お前は醜い
Ⅰ 13月31日 -お前は醜い-
小さい頃から母に整形を勧められている。
私はどうにも醜いようだ。
「自分がその顔だったら絶対整形してるわ」
「お前の夫になる人は家に帰ってお前の顔見ると浮気したくなるわ、きっと」
「今度の休みに整形してこい」
「お前ってホント悪人ヅラだよね」
私は少し大人になって整形しようとしたが、入った病院で
「今いくら持ってるの?お金あるならしてあげるよ」と言われカウンセリングや丁寧な説明など
準備が無いままの医師の「お金あるの?」に少し怖くなって帰ってしまった。
世界中の人が、同じように思っていると思っていて、ずっと下を向いて生きてきた。
最小限の事務連絡以外、押し黙ったまま下を向き、醜いことが広くバレないように努めた。
バレたらとんでもなく残酷な事になる気がしたからだ。
耐え難いほどの侮辱と攻撃を受けるのだと思っていた。
そう”想像”しながら生きる毎日は、精神的には”実際に起こりかけている”毎日だ。
有りもしない沢山の侮蔑や敵意に見つからないように警戒しているのだ。
トカゲのように地を這い睨み付けるような警戒心で以て、下から人々の表情を盗み見る。
今日もバレなかった。
明日も誰も私の存在に気がつきませんように。