青空なき獄中の記
「すっぱいブドウ」にも、近いかと。
太陽が高くあっても
暗雲が敷き詰められることもあろう
澄みわたる青さを知らなければ
空とは すなわち
昏く さかさまに張られた
ときに ざらざらした砂浜で ごつごつした岩肌で
ときに もこもこした海原で ざぶざぶした波頭で
澄みわたる青ではなく 敷き詰められた暗雲を
空と呼び続けただろう
砂浜を 岩肌を切り裂いて
海原を 波頭を掻き分けて
これが空だと
澄みわたる青をつきつけてやるには
あまりに足りないこの両の腕を
力なく垂れて 目を伏したまま ただ頷く
敷き詰められた暗雲を 空と呼ぼう
澄みわたる青さになど 目を凝らすのはやめて
皆が空だと信ずるものに 倣おう
疑わしきを口にせず
暗雲を晴らす術を求めず
昏く さかさまに張られた
ざらざらした砂浜に覆われて
ごつごつした岩肌に覆われて
もこもこした海原に覆われて
ざぶざぶした波頭に覆われて
敷き詰められた暗雲こそが 空なのだ
この頭上に 澄みわたる青などひろがりはしない
太陽が高くあっても
天窓の無い天井が 蓋をすることもあろう
澄みわたる青さを知らなければ
空とは すなわち
四角く 四方の壁が組んだ枠組みに嵌まる
ときに 小綺麗な板きれで 薄汚れた板きれで
ときに もの言わぬ板きれで 饒舌な板きれで
暗雲も
板きれも
偽りも
なすりつけられた罪も
澄みわたる青さを知らなければ
あたかも まがいものこそが
まことの空であるかのように
疑わしきを口にせず 晴らす術を求めず
囚われの身となりて
この首が断たれる日を待とう
なすりつけられた罪も なすりつけた輩も
もはや 恨むまい
皆が空だと信ずるものに 倣うなら
空は 澄みわたりしもなければ 青くもないのだ
おのれの身こそ この罪の在り処であると
皆が信ずるのなら それに 倣うのだ
おのれの身には この罪を負わされる道理などないと
もはや 声を高くすることもあるまい
疑わしきを口にせず 晴らす術を求めず
あきらめて、うけいれる選択もあります。
良し悪しはともかく。
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