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RED NAIL  作者: 空蝉ゆあん
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傲慢な女


 彼女に出会ったのはネット上だった。最初は人当たりの良い人と言うイメージを持っていたが、チラチラと見え隠れするのは傲慢な態度だった。関われば関わる事に本性が出てきたのは言うまでもない。自分が一番じゃないと気が済まないタイプなんだなと実感したよ。


 僕は彼女の傍にいる事にした。出会いには縁があるから、どんな暗闇を持っていても人間だから仕方ないと思っていたから……その判断が甘かったんだと今の僕なら当時の自分を説教しているだろう。


 関われば自分に害がある人間は日常の中でかくれんぼをしているように、ひそんでいる。鬼の仮面を被っているのだ。狼と一緒。羊の皮を被っているのに、本当は狼の仮面に支配されていた、そんな感じの例えが一番しっくりくるかもしれない。


 ネットに依存している時期は僕にもあった。気持ちは分からなくはないけれど、依存が執着へと変わると人間から化け物へと変化してしまう。その事実に小夜は気づいていない。


 「哀れな女だよな……」


 面倒な奴からはさっさと逃げるが一番だ。昔の僕ならトコトンまで追い詰めていただろうが、大人になったのだよ、そんな労力、使いたくもない。


 無駄な時間を費やしたくないからね。


 「小夜、間違っているわ。貴女の思い通りに全て行く訳じゃないんだよ?」


 僕がそう言うと小夜は笑顔から醜い表情へと歪んでいく。まるで今すぐにでもかみ殺されそうな勢いだ。僕は彼女の前では女の自分を出していく。同性で争う事もあるふぁ、共感しやすい面もあると感じたからだ。


 人間誰しも男性と女性の部分を持ち合わせている。だから上手くコントロールすればどうにかなると過信していたんだ。その過信こそがうぬぼれだったのかもしれない。


 「裏切り者のお前に言われたくない」


 僕の事を『裏切り者』と罵っているが、いつどこで僕が彼女を裏切ったのだろう。別に何かを奪った訳でもないし、傷つけた事もない。なんなら、こちらが被害を被っている訳なのだから。それに僕は言った、彼女にとって大切な言葉を。


 「僕は言ったはずだよ? 小夜が正しくあるのなら支えると、君こそ僕を裏切ったよね。嫌な事もしてきたし、自覚ないの?」

 「お前に言われる筋はない!」

 「……あっそ。もういいよ、今の君についていく程、僕もバカじゃないんだ。もういいかい? 君との関わりは時間の無駄だから、終わらしたいんだ」


 呆れを通り越してもう何も言う事はないと感じた。僕より年上なのに、口だけで行動が伴っていない。いくら年上でも、これはひどすぎるよ。


 冷たくあしらいながら、彼女の横をスッと通り過ぎた。その行動が気に入らないのか視線が痛いが、もうそんな事どうでもいい。一刻も早く、小夜との空間をなかった事にしたかったんだ。

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