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マーリンの伝承

かつてある一人の魔法使いがいました。

その人は王国に使える、ただの一般的な魔法使いでした。

ある人はその魔法使いに聞きました。

「もし、トロッコが制御不能になって、このままでは前方の作業員5人が亡くなってしまうとする。君は分岐器のそばにいて、トロッコの進路を変えることができる。だけどそうすると別路線で作業した1人が亡くなってしまう。そんな時、君はどうする?」

魔法使いは言いました。

「簡単なことだよ。魔法で6人を転移させればいい。僕にはその力があるからね。」

次にこう言葉を続けました。

「そういう君はどうなんだい。君は魔法を使えないだろう。」

ある人は言いました。

「状況によるさ。もし、その一人が僕や世界にとって、大切な一人だったら、その一人を助けるだろうね」

魔法使いは聞きました。

「じゃあ、もし僕が死にそうで、誰かを犠牲にしなければならない時、君は僕を助けてくれるかい?」

ある人は言いました。

「ああ、もちろんさ」


数年後、王国には厄災が降りかかろうとしていた。

魔法使いたちは、厄災迎撃のため、国の外壁に集まった。

その中には一般的な魔法使いもいた。

そんな折、魔法使いはある人を外壁で見つけた。

「こんな非常時に、なぜこんなところにいるんだい?」

魔法使いは険しい表情で、ある人に問いかけた。

「いや、僕も何か力になりたいと思ってね。友人を励ますことくらいはできるよ」

「ありがとう」

一般的な魔法使いはほほえみながら、こう言葉を続けた。

「なんて悍ましい。あの厄災にとっては僕たちの魔法なんて、なんの障害にもならないだろうね。だけど僕たちは戦わなければならない。待っている家族のためにも。胸を張れるように」

ある人は一般的な魔法使いにいった。

「そういえば数年前のトロッコの話を覚えているかい?」

「ああ、覚えているよ。だけど、なんでそんな話を今するんだ?」

「あれには続きがあってね。トロッコの先には1万人が住む街があるんだ。もちろん作業員6人もその街の出身で、待っている家族もいる。線路の先にはね、街の近くに埋まっている巨大な地雷があるんだ。トロッコが地雷まで辿り着くと街は吹き飛んで、消えてしまう。だけど君は、分岐器から転移して街に伝えにいっても、もう避難は間に合わない。君とて、1万6人を転移することなんてできないだろう?」

「ああ、確かにそうだ。そんな力は僕にはない。」

「だが、君には人を殺すことによって成長する能力があってね。作業員6人を殺すことによって、1万人を転移できるようになる。そうだとしたら君はどちらを選ぶ?」

風が静かに吹いた。厄災が近づいているからだろうか、嫌な風が吹いた。

「そしたら、僕は6人を殺すかもしれない。1万人を救えるなら、6人の犠牲は、少ないと思うかもしれない」

ある人は嬉しそうに叫んだ。

「ああ、やっぱり君はそう言ってくれると思ったよ!」

そう言った瞬間、ある人は一般的な魔法使いの胸にナイフを突き立てた。

「僕にはその殺したものの力を奪う能力があるんだ!だからこれは仕方がないこと!僕がここにいる魔法使いたちを殺しっ、力をまとめ上げることによってッ、厄災に立ち向かうしか、王国を護る方法はないんだッ!」

ある人は叫んだ。自らの決断を!自らの正義を!高らかに叫んだ。

「マー、リン、、、君、は、、」

一般的な魔法使いはそう言って力尽きた。

マーリンは一般的な魔法使いから得た力を存分に使い、周りの魔法使いを殺した。

しかし、魔法使いたちの死は無駄な死ではない。王国の未来を守るための名誉ある死なのだ!!

マーリンは魔法使いたちの力をまとめ上げ、魔法を放った。それは、厄災を葬りさる、神の裁きであった。

これが、大賢者マーリンの誕生の秘話である。


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