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[序]星屑の漂流者—水の大賢者—  作者: くろめ
1つ目 水の光玉
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閑話 ローグ・デビュー

 彼女は孤児みなしごだ。

 この世界に生まれ落ちてからの両親の顔を見ていない。


 そもそも親とは何なのか。それを少女は何となく識っていた。

 孤児であるが故か親という存在について、あまりにも偏見に満ちている。

 その保持していたイメージは固定化されたまま変わることはなく、この世へやってきて13年の月日が経過する。


 教室の後ろでクラスメートが家族について話題にしているのを耳に挟んでも、あからさまな創作であるとし聞き入れることはない。


「ねえ夜天くん聞いてよ。昨日ママがね——」

「ご両親本当に仲良いよねえ〜。僕は片親だから——」

 

 その家族の話題が不快であったのか、少女は椅子から立ち上がる。


 「……夢を見ている。まやかしだわ」

 

 ボソリと誰にも聞こえないような声で呟くと、長い金髪を振りまくかのように振り返り、不機嫌そうに教室を後にする。


 その様子をふと見ていた夜天くんもとい少年は、その少女に対して違和感を感じる。


「……あんな子、居たかな」


 少年は記憶力に自信がある。

 中学校生活が始まり約3ヶ月が経過しているが、クラスメートにあのような長い金髪の少女が居た覚えがない。


「えぇ!? 夜天くん知らないの……? 乙咲さん」

「乙咲さん……? フルネームは?」

乙咲オトサキ 鈴香スズカ。誰かとつるんでるのは見たことないかも」


 少年にはピンと来ない。居た覚えがないのだ。

 あのように目立つ髪色の人が居たなら、真っ先に気がつくはず。

 このクラスに居る人間は皆暗めの髪色なのだから。


 些細な違和感と不思議を得た少年は、少女を観察することにした。

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