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詩集:青空なき獄中の記

青空なき獄中の記

作者: 歌川 詩季

「すっぱいブドウ」にも、近いかと。

 太陽が高くあっても

 暗雲が()き詰められることもあろう

 澄みわたる青さを知らなければ

 空とは すなわち

 (くら)く さかさまに張られた

 ときに ざらざらした砂浜で ごつごつした岩肌で

 ときに もこもこした海原(うなばら)で ざぶざぶした波頭(なみがしら)


 澄みわたる青ではなく ()き詰められた暗雲を

 空と呼び続けただろう



 砂浜を 岩肌を切り裂いて

 海原(うなばら)波頭(なみがしら)を掻き分けて

 これが空だと

 澄みわたる青をつきつけてやるには

 あまりに足りないこの両の腕を

 力なく垂れて 目を伏したまま ただ(うなず)


 ()き詰められた暗雲を 空と呼ぼう

 澄みわたる青さになど 目を()らすのはやめて

 皆が空だと信ずるものに (なら)おう


 疑わしきを口にせず

 暗雲を晴らす(すべ)を求めず

 (くら)く さかさまに張られた

 ざらざらした砂浜に覆われて

 ごつごつした岩肌に覆われて

 もこもこした海原(うなばら)に覆われて

 ざぶざぶした波頭(なみがしら)に覆われて


 ()き詰められた暗雲こそが 空なのだ

 この頭上に 澄みわたる青などひろがりはしない



 太陽が高くあっても

 天窓の無い天井が (ふた)をすることもあろう

 澄みわたる青さを知らなければ

 空とは すなわち

 四角く 四方の壁が組んだ枠組みに()まる

 ときに 小綺麗な板きれで 薄(よご)れた板きれで

 ときに もの言わぬ板きれで 饒舌(じょうぜつ)な板きれで



 暗雲も


 板きれも


 偽りも


 なすりつけられた罪も


 澄みわたる青さを知らなければ

 あたかも まがいものこそが

 まことの空であるかのように

 疑わしきを口にせず 晴らす(すべ)を求めず

 (とら)われの身となりて

 この首が断たれる日を待とう

 なすりつけられた罪も なすりつけた(やから)

 もはや 恨むまい

 皆が空だと信ずるものに (なら)うなら

 空は 澄みわたりしもなければ 青くもないのだ

 おのれの身こそ この罪の()()であると

 皆が信ずるのなら それに (なら)うのだ

 おのれの身には この罪を負わされる道理などないと

 もはや 声を高くすることもあるまい


 

 疑わしきを口にせず 晴らす(すべ)を求めず

 あきらめて、うけいれる選択もあります。

 良し悪しはともかく。


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【企画提案】
立花 優先生
― 新着の感想 ―
[良い点] たたみかける ざらざら〜ざぶざぶ 、 一行あけた 〜も の4連続が好きです。 私もお名前見つけました!
[良い点] この詩の最後の行での、先生の名前との、掛け合わせを、それと無く、レビューしましたが、皆さん気が付くかな……。 [気になる点] 無 [一言] 無
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