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距離が縮む放課後
放課後の校庭は、夕陽に染まってオレンジ色に輝いていた。
俺と氷室詩織は、いつものように屋上で過ごした後、そのまま一緒に下校することになった。
「なんだか、最近よく一緒にいるよね」
俺が照れ隠しに言うと、彼女は少しだけ顔を赤らめていた。
「……そうかもしれないわね」
その沈黙のあと、自然に歩幅を合わせて歩き始めた。
近くを通るクラスメイトの視線を感じるけど、気にしない。
「ねぇ、神谷くん」
「何?」
「今日は、ちょっと特別なところに寄り道しない?」
驚きながらもついていくと、詩織が案内したのは、学校から少し離れた小さな公園だった。
夕暮れの静かな場所で、二人きり。
「ここは、私が子供のころよく来た場所。落ち着くの」
詩織が小さく微笑む。
「そうなんだ」
俺は少し照れながら、素直に言った。
「こんな時間を君と過ごせるなんて、思ってもみなかったよ」
「私もよ、神谷くん」
二人の距離は、いつの間にかほんの少しだけ縮まっていた。
「また、こういう時間を作ろうね」
「うん、約束だ」
夕陽が沈み、空が茜色に染まる中、俺たちはこれからの“特別”を確かめ合った。




