第5章④
翌日、教室に入るとエデンがいた。
不登校のユカが来ている。
いおりを含めて、3人がなにやら話している。
担任の教師が教壇の上に立っても、生徒たちの騒然とした空気は止まない。
いおりの後にユカ、エデンが教壇にのぼる。
担任の教師は分かっているようで、数歩脇にどけた。
教卓にいおりが立つ。
気付くクラスメートたちの視線がそちらに止まる。
いおりがスっと息を吸う。
「静かにしてください」
ガヤガヤしていたクラスメートたちが何事かと好奇心の色を見せた。
空気が静止する。
「名前呼ばれた人は空き教室に集まってください」
クラスメートたちが交互に友達の顔をみて、困惑を示した。
片手に持った名簿をチラリとみる。
「ドーマ」
呼ばれたと同時に面食らう。
複数の視線がドーマに向けられる。
「以上です」
「せめて説明してほしいな。何すんだよ」
ドーマが叫んだ。
黒い瞳が睨む。
口が開く気しない。
すると、代わりにエデンが口を開く。
「決まってるだろ。断罪する」
横のユカがうんうんと頷く。
「ぼくもドーマに操られた。復讐する以外考えられないじゃん」
ユカの嘲笑する目が鋭く突き刺さる。
呆れる。
ぼくが何をしたっていうんだ。
髪をくしゃくしゃに乱す。
ため息をつくと、挑戦的な笑みを浮かべる
「そうか。やってみろ。不毛なことしやがって」
担任の教師が時計に視線を移す。
キッと視線が向けられる。
「ドーマ。空き教室に移動しろ」
いおりが後ろの2人に「いこ」と声をかけて教壇を下りる。
ドーマは、3人を追いかけるように後方の扉から姿を消す。
エレンの件ならわかる。
それなら不毛じゃない。
ぼくにみせたあの物悲しそうな表情の意味が分かっていたら、エレンは死なずにすんだかもしれない。
ぼくにただ復讐したってただの気晴らしだ。
空き教室の廊下でエデンが佇む。
無表情で何を考えているのか分からない。
中に入ると、いおりとユカが教壇に立っている。
黒板にでかでかと『いじめっこ復讐劇~』と書かれている。
教卓の上に、ノート一冊置かれている。
その表紙に同じことが綴られている。
エデンが扉をバタンと閉める。
いおりがノートを掲げる。
「力を貸して。4人で学校を潰そう」
いおりはにこりと笑みを浮かべる。
が、目は笑っていない。
ドーマがまたもや面食らう。
「原因は学校そのものだよ」
静かにユカが言った。
「エレンを殺したのはお前じゃないくらい分かってるさ。お前の性格は気に食わないが」
エデンはぶっきらぼうに呟いた。
動揺するドーマを3人が面白そうにみる。
「人のことが言えないじゃないか。人の心を弄びやがって」
ドーマがムスッとした表情で吐き捨てた。
「でも本気だよ」
いおりはそう言うと、うんうんとユカが頷く。
背中に鈍い音が鳴る。エデンがドーマの顔を覗く。
「お前クラスメートたちの心を掴んでくれ。得意だろ、そういうの」
「そういうことなら。やるけど」
ドーマが賛同の意をみせる。
いおりが教壇を降りると、近くの机にノートを置く。
「来て」
ドーマを呼んだ。
4人は円になる。
ドーマにノートをみせる。
改めて計画について語りあった。
「学校を新しく作ろう」とエデンが言う。
4人は放課後になるころには親密になった。
計画も実行段階に移しつつあった。
ドーマはわくわくしている。
クラスメートたちを味方に付けて、みんなで新しい学校をつくるんだ。
成功したあかつきに、どれほど黄色い歓声に包まれるのだろう。
考えるだけで発狂しそうになる。
これほど気持ちが満たされたことはない。
ドーマの瞳は爛々とする。
ぼくが思い描いた物語。幕を閉じる。
最後まで読んでくださった方、興味をもって開いてくださった方、ありがとうございます!
とりあえず書き終えることができてよかったです!




