betrayal
全てが染まっていく。真っ赤に、私の手を頬をそして魂を……
憎いあいつらの叫び声を聞きながらゲーム感覚で物事を眺めて楽しむ。これが私の一つの趣味だ。形を変えてみる事を『人間観察』とも置き換える事が出来る。あの時の弱い自分は消滅した。残ったのは闇に汚染されてでも生きる事を選択した私がいた。
「小夜、貴女は間違っている。こんな事を……」
女は私の事を化け物を見るような目で怯えている。でもそんな事はどうでもいい。それよりも、もっと楽しみたい聞きたい『音』がある。それは『叫び声』だ。一つの音の中で沢山の破壊音が連なっていく。その中で消える予兆を現すその声は一番の好物であり、快楽だった。
三大欲求を満たすと安定していくのが人間の構造というものだろう。その中の一つがかける事なんて許されない。私の中ではそう感じていた。他者の意見は知らないし、興味がないが。私は自分の求める三大欲求の中でも『快楽』を求め続けている。
それは単なる『欲望』とは言えない。複雑な心理の中に混ざる絵具のようで、実に興味深いと感じてしまう。
私は彼女の腕から流れる血を唇ですすった。すると今まで満たされた事のない安心感を感じるではないか。ある意味自分の中では大発見な事実だ。女は脂汗を垂らしながら、痛みに耐えていると言うのに、助ける事などしない。
何故かって?
それは私の『コレクション』の一つだからだよ。
「私の事を間違っていると言うのなら、裏切り者のお前は余計間違っているな。墓穴をほって嬉しいかい?」
「ちょっ……」
いう事を聞かないコレクションにはお仕置きが必要だ。私の考えとは違う意見など必要ない、いらないものはゴミのように捨てて、私の悪に染まればいいのだ。それが私の中の『正義』なのだから──
狂ったように笑いながら女の腕に刺さっている大きなガラス破片を思いっきり抜く。肉を貫いている事により止血の代わりになっていたのだが、私がそれを破壊する事により、今まで以上に大量の血潮が吹き出す。
私の顔を
体を
魂を
赤黒く汚しながら、私は舌なめずりをして、その光景を愉快犯のように楽しんでいるのだ。
それが私であり、小夜なのだからね──