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イ国の魔女  作者: ネコおす
序章 不思議な記憶
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取引

「私と取引をしませんか?」


傍からみれば幼子が突然なにを言いだしたのかと思われても仕方がない。しかし私にとっては身の安全が懸かっているのだ。真剣だ。


「この街を襲った彼らが一体何者なのか、どこから来たのか私は全く存じません。関わりも一切ありません。ただ彼等が襲撃に使った武器の使い方は解ります。もしかすると彼らの正体を明かすことにお役に立てるかもしれません。」


「突然、挙動がおかしくなったと思えば急な話だな…その物言いは自分が襲撃者との関係性を疑われていると自分で認識しているのだな。それでも彼らとは関わりも面識もない。しかし、彼らが使った術具の使い方だけは解ると。少々、都合が良すぎる様に聞こえるがお前は何故そんなことを知っているのだ?」


「突拍子のない話かもしれませんが真実をお話ししたいと思います。」


『彼』が言っていた。「嘘をつく時は真実7割、嘘3割」だ。嘘の比率は低いほどバレ難いものだ。


「夢で見たのです。何故そのような夢を見るようになったのかは私にも解りません。しかし、彼らの使うものが武器でありそれの使い方やどんなものかは理解しています。私は、この国やこの街に危害を加えるような意思はありません。寧ろ私はこの知識を使って、この国の繁栄に協力したいと願っています。」


都合のいいことを言っているのは解っている。普通であれば夢で見たなど子供の戯言ごととしか思われないだろうし、納得してもらえる訳がない。しかし、私にはこれ以上の言葉を持っていなかった。自分でもよく理解していない話を事細かく話されても、相手も混乱を招くだけだろう。


ならばお告げ的なものを受けたとした方が理解して貰いやすいはずだ。それでもこの男は通用しなさそうだけど…


笑われるか怒るかを身構えていた私の予想に反して副団長は私の話を聞いて何やら考え込んでいる。私を見据え品定めするかのような視線を送る。あまりいい気持ちはしない…


「夢で見たと言ったがどのようにして見たのだ。その夢は君の意志で任意に見れるものなのか?」


意外にも食いついてきた!


私はこの流れを逃さないように慎重に話を続ける。


「寝ている時や突然、頭の中に様々な道具の使い方や兵法、生活手段などが見えることがあります。急に流れ込んでくるように見えるので私の意志で知りたいことを選択して見ることはできません。」


自分で言っててなんだけれど完全にオカルトだ。中世欧州と少し似たこの国の様式に準えると私は神のお告げを聞く聖女か、はたまた悪魔の囁きに唆される魔女か…そもそも、この世界にも宗教があるのかどうかも引き篭もりの私は知らないのだけれども。


「つまり君はその夢で偶然見たお告げで襲撃者の術具を知っていたので攻撃を察知することも回避することも出来た。そして反撃手段も知り得ることができたというのだな。…あまりに都合良すぎる話ではあるが、その夢は襲撃については何も語らなかったのか?」


「その通りです。残念ながら私の今まで見た夢では知識だけで個人の情報や予知などの情報は何も語られません。しかし、彼等が使った道具は術具や魔法などではなく、火力を用いた武器であることは解ります。」


そうだ。あれは本来この世界の文明では、存在するには早すぎる武器のはずだ。この人にも理解してもらうにはどういうふうに説明したらいいか…


「彼らの使った武器は『火薬』や『固体燃料』等を使って金属製の矢尻を放つ武器です。門を破壊したものについても同じ様に大きめの矢尻のそれ自体が『推進』して着弾と同時に矢尻の中身に詰められた『爆薬』が『爆発』するように…」


「待て。君が今話していることは半分以上わからない。…しかし、彼らについて君が情報を持っていないと言いたいことは信じよう。」


解り易く解説したつもりなのに全く伝わらなかったようだ。でも信じてくれた!


でもなんでだろう。私が逆の立場だったら信じないし、そのまま尋問を続けるのに…


『彼』は現役時代に武器や射撃の教官もしていた。だから私も銃器にはそれなりの知識を持っている。しかし、この世界ではそもそも槍や弓が主力武器であるということはまだ火薬さえ存在していないのかな…それかこの国が劣っているだけで他国ではもう存在しているのだろうか…


私が色々と考えを巡らせていると副団長が椅子から立ち上がる。


「君に見てもらいたい物がある。一緒についてきなさい。」


そう言うと副団長は私の横を通り過ぎ扉の方へ向かう。私はレナさんに手を添えられながら椅子から立ち上がると副団長の後へと続いた。




何だがアッサリと信じて貰えたナイル。

レナさんは完全に空気です。


次回はちょっとグロに感じる人もいるかもしれません。苦手な人は流し読みでお願いします。

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