だった。


彼女は“苗床なえどこ”と呼ばれ、

ゴブリンたちに奪われ、縛られ、ただ“産む器”として囚われた娘。

しかし彼女は苗床に相応しい資質──魔力、生命力、繁殖力のいずれも備えていなかった。


だからこそ、彼女は出産の瞬間、

血潮が噴水のように溢れ、息を吸う暇すら無く、

静かに死んだ。


生まれ落ちた子ゴブリンは、

母の死体をじっと見つめた。

その瞳には、悲哀も迷いもなかった。


ただ、生存本能だけが燃えていた。


そして──

母の肉を喰った。

骨も、臓腑も、髪の一本すら残さず、

すべてを喰った。


その瞬間、彼は変質した。

弱きゴブリンとは異なる進化の嵐が、

骨と肉を裂くように彼を襲った。


──彼は大人になった。

生まれた直後に。


皮膚が硬化し、

筋肉は鋼線の束のように伸び、

心臓は遅くなり、主は魔力によるエネルギー循環が彼を生かした。

生物の枠を消えて、彼は食うことも、寝ることも必要ではなくなった。

それでも性欲はゴブリンそのものだが、それはさておき、


いずれにしても、彼の身に起こったのは、

ただの進化では説明のできぬ現象、

いわば"特異点"そのものだった。


――――――――――――――


その頃、

この大地では「人族」による異種族への虐殺を始まった。

神のお告げと称して、手始めに滅ぼされたのが、コボルト。

コボルトのついでに、オークの半数が消え、

そのついでにオーガが約三割死滅し、エルフも妖精族も軒並み奴隷化し、

魔物は人の足音を聞くだけで恐れ慄くようになった。


百年かけて虐殺行為は行われ、

大陸の魔物のほとんどが駆逐されていた頃、ついでついでとばかりに、

大陸全土に及ぶ、雑魚モンスター


ーーーーゴブリンの狩りが始まった。

何故最後に取って置いたのか、単純に数が多すぎる。

弱い癖に繁殖本能だけがいっぱしの魔物。


彼が産まれたのが、この時期だった。


数えきれないほどの洞窟は焼かれ、群れは貫かれ、

苗床に適した女は奪われ、残ったゴブリンは虐殺されていった。


彼の群れも例外ではなかった。


仲間が殺されても、

苗床にされていた女が奪われても、

洞窟が崩れ落ちても、

彼は気にしなかった。


ただ洞窟の水場で、

静かに水を飲んでいただけ。


突如、その背後から──

一人の女騎士が飛びかかった。


剣は彼の皮膚を裂けず、

炎の魔法は皮膚の表面を焦がしすらできず、

雷撃は毛先一本すら揺らせなかった。


女騎士は恐怖し、叫び声を上げた。

その瞬間、彼の殺意が芽生えた。


彼は騒音が嫌いだった。

群れの中でも、声の大きい者から順に殺して喰ったほどに。


だから女騎士は、

首をへし折られ、即座に殺された。


彼にとって女騎士は“苗床”ではなかった。

性の対象ですらない。

人が猿に欲情しないように、

彼もまた、そこに価値を感じなかった。


ゆえに殺した。

ただそれだけだった。


――――――――――――――


洞窟を出た彼は、数千の人族の軍に囲まれた。

彼はその光景をアリの群れのようだと感じた。


巨大な灰色のゴブリン。

その存在だけで、人間に強い恐怖心を植え付けた。


始まるはひたすらの集中砲火。


矢の雨。

魔法の嵐。

槍の突撃。


そのすべてが、

彼の皮膚を貫くことはできなかった。

目玉に当たろうが、口の中に入ろうが、粘膜層すらも傷付けず、

彼はあくびして、しばらく人間の攻撃の終わりを待った。


マナを尽き、矢が尽き、槍が折って、

そしたら英雄たちの果敢なる自殺。

剣が突き立てられ、刃を触れるだけで、バキバキに砕けた。

毒を、糸を、爆破を、ありとあらゆる方法を試したが、

全てが無為に終わった。


彼が一歩踏み出す。


それだけで、人間は恐怖で後ずさった。

二歩、三歩ーーーー

次第にに軍勢は崩れ、逃げ出し、

軍隊は瓦解し、人は己の命だけ惜しみ、叫びながら逃げた。


誰もいなくなって、彼は逃げる人族を追うことにした。

そこに意図はなく、ただ人族を追うと、

その反応が、ほんの少し面白かっただけ。要するに暇つぶし。


やがて彼は巨大な壁に囲まれた場所、

人族の“巣”へ到達する。


壁上から人族は必死に足掻いて、矢と魔法の雨が彼目掛けに降らした。

当然ながら通じるはずもなく。

擽るような感覚さえなかった。


彼は指先で壁に触れ、

コンクリートと鋼鉄の感触が、

ゴブリンの巣穴と違って、新鮮だった。

彼は軽く叩いた。


──それだけで城壁が陥落した。

張りぼてにも呼べる杜撰な巣だ。

彼は本気でそう思った。


城壁の中の人々は悲鳴を上げ、逃げ惑い、

彼はうるさい者から順に殺し、喰った。


そしてそこで、

彼は、彼女の存在と出会ってしまった。


――――――――――――――


崩れゆく壁に民家、

叫びと断末魔が絶えず耳元で流れる地獄絵図。


ひとりの幼い人間がいた。

白く美しい髪、黄金色の純粋な瞳。

彼の母と呼ばれるメスと瓜二つ。


目と目が会う。

しかし幼女は叫ばず、逃げず、

胸の前には一体の気持ちわりぃ

“ゴブリンのぬいぐるみ” を抱いていた。


幼女は、彼の顔をじっと見ていた。

惚れた。幼い彼女は、彼を見惚れた。

それを、彼は感じ取った。


その瞬間──

彼の中に“初めての衝動”が生まれた。


それは殺意でも飢えでもない。

ただひとつ、言葉にできぬ欲情だった。


彼は幼女を抱き上げ、

ぬいぐるみを奪って投げ捨てた。

幼女はぬいぐるみを失ったことに気づかないほど、

彼から目を離さなかった。


この出会いこそ、

世界滅亡の始まりだった。


――――――――――――――


逃げる人族を追い、殺し、喰い、

彼は幼女に食料を与えようとしたが、

幼女は人肉を食べなかった。


困った彼は、人間を捕まえて問いただした。

その答えは

「人の肉は食わない、生の肉も食えない」と。

脆弱な命だ。彼はそう思った。


彼は魔物の豚を捕まえ、彼女に害のあるマナを取り込み、その肉を焼いた。

幼女に与えると、幼女は笑顔になった。


彼女の笑顔を見て、

彼はどうしようも無く衝動に駆られ、そして射精した。


顔から垂れてくる精液を、幼女掌ですくみ、

口に含み、飲み込んだ。

脳には耐え切れぬほどの情報が幼女の中に入った。

幼女は苦い笑みを浮かべたまま、すべての精液を飲み干し。

そして、“知恵”が宿った。


彼の添い寝をしているその夜。

寝てる彼の隣りで、彼女は嘆いた。


それは彼には理解できない言葉。

囀るような声で、彼女は言う。



「ハア、、、、


転生したと思えば、


いきなり人類滅亡じゃねえか


まあ、"おれ"さえよけりゃ、どうでもいいがな、、、


しっかし、まさか女になったとは、、、


ていうか、何でこんなにコイツに好かれてんだろう、、意味わかんねえ、、、」


そう宣う幼女だったが、なぜかまったく離れる気がなく、

それもまた彼女にとって、変な気持ちだった。


――――――――――――――


彼は幼女を携えて、人族の後を追い、

再び巨大な人間の巣に辿り着いた。


しかし、やはり指先で崩れるほど脆かった、

彼は幼女と共に人の巣に入った。


騒いだものは皆殺しに、食らう。

見つかった食い物と水を幼女に与えた。

殺して食らって進み続け、大きな建物を見つけた。

潰そうと思ったが、幼女は両手で彼の顔を抱きしめ、頭を横に振る。

びくびくと、彼女も実は結構怖がったが、彼は素直に従った。


そして幼女は大きな声で叫んだ。

大まかな内容は

「魔王がきた、みんな殺される、早く逃げろう」

的な単純なものだった。


そしたら、人がわらわらと出てきた、

みんな死にたくない一心なのだろう。

だが残念ながら一人残らず喰われ死んだ。


やがて、一人の太った人族のオスが近寄ってきて、ひれ伏した。

幼女は、彼が人族の国の長だと言った。


オスは膝をついて、ぶつぶつと何かを言った。

幼女がそれに応じて、口を開く、

すると太った人族は青ざめて、騒いだ。

故に殺した。




『どうか、どうか、

我らに慈悲を、偉大なる魔王様よ!

我らの全てをアナタ様に捧げると誓う!』




『、、、おじさんって、アホなん?

どう見ても詰みやん、

コイツにとって、女も、金も、食料も、

人間が持ちえる全てが、たぶん、

おれの髪の毛一本よりも劣るぞ?

足掻くな、大人でしょ?ていうか、王だろう?

王様なら王様らしく、潔く死ねや、

みっともない』


『だ、誰だ貴様ーー!

人間が、君みたいな少女が、まさか、、

こんな怪物を、飼いならしてるというのか!?

な、なら頼む、わしだけでいいから、何でもするから、命だけは助けくれ!』


『はぁ、、、おれ、コイツの女だから、助けてやれないわ、すまんな

それと、叫ぶと、、、、あ、もう終わりか』


『そ、そんな、、いや、わしは、わしは王じゃzーー!』



巨大な都市を陥落させた後、

彼は彼女と共に、

人間の国々を次々と破壊し、

鏖殺の限りを尽くした。


その過程で──

"うっかり"原種人類が滅んだ。

これは彼女にとっても意外なことだった。

もっと数が多いと思ったから。


しかし、人は生き延びるため、

人間に模したもの、人間モドキを作った。


人間モドキは、彼を崇め、捧げ、進んで彼に喰われようとした。

なぜなのか、彼には理解できなかった。


人間モドキ、

この存在は、錬金術が発達した世界なら、

またこう呼ばれた

ーーーホムンクルス、と


人という種は破滅に抗おうとした、

しかしできなかった。


破滅する、みんな死んでしまう。

ならば次の「人間種」に託した。

ホムンクルスは、マナコアのある、人間種。


人間は、イメージで魔法を駆使する。世界のマナを利用し、魔法を繰り出す。

だがマナコアの生物は、マナを取り込み、自身のマナを魔法に変換し、繰り出す。

要するに、ホムンクルスは、厳密に言えば、魔物に分類されるだろう。


それでも構わない。

その血の大半は人間、見た目も人間とさほど変わらない、当然繁殖もできて、

原種よりも身体能力が強化されてる。

けれど文明は終わり、必然的にホムンクルスの学習能力が制限され、次第に低能化。


つまり、新人類は 馬鹿である。

残存な人間は文明のすべてを人間モドキ教わる前に、数少ない人間同士の中で内紛が起きて、教える前に、人間が絶滅した。


つまり、人間モドキは赤子同然のままにこの世界に放り込まれたのです。

当然、前文明を維持することはできず、

そのまま衰退していった。


彼が人間モドキを見つけるや否や、

新人類は、“彼”を創造主──神──魔王──

概念上の始祖、と勘違いし、崇めはじめた。


馬鹿も過ぎればおめでたいもの

人間モドキは、

彼に喰われたいと願い、

彼の前にひざまずき、

自ら捧げ物になろうとした。


だが、白い髪の少女はそれを嫌った。

彼女は、人間が滅んだことを悟り、

もし人間モドキもを滅んだら、

彼女はこの世界でたった一人の人間になる。

そう考えると、彼女は悲しみを覚えた


「もしまた彼らを食べるなら、

 おれと一緒に寝るのは禁止する

殺すなとは言わねえ、滅ぼすな、いいな?」


彼女のその言葉は何よりも重みが帯びた。


それにより、

人間の完全なる滅亡は免れることになった。

たとえ衰退しても、人間さえ生き残れば、

やがて文明を復帰できるだろうと、彼女は呑気に考えた。


彼は新人類を喰うことをやめ、

代わりに、人間モドキに、

彼女に食べ物を捧げるよう命令した。


――――――――――――――


二十年が経ち、

少女は大人の女性となった。


白い髪を靡き、金色の瞳をもった彼女は、

後の人類の間では“女神”と語られた。

『身を挺して災害から我々を守った白き女神』


だが実際は、彼女は彼の苗床になって、

一緒にかつて滅ぼした国の城に住んだ。


最初の二年は交尾しっぱなしだった。

昼、夜、夕、ひと時の休みもなく、彼は彼女と交わり、多くの子を産ませた。

恐らく休憩するときは、ご飯と水と妊娠するときだけだろう。

苛酷なのかと言えば、最初の一年だけだった。

人は慣れるもの、たとえどんな地獄であろと。

ましてや、この地獄は、拒絶できるから。


二年もこれだから、

さすがにキツイと彼女は彼を断った。


すると、彼はしょんぼりして、聞き入れた。

その代わりに、彼女は彼の血を飲み、寿命を延ばし、力を保ち、生命力を永遠に保たれた。

ペースをゆっくりにし、

だが交尾は続けられた。

彼女は次第に彼を愛おしく思い、

拒む時間が徐々に減らした。


彼は、彼女を何よりも優先した。

自らの子が乳を求めても許さず、

彼女だけを愛した。


しかし彼女は死を迎えられた、

千五百年の命。たったの千五百年。


死の直前まで彼女は美しく、

死の直前まで彼らは交わっていた。


なぜ彼女が死んだのか、

彼には理解できなかった。

ただ再生することを祈り、


彼女の死体に腐敗しない術を施し、

自らを封じ、

復活させる方法を探し続けた。


――――――――――――――


五千年が経ち、彼女は復活することはなかったが、それでも彼は待っていた。

やがて“人族の女神”が現れた。


世界の均衡を保つため、

魔王たる彼を滅ぼそうとした。

愚かな女神は剣を彼に突き立て、

魔法の炎で彼を焼いた、

だが剣も魔法も祈りも、

やはり彼には通じなかった。


女神は驚き、慄いて、怯えた、命乞いした。

だが意味はなかった。

彼は女神の体を千切り、喰った。


神を喰らい、彼はやっと転生の知識を得る。

彼は、彼女の死は

魂の流転に引っ張られたことを知り、

更に彼女の魂は未だに肉体の中にいるとわかった。彼女を転生させることにした。


そして、彼は彼女を追うため、

自らの転生の用意も整えた。


数万年が流れ──

光る転生の魔法陣の中横になりで、

目を閉じた。すると、夢を見た。

白髪金眼の女と再会する夢を


夢の中で、

彼女は彼にこう言った。


『来て』


翌朝、彼の身体から木の枝が生え、

何の予兆もなく、

彼は死んだ。


――――――――――――――


“彼”の死は世界規模の異変となった。


神々、悪魔、人間モドキは、

彼の肉体を奪い合う、

神魔戦争が始まった。


戦争は数百年間続き、

神は人間モドキを味方にし、

人間の勇者を使って、悪魔を冥界へ追いやった。其処でやっと神魔戦争が終結した。


彼の肉片は数億に散らばり、

魂も数億に砕け、

その欠片に触れたものは狂気に堕ち、

神すら死ぬ毒となった。

神は彼を恐れ、強大な封印を施した。

宇宙の中に、彼の肉体を閉じ込み、

また、異空間の中に、彼の魂を縛り付けた。


だが──

魂の欠片が、一つだけ封印し損ねた、

いええ、封印には成功したが、

しかし、その破片は封印も、

それを行った神でさえも喰い破った。


その欠片は人の世に流れ、それに触れたもの、

人ならば英雄、魔物であれば魔王、

彼の因子に触れたものはみな子を残さず、

命の潰えた時に、必ずこう言った。


『また見つからなった、

君は、どこにいる』


それを理解できるものは、いなかった。


――――――――――――――

時が過ぎゆく。


空を仰ぐと、どこからか鼻唄が聞こえた。

黒髪の少年は声を辿り、

窓の向こうに向かってそっと言った。


『ここにいたのか』





#リザルト

おれの子供の数:

よく覚えてないが、彼によると十万人以上はあるそうだぞ、すごいでしょ(呆れ)

あ、でも名前は覚えてるぞ、さすがに名付け親だから、、、いやデレじゃねぇし!親だからな! (メス堕ち)#

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