38:魔界へ
3章始まりです。
2章の冒頭にも書きましたが、仕事がまだ忙しい状態なので感想返信が遅れるかもしれませんが、目を通すようにはしますのでドシドシ書いていただけたらと思います。
またある程度先の話まで予約投稿しているため、読者の皆様をお待たせすることはないと思います。
いよいよその日が来た。
私たちはそれぞれしっかり準備した。
私とマリアさんは攻撃魔法や支援魔法を使うので、魔力回復のポーションを、シオンさんは矢の補充、エレンさんは体力回復のポーションをそれぞれを準備した。
大丈夫。きっと成功する。
成功してスザクと・・・。
ってそれは気の緩みにつながる。
冒険者たるもの、依頼前はその依頼に集中するんだ。
「おお。来たか」
既にスザクとティアさんとドレークさんがいた。
「皆さん、ノーランド山の調査ということで、わかっていると思いますが、勇者様が言うように四天王がいる可能性があります。十分注意してください。」
いつも素敵な笑顔のワカバさんが不安そうな顔をしてい言った。
「・・・それではご無事で。」
最後はやっぱり笑顔で送り出してくれた。
「ありがとう。さあ行こう。」
ティアさんが張り切って皆に声をかけた。
「・・・おや、ジュリアくん。その首飾りの緑の石は」
ドレークさんが唐突に声をかけてきた。
私の首飾りを見ている。これは私が村を旅立つときにお父さんとお母さんから貰ったものだ。
「ちょっとドレークさん。私がさあ行こうって言ったばかりなのに・・・。」
ティアさんはむくっと頬を膨らませて言った。
自分の掛け声でさあ出発ってなったのに、ドレークさんに止められてしまったことに怒っているのだろうか?
そう思うとティアさんにも可愛い一面があるんだなと思った。
・・・目は笑ってないけども。
「ご、ごめんねティアくん。それでジュリアくんそれは?」
「あ、これは私の父と母がくれたものです。」
私がそう言うとドレークさんは赤い石を取り出した。
「色違うけど似ているね。」とニコニコしながら言った。
そして何かぶつぶつと言っている。
「・・・ドレークさん?」
私は声をかけた。
「あ、ごめんね。」
とドレークさんは言うと、赤い石をポケットにしまった。
「ジュリアくん、ティアくんが凄い目で見てくるから手短に言うけど・・・。
本当にまずいことになったら、その石に願ってみてね。」
「えっ?」
「そ、それじゃあティアくんが怖い顔しているから、いってらっしゃい。」
ドレークさんは結局何を伝えたかったんだろうか。
変わった人だなぁという気持ちを心にしまって、ノーランド山へと向かった。
*******
ノーランド山は魔物が活性化してないためか、比較的に楽に奥地の部屋まで来ることができた。
「ルギウスは・・・いないな」
ティアさんは静かに言う。
「確かここでこの黒い珠を壊せばいいんだよな」
「ええそうですね。じゃあ僕が壊しますが、準備はいいですか?」
私たちはスザクの言葉にコクリと頷く。
この黒い珠を壊すことで魔界の扉が開かれる・・・はずだ。
「じゃあ行きます」というとスザクは剣を抜き、黒い珠を切って粉々にした。
すると部屋の奥の方が黒く輝きだした。
「うう、まぶしい」
私たちは思わず腕で目を隠す。
そしてその輝きが収まると・・・・。
部屋の奥に「黒い穴」が開いていた。
まるで何かを吸い込むに黒いものがうずまいている・・・。
これが、魔界への扉なのだろうか?
「さあ、行こう。」
スザクは覚悟を決め、扉に向かって歩き出す。
私たちもそれに続く。
魔界の扉に足を踏み出した。
*******
気づいたら、私たちは、空が紫の世界にいた。
ここが魔界なのだろうか?
「みなさん、無事ですか?」
スザクが声を出す。
「私たちは無事だ。」
エレンさんがいう。
「私も無事だ。・・・ここが魔界か?」
ティアさんが回りを見ながら言う。
想像していたよりも綺麗な場所だと思った。
空は紫色、でもポイズンバタフライの出してきた粉よりかは不気味じゃない。
草木と思われるものも、私たちの世界では緑が主体であるが、魔界では黒が主体なのだろうか。
「あそこが魔王のいる場所でしょうか?」
マリアさんが指差す方向には、立派なお城のような建物があった。
「だな、気を引き締めていくぞ。」
エレンさんの言葉で私たちは城へと足を進めた。