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何ゲーム?  作者: 白薔薇 蝶舞
2/2

はじまる。はじめまして。

この物語は【ひとりかくれんぼ】の都市伝説をモチーフにしています。

都市伝説じたいフィクションかもしれませんが、【ひとりかくれんぼ】は幽霊を呼ぶ儀式と聞いています。

前回、注意事項を記入し忘れていましたので、後書きに注意事項を記入しておきます。

「後3分…みんな準備はいいか?」

「「おう!」」

「う、うん」


 小声で皆は言う。どういう状況なのか、打つのがめんどくさいからとの理由で、電話でいうことにした。この発想も翔太が出した。かくれんぼだというのに勇気もよく許可したものだ。簡単だと思っていたのに逆にハードになった気分。


「じゃぁみんな隠れるところまでいったら集合な!」


 と、勇気が言うと皆は返事をしてミュートにした。スマホを塩水の隣に置く。


「よし、やるかぁ…」


 3時になったことを確認し、宏平は勇気の言うとおりかくれんぼを始める。怖さはないがやっぱり緊張する。なんたって【ひとりかくれんぼ】は都市伝説の中でも一番やってはいけないらしい。


「最初の鬼は宏平だから…最初の鬼は宏平だから…最初の鬼は宏平だから 」


 宏平は3回言った後ぬいぐるみを沈めリビングにいき、10秒数えた。俺は何してんだ、という言葉が横切る。


「1・・・2・・・3………8…9…10」


 10秒数えた宏平は、カッターを持って風呂場に行き、しずめておいたセツナというぬいぐるみを


「セツナ見つけた」


 と言って刺した。体の中のお米はまだ硬くて、カッターの先が今にもかけそうだ。浴槽に傷が付いてないかを確かめ


「次はセツナが鬼だから…次はセツナが鬼だから…次はセツナが鬼だから」


 と、3回いった後宏平はリビングの横にあるタンスに塩水とスマホを持って隠れた。異様に冷たい風、寒気がした。

 ミュートにしていたLINE電話も解除して電話にいった。電話ではもう皆ミュート解除にして小声で話していた。


「皆早いなぁ」

「遅かったな!びびってたのか?」

「なわけないだろ はは」


 宏平はイヤホンをつけて小声で話しかけた。翔太が小声で早くも返事を返してきた。宏平は言い返し笑った。怖がっている様子はなさそう。


「ヒック…ヒッ…」

「なんだよ隼人。もう、泣いてんのか?」


 勇気が隼人にそう言ったその時…


 ガタッ


「!!」


 電話の方から物音がした。


「うわわわわわわわわわわああああああああ」


 ニャー


「隼人、猫だよ。猫」


 物音がしたと同時に隼人がいきなり叫び出した。みんなはホッとした。隼人の家には猫が2匹いる。こんな時間なのにまだ寝てないんだな。


「そ、そか…ビックリしたよ。あはは…」

「隼人、大丈夫か?」

「う、うん。だ、だいじょう、、、ぶ」


 翔太が心配そうに隼人に問いかけた。まだ、怖がってるな。


「まぁ少しビビったな」

「同じく」

「ご、ごめん、、、」


 みんなはくすくすと笑いながら話した。確かに俺も今のはびっくりしたが、猫って暗闇の中動けるんだと少し疑問に思った。それから何も変化がないままだった。恐怖感も無くなりかけてきたみんなの会話はだんだんと普通になってきた。時間を見てみるとまだ3時20分だった。結構話したと思ったんだけどなぁ。


「なぁなぁなんか、怖くなくなってきたからさ怖い話しねぇ?」


 いきなり怖い話をしようと相談したのはやはり勇気だった。

 やっぱホラーオタクだなと宏平は思った。


「俺はいいぜ」

「同じく俺もいいよ」


 翔太に続き宏平も賛成した。確かにひとりかくれんぼをしてる感じはほとんど無くなっている。


「えぇ、、、」

「大丈夫だって隼人。そんな怖い話じゃないからさ」

「えぇ、、、わかったよ、、、」


 少しションボリとした隼人。それから勇気は手短に怖い話をした。


「これ、小学校の友達から聞いたんだけど。その友達と3人で心霊スポットに行ったんだってさ」


 勇気が怖い話を始める。みんな黙って勇気の声に集中した。


「そんでさ、行ってる途中に自転車に乗った別の友達が来たんだって。歩き疲れた友達は自転車に2人乗りで先に行って、その友達はもう1人と歩いていくことにしたんだと」


 電話からは周りの電子音と勇気の声だけが耳に入ってきた。タンスの中であかりはスマホだけ、こんなスマホでしか明るいものがないというのに怖くもなんともなかった。ほんとに不思議だ。


「んで、先に送った自転車の友達が迎えに来てくれてそっからやっと辿り着いたんだって。『トイレしか無かったわ』ってその友達は言ってたけど、先に行った友達は『トイレに赤いスカートを穿いた女の子が入った』って言うんだって。」


 勇気はどんどん話を進めていく。今【ひとりかくれんぼ】という都市伝説をしてるのに、怖いことに慣れるなんてことはありえない。宏平は少し心の中でそう思った。でも、宏平は軽い気持ちで収めた。


「みんなそれを言うもんだから、その友達はトイレを調べに行ったらしいのよ。でも、誰も居なかったらしんだけど、、。ずっと見張ってた2人が口を揃えて言うんだ。『まだその子は出てきてないよ?』って、、、。どう!?怖かった?」


 勇気は話が終わるとワクワクしながら聞いてきた。


「なんか、ゾッとするな、、、。」

「その後みんなは何ともなかったん?」

「あぁ、1人霊感があるらしくてその子は『あの子に名前呼ばれてる』とか言って変なところに行きそうだったらしい。何とか止めたって」

「えーこわ、、、」

「やっぱ居たんじゃん、、」

「まぁ、話を聞いたらそうらしいけど、その友達は何ともなかったって言うし、よくわかんね」

「ねーなんか取って置きのないの?全然怖くないよー」


 その言葉を放ったのはビビリな隼人だった。少しゾッとしただけでそんな怖くない話だったけど。隼人がそんなこと言うなんてと宏平はビックリしていた。


「取って置きのかぁ。うーん」


 隼人の言葉になんも疑問に思わず悩み始める勇気。ホラーオタクだから聞き入れて当たり前なのか?。


 コンコン


「!」


 なんだ今の音。俺の方からだけじゃない、電話からも微かだが聞こえた。もしかして全員がノックされたのか?


「な、なぁ…もしかして、みんな聞こえたのか?」

「え?なにが?」


 数分たって恐る恐る聞いてきたのは翔太だった。隼人は何も聞こえなかったみたいだが、勇気は黙ったままだ。多分ノックが聞こえたのだろう。


「隼人、聞こえなかったのか?」

「隼人だけノックされてないとか?」

「いや、隼人からも聞こえた、気がしたんだがぁ、、、」

「え??なに?なにが??わかんないよぉ」


 隼人以外聞こえていないのを察したのだろうか誰も喋らない。背中から冷たい風を感じて少し寒い。


 ゴンゴン


「「「!!!」」」


 今のははっきり聞こえた。しかも、電話からした。誰かが、ノックされた。


「またノックの音が!」

「次ははっきり聞こえたな。誰がノックされた?」

「俺じゃないぜ」

「俺も電話から聞こえた」

「じゃぁ、、、隼人、、、?」


 みんなが"電話から聞こえた"という。でも、隼人からは返事がなかった。さすがに今のは聞こえたはずだ。


「隼人?だいじょ、、、」

「、、、っ、、て、、、」

「隼人どうした?」


 隼人が何か言っている。三人は聞き取ろうと静かになった。


「だ…す…だ…け…て…す…だず…け…たずげ…たすけて…だずげで…助けて…助けて…助けて…助けて…助けて…助けて…助けて…」


 どうやら隼人は「助けて」を連呼しているようだ。怖さが来たからか小さい声でずっと同じ言葉を言っている。連呼し始めてからタンスの中が一気に冷えてきた。風がないはずなのに冷たい風を感じる。今にもタンスから飛び出したい気持ちだ。勇気と翔太はずっと黙っているし、隼人は、少しおさまってはいるが泣いてばかりだ。俺は隠れているはずなのに視線を感じて落ち着かなかった。

 怖い?助けて?そんなことはなんも思わなかった。ただ単にタンスから抜け出したかった。スマホの充電はもう、50%になっていた。隠れておかなきゃとそんなことしか思ってなかった。きっと、皆もそう思っている。


「助けて……助けて……助けて……助けて……た…すけ…て…」


 だんだん隼人の声が途切れ途切れになっていった。と、同時に少し遠いところからなにか音がした。


「た…すけて…お"願いだから殺ざな"いで…おね"が…だ…か…ら」

「隼人?…隼人ぉ!!」


 突然隼人の声が聞こえなくなった。翔太が名前を呼んでも返事は来ない。なんだか、嫌な予感がした。


「隼人!おい!隼人!大丈夫か!?隼人!」

「翔太!そんな大きな声を出したら!」

「そんなこと言ってる場合か!隼人が危ないかもしんねぇんだぞ!」


 勇気が小さな声で翔太に言ったが翔太は大声で強く言い返した。


「隼人! 大丈夫か!隼人!頼むから返事してくれ!隼人!」

「翔太!大丈夫だ!【ひとりかくれんぼ】は死人がでることなんてない!」

「そんなのわかんねぇだろ!」

「ほんとだ!そんな情報は乗ってなかった!」

「ネットで調べた情報だろ!ホントかウソかもわかんねぇんだ!そんなん信じるかよ!」

「それならなおさらだ!翔太!【ひとりかくれんぼ】を信じなければいいだろ!」

「!…」


 勇気と翔太の会話に割り込んで言った宏平。翔太は何も言い返せなかったみたいだ。


「信じたくなくても…今の状況なら…誰だって…」

「確かに無理もないけど。俺だって今この状況を信じたくない。勝手かもしれないけど、俺らも同じ状況だし。隼人が無事だと信じよう」


 翔太が小声で言った言葉に勇気ははっきりと答えた。勇気の言うとおりにするしかないのだ。俺らも【ひとりかくれんぼ】の参加者ということを忘れてはいけない。


「隼人、大丈夫だよな」


 と翔太は小声で言った。


 ピーン


「!!」

「隼人だ!」


 グループに1通のメッセージが送られてきた。隼人からだ。翔太は隼人の名前を呼んでLINEを見た。


『大丈夫だよ。翔太』


 隼人のメッセージを見て、皆がホッとした。


「隼人!無事だったかよかった。なんでLINEで送るんだよ。ミュート外せよ」


 翔太は小声で笑いながら隼人に言った。最初は、大声で話してたのに大丈夫なのかと心配もあった。でも、ほんとによかった。隼人が生きてて。


 ピーン


 隼人から返事がきた。


『ごめん…怖くて声が出なくて』


 メッセージで皆「ほんとに怖がりだな」とクスっと笑った。まるでいつもの隼人だ。


「隼人、まだ同じ場所で隠れてるのか?」


 宏平が小声で言った。


 ピーン


『ううん。今ね風呂場に隠れてるよ。隠れないと死んじゃうから』


「風呂場か!はは!すごいとこに隠れたな!隼人!」


 ピーン


『でしょ!僕でも、ここまで出来るようにと思ってね!』


 翔太と隼人は、いつも通りに戻った感じで普通に話をしていた。

 でも、なんでかな…

 隼人の所から水が滴るような音がする。ミュートにしてないのか?


「ごめんな。隼人。助けにも行けなくて……」


 宏平は、助けに行けないことにショックを受けていた。これが、申し訳ないという気持ちなんだなと実感した。


 ピーン


『ううん。いいよ。しょうがないよ。それに、宏平が来たらダメだよ。宏平が危ないよ』


 こんな状況になってもLINEを返せるほどって事は安全なんだな。


「塩水は、持ってるのか?」


 勇気が言う言葉に少し震えているのを感じた。翔太も勇気に続き隼人に話しかけた。翔太は、見た目に合わず心配性で、隼人の保護者みたいな感じだ。まぁ普通に考えて、逆だと思うんだけどね。


 ピーン


 隼人からきた。この音を聞くたびに隼人が無事かどうかが分かるから、安心する。けど…


『それが…前隠れてた場所に忘れたみたい。どうしよ。やっぱり僕死んじゃうのかな?』


「おいおい!どうすんだよ!勇気!こういう時、どうすればいんだ!?」


 翔太がまた、焦り出した。大声を出そうとしてる翔太。それを、我慢して小声で言った。


「悪いけどそこに、塩水があるなら、行くしかないんだ。ごめん。」

「他にねぇのかよ!」


 思わず大声で言ってしまった翔太。どうしても助けたい思いが強く伝わってくる。


「俺だってさっき調べたさ!でも、なんもでて来なかったんだよ、、、。」


 勇気は、一瞬大声を出したがすぐ、小声に戻った。


 ピーン


 いような空気の中、通知音がなった。隼人がどういうか、少し恐ろしくなった。


『翔太。僕、いくよ。僕が悪いんだから。』

「隼人……」


 隼人にしては、意外な返事だった。少し違和感に思えたが、怖がりをなくしたいのかな、とも思えた。翔太は、嫌だとも言えなかった。怖がりをなくしたい、そんなことは、とっくにきずいていた。


 ピーン


『行ってくるね。また、連絡するよ』


 隼人から返事がきたあと俺達は黙っていた。


「なぁなぁ、隼人ってなんか、変じゃない?」


 最初に口にしたのは、勇気だ。


「確かにな。隼人じゃない気はする」


 宏平もその後続けて言った。隼人がこんなに明るいはずはない。ビビりな隼人が、こんなに明るく話すなんてありえない。


「俺も思った。けど、ほんとに隼人だと思うぜ?」


 翔太は、そう言った。なぜ、そう思うのか?あれは、完全に隼人ではない気がするのに。


「なんで、そう思うんだ?付き合いが長のに」

「あぁ、俺も隼人かどうか疑ったさ。で、個チャで聞いたんだよ。『お前はほんとに隼人か?』って、そしたら写真が送られて来てよ。ほんとに風呂場にいたんだぜ?」


 ピーン


 翔太が、そう言うと個チャから通知音が鳴り響いた。どうやら、写真が来たみたいだ。隼人が写っていたがただなにかがおかしかった。服になにかついてるようにも見えたが暗くてよく見えなかった。


「確かに隼人だな」

「だろ?」


 勇気も来たらしい。隼人は生きていた。それは、ほんとだ。


「でも、これがほんとに隼人だとしたらあんな明るい返事、それに、自分から、塩水を取りに行くなんて、まるで隼人とは俺は、思えない」


「俺達は、隼人をかぶった偽物と話しているのか?それなら、俺達は誰と話してたんだ?」


 ピーン


 勇気と翔太が話してる中、通知音が鳴り響いた。


『戻ったよ!はぁ怖かった』

「お、おぉ」


 隼人のメッセージに戸惑いながらも返事をする翔太。もう、取りに行ったのかと不思議に思う。


 ピーン


 翔太から個チャでメッセージがきた。


『やっぱり俺は隼人が生きてると思う』


 翔太は、隼人が生きてると信じたいみたいだ。


「俺も信じたいよ……」


 宏平は、小さな声で言った。悲しげな言葉が頭に響く感じがした。涙が出そうだ。1番泣きたいのは、翔太なのになんで、俺が泣かないといけないんだよ。


「お前、本当に隼人か?」


 勇気が隼人に言った。やっぱり確かめたいみたいだ。


 ピーン


『生きてなきゃメッセージなんて送れないよw』


 隼人からはすぐに来た。確かにそうだ。生きてなきゃこんなにメッセージなんて送れない。


「だから、聞いたんだ。お前は本当に隼人なのか? 」

「はぁ?どういうことだよ?」

「隼人は、ビビリでこんなんに参加する奴じゃない。今回参加したのは、男を見せるため。だからといってここで男を、みせようなんてしない。それに、隠れる場所もおかしい。風呂場は、1番危ない場所だ。隼人がそんな所に行くわけない。たとえ、怖くて我を忘れても」


 勇気は、そういった。翔太は、なにも言えなかった。全部勇気の言った通りだからだ。


「それが、俺の理由だ。隼人。お前は、本当に隼人か?」


 ピーン


 隼人から10秒も経たずに返事がきた。


『まぁ確かに僕は、ビビリだよ!でも、それは、怖がりをなくすためだし、それに、風呂場に逃げたのは逆の考えをしたんだよ!』


 隼人も必死だった。でも、こんなに多い文字をこんなに早く送ってくるなんてありえない。


「ふーん。そうか。それにしても、隼人にしちゃめっちゃ早いな。打つの。それに、間違いもない。素晴らしいな」


 勇気は、疑問に思った事をスラスラ言う。なんか、怒ってるような感じがした。


 ピーン


 次は5秒もたたずにメッセージがきた。まるで、勇気の聞かれることがわかっているみたいだ。


『そりぁそうだよ!勇気が変なこと言うから!間違えないのは、たまたまだけど』

「へぇー凄いね。俺も見習いたいわぁ。教えてよぉ。隼人せんぱーい」


 勇気は、わざと隼人を怒らせていた。なぜ、そんな事をするのか全く分からない。


「おい!いい加減にしろよ!隼人は、生きてんだ!何回言ったらわかる!」


 翔太が大声で言った。


「僕は疑問に思った事を言っただけだよ?普通じゃない?」

「そうだけど……隼人にも言えないことがあるんだよ!」

「隼人が言えないことって何?こんな大変な状況で言えないの?」

「お前いい加減しろよ!ぶっ飛ばすぞ!」


 翔太と勇気の口喧嘩が始まった。大事な友達だから、生きてると信じたいのだ。わからなくもない。


「2人ともやめろ!今はこんな事で喧嘩をするな!勇気はただ隼人が生きてるのか確認したいんだ!それで、確かめたんだよ!知らない人と話すのも怖いだろ!」


 宏平は、小声で2人の喧嘩を止めた。


「あ、あぁ。わりぃ。ついカッとなってしまった。ごめん。翔太」

「い、いや、俺もごめん」


 2人は、宏平の言葉で仲直りした。宏平は、ホッと息をついた。


「…なぁ隼人…お前は隼人なのか?」


 翔太が隼人に質問した。やっぱり翔太も気になってたらしい。でも、いっこうに返事はこなかった。


 ピーン


 みんなは、ゾッとした顔でメッセージを見た。そこには……


『死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネ』


 画面がうめつくされるくらいに送られてきた赤い「死ね」のメッセージだ。


「な、なんだよ…これ…」


 一瞬で分かった。隼人じゃないと。隼人は、あの時死んだんだとみんなが悟った。


 ピーン


『あぁもうちょっと遊びたかったなぁ。せっかく2人の喧嘩までいったのに宏平くん邪魔しないでよ』


 凍りつく体。寒さに震える。声も出ない状態。なにを言えばいいかも、今どうしてこうなっているのかも、全く分からなかった。


 ピーン


『勇気だっけ?君、頭いいね?僕ね頭がいい奴が1番嫌いだから。次はお前をコロスネ』


 赤いメッセージで勇気の事が書かれていた。


「勇気!」

「だ、大丈夫だって宏平。そんな、早く死なないよ」


 勇気は、震えた声で笑っていった。勇気の話はもう、死ぬ前提で話していた。


「お前!なに死ぬ前提で話してんだよ!まだ分かんないだろ!それに、ただのぬいぐるみだ!ぬいぐるみが動くわけないだろ!?」

「じゃなんで隼人は、死んだんだよ」


 翔太がいきなり言い出した。宏平は、なにも言えなかった。確かに、隼人は、動くわけがないぬいぐるみに殺された。見てはいないがあんな怖がりな隼人なら絶対メッセージが来ない。


「宏平。心配し過ぎだよ。まぁ俺が死ぬかどうかはまだわかんねぇよ。だって、塩水があるからな」


【ひとりかくれんぼ】を終わらせるには、塩水をかければ終わり。それが【ひとりかくれんぼ】の終わらせ方だ。隼人は怖くて体が動かなかったのかもしれない。オカルトに慣れている勇気なら多分大丈夫だと思いたいが、隼人が殺されたのも事実。


「そうだけど……」

「宏平。勇気を信じようぜ」


 翔太が柄でもないことを言った。信じよう、、、。

 もう、何分たったのか全く分からない。時間を見てもまだ3時20分くらいだ。いつ、終わればいいのか全く分からない。終わらせたい気持ちもあるけど、怖くて足が動かなかった。ずっとタンスの中にいるのにまだ、20分しかたってないのか。足の先は冬の時期みたいに冷たい。冬に思うあの早く夏になればいいのにと思ってしまうほど、タンスの中が寒い。


「なぁ、時間進んでるか?」


 勇気が放った言葉に俺はハッとした。


「いや、進んでない、、、。俺、数字見たし、、。」

「だよな、、、」


 みんながそれに気づきゾッとした。


「え、どうなってんだ?電波がおかしいのか?」

「いや、俺らが電話繋がってるってことは電波は普通じゃね?」

「じゃどゆこと?」

「次元が違うとか?」

「…」

「…」


 勇気の言葉に納得せざる負えない。現実的では無いことが起きてるからだ。夢だと言い聞かせても、ちょっとしたカサッとする音、息、それだけで現実に戻される。怖さで幻覚が見えているのか微かに、周りが赤く見えてしまう。


 ガダン!


 みんなで考え込んでいると電話の方からものすごい音がした。何かが落ちたような音だ。


「な、なんだ!?」

「物音?勇気の方からだ!」


 宏平の声は少し裏返っていた。翔太は、少し冷静に答える。


「勇気!」


 宏平は勇気の名前を呼ぶ。が、返事がこなかった。


「う、嘘だろ……こんなに早く殺されるのかよ……」


 宏平は、頭をふせた。涙をこらえた。


「こ…へい」


 少しだが勇気の声が聞こえた。


「勇気!よかった!、、、なぁ!大丈夫だよな!!?」

「こう……へぃ……も…ぅ……おそいぉ……」


 勇気の声は今にもあの世に行きそうな声だった。苦しい声は全く聞こえなかった。あの数分で何があったか予想もつかない。


 グチャグチュ……グチャグチャ


 何か、奇妙な音が電話から聞こえた。


「勇気?勇気!!?」


 宏平は、まさかと思い声をかけたが返事は、なかった。ただグチャグチャグチュグチュという音ばかりだ。


「こ…へ……い。ガハッ」


 かすかだが勇気の声が聞こえた。とても苦しそう。


「勇気?勇気!!!大丈夫か!」

「こう……へい……翔太……ご…めん…生きてくれ……」


 勇気はそう言った。かすかに分かったのが勇気は、泣いていた。勇気の、体内がえぐられる音が混ざっていた。吐きそうだ。想像もしたくないのにしてしまう。


「勇気……ごめん……守れなくて」


 宏平は、小さな声でそう言った。涙が止まらなかった。こんな、友達は、勇気だけだったのに、なんで……なんで!!


 ジジッジジッジッ


 勇気の方からノイズみたいなのが聞こえた。


「ねぇねぇ、聞こえる?」


 ノイズと共に聞こえたのは子供っぽい男の子の声。


「聞こえてるみたいだね」


 なんにも言ってないのに男の子は、クスッと笑った。まるで、どこかで見ているようだ。


「僕ねぬいぐるみなんだ。名前は徹って言うの。かっこいいでしょ?勇気くんがつけてくれたの」


 勇気……名前を聞くだけでも胸が痛い。目から涙が流れる。


「どうしたの?泣いてるの?」

「…」


 もう、誰の話も聞きたくない。そんな、思いがあった。息が荒くなるのを感じる。


「そか…そりゃそうだよね」

「…」


 男の子は少し申し訳なさそうに言った。謝られてももう遅い勇気はもう居ない。


「だって……き……を……こ…た…ぼ……」


 ノイズがどんどんひどくなったがかすかに聞こえた。宏平はその言葉を聞こえていたのか怒りがこみ上げてきた。


「てめぇ!なんで!殺した!言ってみやがれ!!」

「宏平!落ち着くんだ!」


 宏平は、大声で言った。心臓が飛び出しそうなくらい大きな声で。こんなに怒った事は初めてだった。なにを言えばいいかとか、そんなのはスラスラ出てくる感じがした。言葉が少しまとまらない。


「……ひ……ひひひ……ひひひひひぁぁぁぁぁぁハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ」


 いきなり男の子は、高い声で笑い出す。耳が破裂しそうな不気味な笑い方だ。


「なにが、おかしい!!」


 宏平は、思った事をそのまま口にした。いい気分とは、言えない。だんだん喉が痛くなる。


「いやぁ、次は、誰を殺そうかな?って……ひひひ」

「殺すなら俺を殺せ!翔太に1歩もふれんじゃねぇ!」

「宏平!何言ってんだ!お前!勝手な事いうな!」


 翔太は、大声で言った。宏平は翔太を死なせたくない。これ以上勇気に罪をきせたくない。そう思った。この【ひとりかくれんぼ】を始めたのは勇気。だから、これ以上勇気に罪をかけられない!宏平は、強く胸に言いつけた。怖くない。大丈夫だ。そんな、言葉を自分に言い聞かせた。体は、震えて言う事を聞かない感じがした。こんなに震えるのも初めてだった。怒りと殺させという思いがいっぱいいっぱいで、また吐きそうになった。


「うーん。じゃぁ宏平くんが1番殺して欲しい人を殺そうかな。ひひ」


 ノイズが浅くなって今でははっきり聞こえる。

 宏平が1番殺したい人。一瞬で思い浮かんだ。宏平はずっと黙ったままスマホ画面を見つめる。子供は笑いながら遠ざかって行く。


「宏平。一応聞くけど殺したい奴って俺じゃないよな?」


 何分かたってから喋った翔太。苦笑いをして言った。


「翔太なわけないだろ」

「だ、だよなぁ」


 2人は作り笑いをして言った。

 俺が1番殺して欲しい人…それは…


「宏平?まだ、起きてるの?」


 お母さんの声だ。俺が大声を出したから起きたのか。


「…寝つけなくて」


 宏平は、スマホをタンスの中に入れて急いで母の方へと向かった。


「寝つけないからタンスの中に?」

「い、いや……その……」

「まぁ無理して話さなくていいわ」


 お母さんは、夜だというのに優しく笑顔で言ってくれた。昨日の事を謝った方がいいのか迷った。


「うん。ごめん。水飲んだら寝るよ」

「ええ、分かったわ。ちゃんと寝るのよ?」

「うん」


 お母さんは優しく言って部屋に戻った。俺も、タンスに戻ってスマホの電源をオンにした。メッセージが来ていた。


「こ、宏平。お前が1番殺したい人ってお母さんなのか?」

「え、なんで、、、」

「いや、その……」


 翔太は、躊躇ためらいながらも聞いてきた。俺は親が嫌いだってことは勇気だけしか話していなかった。それに、翔太にはその話は出来ないと思い話してないのだ。宏平は恐る恐るチャットを開いた。


『宏平のお母さんを殺そう♪』


 赤文字で書かれていたメッセージ。俺は一瞬頭が真っ白になった。その後急いで母の部屋に向かった。


「うわぁ!びっくりした!」

「はぁはぁ……」


 まだ母は、生きていた。よかったと口に出し息を整える。


「【ひとりかくれんぼ】って、他人を巻き込むのかよ」

「え?」


 宏平はボソッといった。


「母さんこっち!」

「え!」


 宏平は、いきなり母の手をひっぱり、タンスに隠れた。


「はぁはぁはぁ……多分、安全だ」

「いきなりどうしたの?大丈夫?宏平」


 母は、ポカンとした顔で言った。俺は、どう答えればいいか戸惑ったが、話すことにした。信じてもらえなくてもいい。人の死ぬところなど見たくない。


「今【ひとりかくれんぼ】っていう都市伝説をしてて、信じてもらえ…」


 説明しようとしたが母の顔は一瞬で変わった。全く話が読めない顔だったのが一瞬で、顔が真っ青になっていた。


「この【ひとりかくれんぼ】を終わらせるわよ!今すぐ!塩水は、どこ!」

「え……え……」


 母は塩水を見つけると、手に取り宏平の腕を掴んだ。宏平は驚きが隠せず口を開けたまま母に引っ張られる。


「風呂場行くわよ!早く!」


 母は、やっぱり知ってるみたいだ。なんで、知ってんだ?やった事あるのか?


「まてよ!なんで、母さんが知ってんだよ!」

「…やった事……あるからよ」

「え……」


 宏平は、タンスの前で足を止めて聞いた。母は、振り返りもせず戸惑って言った。察してはいたがまさかほんとにしてるとは思ってなかった。


最後まで読んで頂きありがとうございます。

今回は【ひとりかくれんぼ】実戦ということで、大変なことになりましたね。

そして、最後に明かされる「お母さんも経験者」。

これからどうなって行くのか、、、。


〜ひとりかくれんぼ、注意事項〜

・自分の爪や髪などのもの以外をぬいぐるみに詰めてはいけない

・塩水をこぼしてはいけない

・手順を間違ってはいけない

・実行する場合は必ず1人でする。

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