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イ国の魔女  作者: ネコおす
序章 不思議な記憶
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尋問 副団長視点

彼女の名はナイル、家名は無し。年齢9歳。性別は女性。レタルゥとして生を受け、身体は幼い頃より病弱である。そのため家からの外出も限られており街の者との繋がりも少ない。学舎にすら通っておらず、ゆえに外の者と接触する可能性は限りなく低い。


報告によれば彼女は、正体不明の集団による攻撃を受けた時、奴等の攻撃を予見してこれを回避した。そして彼らに対する反撃手段をその場にいたレナに伝え、その手段は彼等に対して有効であった。


平民出身、しかも一般的な教育すら受けていない9歳の子供が自らも危機的状況にありながら的確な有効戦術を思い付くとは到底信じられない。偶然だと片づけるには少々無理があった。


しかし、彼女自身がこの騒動を起こすことは不可能であるだろうし、動機がない。第3者の入れ知恵、または何かしらの方法で別の者に操られたと考えるのが妥当だ。だが、利用するにしても9歳児の、しかもいつ死ぬかも解らぬレタルゥの彼女をはたして選ぶだろうか。情報を集めるほど、彼女と関係する根拠は見つからず、寧ろその可能性を否定する情報ばかりだった。


それでも疑いを拭えなかった私は直接本人に尋ねることにした。


初見では彼女は9歳とは思えない外見であった。幼すぎるのだ。正直、6歳児程度にしか見えなかった。身体の発達が遅れているのが解る。レタルゥ自体が稀で見るのは初めてだったがこれが彼女らでは普通なのだろうか。


しかし、中身は外見とは別な意味で9歳とは思えなかった。初対面である大人の男の私に対して真っ直ぐに目を見て挨拶をする彼女は、その仕草は意味不明だったが品があった。それに彼女のハッキリとした口上は学舎にも通っていない者のものではなかった。寧ろ成人であろうとも元貴族との接点がない平民出身者であのような言葉を選べる者は多くない。失礼だが彼女の両親が9歳の幼子にそんな教育が出来るとは思えなかった。私の中で彼女へ対する疑惑が少し大きくなる。


まずは当日の話から聞いていく。彼女の話は報告を受けたものと差異はない。突然一人なり不安や恐怖で動けなくなるのも年齢を考えれば不思議ではないだろう。しかし、そのあとに続く話は信じられないものだった。それどころか後半は何を言っているのか私には理解すらできない。


「まて。君は奴等の持っていた武器が何であるか知っていると…」


私が言葉を言い切る前に彼女の顔が急に曇る。 言葉は止まり、目を強くつむったかと思うと、その後は俯いてしまった。


失言をしたから話すのを止めたのか?…いや、直前に見た彼女の表情は失言に気が付いたようなではなかった。先ほど強く目をつむってた彼女だが今は目が開いている。しかし、その眼は虚ろで視点が定まっていない。


「どうした。どこか痛むか?」


応答はない。彼女が病弱である事は報告で知っているが、こんなにも急に体調を崩すものなのだろうか?仮病の可能性もあるため適当な間、様子を伺う。全身から力が抜けているわけではなく視線を落としているだけだ。


レナもどうしたのかと声をかけているがやはり応答はない。俯いているので表情はよく見えないがピクリとも動かない彼女は気配すら虚ろに感じる。


これでは聴取にならない。それどころか正直、不安になってきてしまった。私は1度止めてレナに彼女の介抱を指示しようとしたその時、彼女に反応があった。しかし、顔は上げずに何かを呟いている。




そんな間を暫く待っていると彼女は突然、顔を上げて私に向かってこう言ったのだ。



「取引をしませんか?」


ナイルの異様さには気がついている副団長。ただ、子供の扱いに慣れていない彼はどう扱っていいか解らず迷いがあります。

話の途中でいきなり意識を失い、突然目が覚めたかと思うとブツブツ話し出す少女。ホラーでしかないですね…


次回はナイル視点に戻ります。

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