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屋根の上の慟哭
Ⅰ 13月30日 -屋根の上の慟哭-
毎日のように怒られているので2日に1日は泣く。
夜勉強をしようと机に向かうが、どうにも精神状態が絶望し続けているので、溢れるように涙が出る。
涙が出続けて、悲しいというより絶望して泣く。
今具体的に何に絶望しているわけではないが、押さえに押さえつけた塊のような絶望感が涙を刺激する。
勉強が捗らず泣いているのがバレると怒られるので、部屋の小さな窓から隣の家の屋根に乗る。
隣の家は材木置場の倉庫であったので屋根に乗ってそこで泣いても聞こえることはなかった。
唯一声を出して泣ける場所。
唯一自分の声を出せる場所。
その暗闇の中で出るのは人間の嗚咽ではなく、獣の様な慟哭であった。
具体的な悲しみではなく、腹の底の絶望の念であった。
吠えるように鳴き 唸るように絶望に耐える。
今自分は人の姿をしているのか。
漸く自分の部屋に戻るため窓を跨いだとき、部屋の明かりで正気に戻る。
まだ自分には理性があり、まだ自分は人であるようだ。