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29:待ち望んだ偶然

暑いですね。熱中症には気を付けたいです。

「ジュリア。こいつら知り合いか?」


 エレンさんは問う。


「いえ、知らない人です。」



「それはないぜージュリアちゃん。モック村の南の森で一緒に過ごしたじゃーん」


 あー・・・

 あの時、氷漬けにした男冒険者か。


 そして隣にいるメガネの男冒険者は・・・


「モック村の南の森で、僕のものになると誓ったの思い出したかな?」


 依頼が成功したらって言葉を忘れている。そもそも成功してもならないけど。



 そして私が一番根に持っているのがその隣にいる屈強な男・・・



「久しぶりだな。『まな板』のお嬢ちゃん」




 ま な 板 筋 肉




「ジュリアさんを『まな板』って、バカにしてませんか?」

「何言っている事実だろ『まな板』は」

「ジュリアちゃんは確かに『まな板』だぜー」

「わかってませんねぇ。その『まな板』が魅力的なんでしょうが・・・」


 この男たち禁句を4回も・・・。



 私も冒険者。ギルドで争いごとはいけない。

 冷静に冷静に。


「私はジュリアです。『まな板』ではありません。」

「それであんたらは私の仲間に何かようか?」


 エレンさんは凄む。流石の迫力だ。



「あんたエレンちゃんだろー俺たちのパーティと一緒に組まないかー」

「断る。」


 エレンさんは即答する。



「おやおや、私たちは、エイシェントドラゴンを余裕で倒せるだけの実力ですよ」

 その言葉を聞いて「えっ」と私は思わず声を出す。


 私たちでもこの前、ギリギリ倒せたモンスター。それを余裕で倒せるかのようにいうメガネの冒険者。



 ・・・正直こいつらをなめていたかもしれない。



「あなたを自分のものするために頑張りましたよー」


 私はスザクのだ。




 って言いたい。



 でも別に私と彼は恋人同士ではない・・・。そのことを痛感して私は下を向いて黙る。



「断る。」

 エレンさんは再び即答する。


「あなたは耳がついているのでしょうか?」

「そういいたいのは私だ。私は断ると言っているのだが?」

 エレンさんは相手の挑発を挑発で返した。


「俺たちがエイシェントドラゴンを倒せるってのを疑っているじゃねー」

 と軽薄男が言うと、「ワカバちゃーん、事実だよねー」と大声をあげた。


「えっ、あっなんでしょうか?」

「俺たちーこの前エイシェントドラゴン討伐したよねー」

「あっ、はい。そうですね」

 ワカバさんはどんな時でも素敵な笑顔で対応する。


「はい。これで証明しましたよ。だから」

「断る」

 エレンさんはブレずに即答した。


「どうやら俺たちの実力を見せてやらないといけねえみてえだな」

「そのようですね。さあジュリアさん私たちの一歩を踏み出しましょう」


 違う、私はスザクと一歩を踏み出すんだ。

 そのメガネの冒険者は私の腕をつかもうと手を出してきた。





 男の腕は誰かに掴まれた。





「痛」

「断るって言われているのにしつこいですね。」


 この声は・・・。



「スザクくんかぁ」

「ここは一旦引きますかねー」

「もう少しでジュリアさんを私のものにできたのに・・・」


 とまな板筋肉たちは引き下がった。


 最後変な言葉が聞こえた気がするけど・・・。




「久しぶりだね。ジュリア」

「へ、あ、うん。」


 心から待ち望んだ『偶然』が突然起こったことで、私の思考は完全に停止していた。





 *******



「ジュリアと一緒にまさかマリアさんが冒険者やっているなんて。以前はアンデッドドラゴンの呪いを解いてくれてありがとうございます。」

「いえいえ。」


 スザクが私たちが待機しているテーブルに座った。そしてマリアさんと会話していた。


「それでジュリア、こちらの二人は・・・?」

「・・・・」

「おーい」


 私は『偶然』について行けず、思考が止まっている。


「あの、えっと」

「あー私はエレンっていうんだ。」


 私の様子を見て、エレンさんが自己紹介した。


「エレンって、あの最近ゴールド冒険者として認められた拳姫けんきのエレンさんか。ということは」

「シオンよ。よろしくね。スザクさん」

「必殺必中のシオン・・・。よ、よろしくです。ジュリアって凄いパーティに属していたんだね・・・」

「そうだよスザクくん。」


 たゆんたゆんと登場したのはティアさん。ギルドの仕事は片付いたのだろうか?


「ティアさん。」

「まあ君は討伐依頼で忙しかったから知らないのも無理ないけど。それで今回は?」

「はい。全部依頼達成してきましたよ。」

「んー流石だな。じゃあ後は私が処理しておくよ。全くエイシェントドラゴン5匹も倒してくるかねぇ・・・」


 さらっとティアさんが飛んでもないことを言ったような。



「あとその娘たちを例の件の調査に加えるから、よろしくな」

「え、え、え、ティアさんあの時の心当たりって・・・」



 するとティアさんはスザクに顔を近づけて、小声で言った。




「だってその娘たち全員、勇者の秘密を知っているから適任だと思うぞ」

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