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Ⅰ 13月34日 -夜-

 

 家で泣く場所が無くて、夜な夜な外に出るようになった。

 嗚咽する時は隣の家の屋根の上。

 空想する時は交差点だ。

 

 隣の上の屋根はブロック塀と略くっついていてそれが段々低くなっていたので簡単に下に降りることができた。

 ひとしきり屋根で泣くと、そこから降りて近くの交差点に行く。

 大きな交差点で端っこに立ちながら空想する。

 やがてあの車が、私を迎えにくるのだ。

 ホントの家族は別に居て、ここから救い出してくれるのだ。

 あの白い車かも、次曲がったあの黒い車かも。


 何度も本気で期待して、何度も外れて、やがて現実に戻され涙が溢れる。

 本当に”溢れる”のだ。

 気持ちより先に体が悲しむ。

 その体が蛇口をひねったかのように涙が溢れだす。


 たまたま今日じゃなかっただけかも。

 そう微かな期待を残し、2日後には又交差点に立つ。

 

 やがて夜も闇も生活に欠かせなくなっていく。

 暗闇は狂気を許すようだ。

 昼間よりも居心地が良い。

 

 まだ私は人の姿をしているのだろうか。



 

 





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