情報とお金と健康
Ⅰ 13月37日 -情報とお金と健康-
当時、本か雑誌かラジオかテレビか親が情報源の全てであった。
親に相談できず、本も雑誌も買えずテレビもたまにのぞき見るしかできない私は圧倒的に情報が不足していた。年齢が上がるにつれ、所謂常識的なことを知らない私は全てを手探りと勘で切り抜けるしかなく、あらゆることが困難になり始めた。
小学生も高学年になると周りの子は流行の髪型やアイドルやドラマや歌や番組や趣味や化粧、料理や手芸等女の子ならではの、世間に溢れる情報に触れていくようになる。その話題にも、ノウハウにも全くアクセスできないでいた。
まるで長い長い暗い洞窟の中を、泥にまみれて一人、這っているようであった。
やがて彼らと違う異常な世界に生きているのだと認識するようになった。
しかしその部分では大して辛くなることはない。
それは私の生活の困難な内の、ごく軽い方だったからだ。
問題はお金と健康であった。
お腹が常に空いていた。
親に相談できない以上体の色んな症状をどうすれば良いか自分で知る必要があった。
子供が自分でできることはたかがしれている。
やり方は間違っていることも重々承知だ。
しかし誰が非難できるだろうか。
この惨めな小さい生き物が、生きるために仕方なくすることを。