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イ国の魔女  作者: ネコおす
第一部 イ国編 ~商会の主~
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ポットの町 八

ここはクソだ。この町はクソだ。この世界はクソだ。



俺は地下の用具室の端で疼くまりずっと呟いていた。


町長の屋敷で行われた募集に合格した俺は困惑した。募集をしていた商会があの時の奴らだったのは驚いたけど、あいつらは俺のことに気がついてなかったみたいだ。所詮、俺らみたいなヤツの顔を覚えるまでもないということだろう。

でも、これでこの町を出られると思うと喜びが湧く…はずなのにどこかしっくりこない自分がいる。それでも俺の夢のためにはいつかはこの町を出ていかなければならない。それには、この機会が一番だ。採用の話が来たら直ぐにあの館を出よう、そう思っていた。



『﨟長亭』に戻るとババァにいきなり腕を捕まれた。そのまま奥に引きずっていかれボコボコに殴り、蹴られて、地下室の壁に叩きつけられた。お陰で今も足は引きずってるし、腫れで片目も上手く見えない。その後、俺は飯にもありつけずに地下に放り込まれたままだ。


たぶん、どこかから俺が仕事の募集を受けた話がババァに伝わったのだろう。

やっぱり、そのままここを出ていく準備をしておくべきだった。でも、あいつら頑なに採用の合否は後日連絡すると言っていたから結局は、この場所に戻らなくてはいけなかった。

だけど今回のババァのキレ方は今まで見てきた中で一番ヤバかった。

このままでは採用されても保護者代わりであるババァが了承しないだろう。クソだった。



正直…『﨟長亭』が嫌いな訳じゃない。確かにヘラが死んでからの俺の扱いは酷いものだったけど、俺が生まれ育った場所だ。大概の奴は俺と関わること自体しないし、一部の奴は酷いことをするけれど、俺を気にかける奴だって少しはいる。だけどこのままじゃ俺はどうにもならないしなれなかった。俺の夢を叶えるには金を貯めて旅に出なくてはならない。

…きっと、あの場所が世界のどこかにあるはずだ。



それに…


人に褒められたのなんていつぶりだったかな…あいつは俺の名を『さん付け』で呼んだ。ガキの俺に敬語を使って対応されたのは、この世界で初めての事だった。

魔法なんて変な事に拘るし、上品ぶっていけすかない奴らだとは思うけれど、あの場は悪くない気分だ。それに試験後に聞いた待遇もガキの俺には破格なものだった。



あ、でもあの商会って事は結局…


そう考えた時だった。なんだか上が騒がしい。いつも騒がしいが、いつもとはまた違った雰囲気の騒がしさだ。


地下室との扉に耳を当て地上階の様子を伺ってみる。微かに聞こえて来る声は今日会ったばかりの奴の声だった。


短くてすみません。【ポットの町 七】にまとめようかと思ったのですがキャラ視点が変わるので話をわけました。


次回は、いつも通りのナイル視点。

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