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この屋上が、私たちの始まり
放課後の屋上は、いつもと変わらず静かだった。
夕陽が沈みかけ、オレンジ色の光が二人の影を長く伸ばしている。
「遼、ここで初めて会った日を覚えてる?」
「もちろん。あの日、まさか詩織さんが俺に恋愛を教えるなんて思わなかったよ」
彼女は微笑みながら、少しだけ照れたように目を逸らす。
「私もよ。でも、あなたと過ごした日々は本当に特別で、かけがえのない時間だった」
「俺も同じだ。正直、最初は恋愛なんてよくわからなかったけど、詩織と一緒にいるうちに、いろんなことが分かってきたよ」
詩織はそっと手を伸ばし、俺の手を包み込む。
「これからも、私たちの“特別”を一緒に育てていきましょう」
「ああ、約束だ」
屋上の風が優しく吹き抜け、二人の未来をそっと祝福しているようだった。