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ゴミスキルと言われた「不熱の炎」が実は、この世ならざるものを燃やすスキルだった!

作者: Mr.ゴエモン
掲載日:2026/05/07

久々の短編になります。


追記、不自然?な箇所を修正しました

日が暮れて、闇に包むれた森の中。


「ファイヤー!」


そう言って僕は掌から炎を出した。

が…


「…全然、暖かくない…そりゃそうか…何も燃やすことができないんだからな…」


と、一人寂しく樹海の中でつぶやいた。


僕の名前は「影宮(かげみや) 一成(かずなり)」。至って平凡な高校生だ。いや、高校生だったと言うべきか…

単刀直入に言うと、僕いや、僕等はある日の授業中に、突然、異世界に召喚された。

ラノベとかでよくあるテンプレ展開だ。

召喚された先は、異世界のとある国の王宮で、現在、世界征服を目論む、悪の魔王軍と戦っているらしい。

その魔王軍と戦ってくれる救世の勇者として、僕らは呼ばれたとのこと。召喚された勇者は、この世界の人とは比べ物にならない位、強力なスキルを持っているのだとか…

現に、一緒に召喚された同級生(クラスメイト)達は、剣聖・魔導師・聖騎士等といった激レアなスキルを持っていた。いわゆるチートだ。

 その一方で僕のスキルはというと…


 ボォォォ


 最もらしく、掌で音を立てて燃え上がっている炎。しかし、


「…」


僕は近くに落ちていた木の枝を拾った。何かの弾みで折れたらしく、まだ枯れておらず、一枚だけだが葉っぱも付いている。その枝に、炎に当てた。普通だったらこんな枝、すぐに燃えてしまうハズだ。だが、炎から離した枝は、燃えておらず、無傷のままだ。葉っぱにも、焦げ跡すら付いてない始末。


「やっぱりな…」


ポイ!


僕は木の枝を、適当に投げ捨てた。

実はこの炎、音と見た目だけで何も燃やすことが出来ないのだった。

 そう。それが僕のスキル、


 【不燃の炎】


 だ。

 不燃の炎。その名の通りこの炎は、炎でありながらも、何も燃やせないのだ。本来なら燃えるはずの、木や紙ですらも燃やせない。どんなにこの炎を押し付けても、燃えるどころか、焦げた跡一つ付かないのだった。


 「ステータスオープン…」


 そう言うと目の前に、RPG(ロープレ)ばりのウインドウが現れた。そのウインドウには、その人のステータスが表示されている。

 本来、この世界に召喚された者のステータスは、この世界の人達とは比べものにならないくらい強力らしいとだが、僕のステータスはこの世界の人達と然程変わらない数値だった。

 勿論、その分スキルが強力ならば不足分(それ)を補えるが、僕のスキルはこれだ…

 ただ単に、物を燃やせない炎を出す。それだけのスキルだ。

スキル説明にも、


【この炎は、この世のいかなる物であっても、燃やすことが出来ない】


とある。

最初は、いかなる物でも燃やせるの間違いかと思った。だが、何度も説明欄を読み直したが、間違ってなかった。

本当に、何も燃やせないのだ。

見た目と音だけの炎を出す。それだけだ。


「何の役に立たんだよそれ!?」

「完全にゴミスキルじゃん!!」


と、多くの人達に、口々に言われまくった。

一応、知らない相手なら、怯ませる位には使える…程度だ。

が、単なる見た目と音だけのコケ威し。分かってしまえばそれまでだ。2度目は無い。

青い猫型ロボット(ド◯◯もん)に確か、「コケ威し手投げ弾」とか言うひみつ道具があったが、それと大差ない。まぁ、魔力が続く限り、何度でも出せる点は上か…

後、一応明るいから、松明の変わりにはなる。


そんな理由で、クラスで僕一人、即座に役立たずの烙印を押された。


「役立たずに用はない」


と、追い出された。

お情けで少しだけお金をくれたが、それだけ。

こんな、誰一人知り合いのいない世界に放り出されたのだった。

で、その後は城下町の冒険者ギルドに登録。

ギルドは経歴身分を問わず、誰でも登録可能。最も、登録したてで受けられるクエストは、薬草摘み・清掃・雑用系ばかりだ。

とわいえ、贅沢は言っていられない。仕事を貰えるだけでも、有難いと思うしかない。


そんな感じで、簡単なクエストで日銭を稼ぐ毎日。今日も、森で薬草摘みのクエストをしていたのだが、途中、道に迷ってしまったのだ。

やむを得ず、野宿する事に。念の為にと、稼いだお金で干し肉等の保存食を買っておいて正解だった。それで腹を満たし、早めに寝る事にした。

不燃の炎のお陰で、明かりもあるし、見た目は普通の炎と変わらないので、獣避け位にはなる。

まぁ、燃えない=熱くない。なので、暖は取れないけど、幸い今は温かい季節だったので、問題は無かった。


で、翌朝。

森を出ようと歩いていると、運悪くモンスターと遭遇してしまった。


『ゴフゴフ!!』


と、鳴き声を出すそれは、豚の頭を持つモンスター、オークだった。それも3匹。

それなりに実力のある冒険者なら、然程脅威ではないらしいが、生憎、僕にとっては、脅威でしかない。

直ぐ様、全速疾走で逃げ出す。

が、オーク達はその巨体に反して足が速い。手にした丸太を削って作ったらしき、無骨な棍棒を振り回しながら、僕に迫ってくる。


「ヒィ〜〜!!」


悲鳴を上げる僕。このままでは、捕まるのは時間の問題だ。


「(!?そうだ…)」


その時、自信のスキルの事を思い出した。パニックで忘れていた。

燃やせないから、ダメージは無い。が、目眩まし位にはなる。


「それ!」


そう叫びながら、不燃の炎をだし、オーク達に向けて飛ばした。

一瞬、怯むオーク。その隙に必死に逃げる。

が、直ぐにノーダメに気づくや否や、再び追いかけくるオーク達。


「くっ…」


僕はもう一度、不燃の炎を出した。それも、魔力を振り絞って。その結果、キャンプファイヤー大の火球を出せた。それをオーク目掛けて放つ。


『ブヒー!』


再び怯むオーク。

が、全く熱くない事で、この炎が単なるコケ威しだと気付いたようで、以降は、涼しい顔で迫ってくる。


「(ダメだ…もう熱くないと気付かれた…もう時間稼ぎにもならない…)」


逃げようにも、炎を出しすぎたせいで魔力をかなり消耗したらしく(魔力を消耗すると疲れが出てくる)、疲労で歩く気力も無い。


「(も、もうダメだ…オーク達に喰われる…な、何だって僕が、こんな目に遭わないとならないんだ…)」


極限状態で普段大人しい僕だが、だんだんと、沸々と怒りが湧いてきた。


「(王宮の連中も一方的に呼んどいて役立たず扱いした挙句、外に放り出し、クラスメイト達も知らん顔。そして最後はオークの餌…)冗談じゃない!そんなの納得出来るか!!オークの餌なんて、真っ平だ!…あんな奴等に喰われてたまるもんかー!!」


と、叫んだ。

その時だった。


ピコン!


スキル【不燃の炎】覚醒!


そんな声が脳内に響いた。


「何、今のは?…」


疑問に思っている間に、オーク達は直ぐ側だ。

効かないと分かっていつつも、破れかぶれで、残った魔力で炎を出し、オークに放った。

すると、次の瞬間、


ドサ!ドサ!


と音を立ててオーク達は倒れた。ピクリとも動かなくなった。


「!?えっ…何が…」


恐る恐るオークに近寄る。死んだふりの可能性がある。だが、近寄っても動かない。

ふと、カバンの中に、昨日の木の枝が入っているのに気付く。捨てたつもりだったが、カバンの中に入っていたようだ。

その枝で、オーク達を突く。が、反応はない。本当に死んでいるようだ。

理由が分からなかった。


「まぁ、助かったからいいかな…」


安堵していると、近くに古びたの洋館があるのに気付く。もしかしたら、誰かいるかも。そう思って、中に入る。

中はクモの巣だらけで、人が住んでる気配は皆無だった。諦めて出ようとすると、突然、ドアが締まった。どんなに押しても引いてもビクともせず、開く気配は無い。

するとそこに、


『ケヒヒヒヒ!』


と、不気味な声が。

その声と共に、ガイコツの漫画に出てくる死神のような化け物が出て来た。

リッチと呼ばれる、ゴースト系のモンスターだ。人の魂が好物。物理攻撃は一切無効で、聖魔法か神聖武器しか効かない厄介な奴と、ギルドの資料で読んたことがある。

一難去ってまた一難だ…

オークを撃退できたと思ってたら、今度はリッチとは…たたでさえ、僕には戦闘手段のないのに…


『ケヒヒヒヒ、久々の獲物だ…魂頂くぞ!!』


お構いなしに、敵意むき出しのリッチ。

問答無用で襲ってくる。


「くっ…」


僕は再び、不燃の炎を出し、リッチ目掛けて放った。

当のリッチは、


『ケヒヒヒヒ、我にそんな攻撃なぞ効かんぞ!我に効くのは聖魔法だ…』


そこまで言ったリッチに、不燃の炎が命中。

すると、


『ギャ~〜!!』


悲鳴を上げるリッチ。


『な、何故じゃ!?火属性魔法なんて効かぬハズ…ギャ~!!』


リッチは断末魔をあげて、紙の様にあっさりと燃え尽きた。


「倒したのをかな…」


リッチが消えると扉は開くようになっていた。

外に出た僕。

理由が分からなかった。が、冷静に振り返った。不燃の炎を当てたら、オークもリッチも死んだ…

まさかと思い、(何となくで、まだ持っていた)例の枝に炎を当てた。

案の定、燃えることはなかったが、まだ青々としていた葉っぱは、一瞬で枯れ果て崩れていった。


スキルの説明欄、

【この炎は、この世のいかなる物であっても、燃やすことが出来ない】


その一文を頭の中に浮かべつつ、アレコレと試行錯誤しながら、実験を繰り返した。かわいそうだが、見つけた虫や雑草等で。

その結果、解った。


この炎は、この世の物は何も燃やせない。

だが、この世な(・)ら(・)ざ(・)る(・)モ(・)ノ(・)を燃やせるのだと。


「この世ならざるもの」

 この世の常識や物理法則には当てはまらないモノの事で、幽霊・妖怪の類(たぐい)、そして魂等がそれだ。

そう。オークはこの炎で魂を燃やされで絶命。

リッチはゴースト系のモンスター。存在自体が魂みたいな物で、この世のものではない。

 だから、効いたのだ。


 木の枝の葉っぱもそうだ。折れて木から離れても、まだ青々としていた。それが一気に枯れた。炎を当てたことで、残っていた栄養素?等が燃えて無くなりそれで一気に枯れたのだろう。でも、前に試した時は何もなかった…

 そうか。先程、脳内で聞こえた、


 スキル【不燃の炎】覚醒!


 の声(アナウンス)。

 詳細は不明だが、多分、覚醒したのが原因だろう。

 覚醒…

 条件は分からないがおそらく、


 「オークに喰われてたまるか」


 と、強く思った事が原因だろう。


つまり、この炎が当たれば、あらゆる生き物は魂を燃やされ絶命する。植物ならば、蓄えられていた栄養素等を失い、枯れ果てて枯死(こし)する。

 言わば、あらゆるモノを即死させられるのだと。


「ゴミどころか、とんでもない、恐ろしいくらいのスキルじゃないか…」


僕は自信のスキルに、最初は自分の事ながら恐怖さえも感じた。何しろ、ありとあらゆる物を、即死させる力を得たのだから。

が、直ぐに吹っ切れた。


「コレされあれば、この世界でも十分にやっていけるはず…僕を捨てた王宮の連中に、僕を見捨てたクラスメイト達に、ギャフンと言わせてやれる!!」


と。直後に、ギャフンなんて今時古いなと感じ、一人で勝手に恥じらいだ…


そして想いを新たに、僕は動き出した。


やがて、この世ならざるモノを焼く炎を操る勇者が、世界を救ったという神話が、後世に語り継がれる事となるのだが、それが誰の事なのかは、言わずもがなだ。


ー終ー

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