19:助っ人
本日から第2章です。
タグに新たに「異種族」を追加します。
彼と約束をして、半年が経った。
村長さんとの修行は順調そのもので、
「もうワシが教えることはないのう」
と嬉しそうな寂しそうな声で言ったのは印象的だった。
村も変わった。
モック村南の森の素材採取依頼が正式にギルドが発行されたおかげでこの村に訪れる冒険者が増えた。
そのおかげで村は人の出入りが多くなり、賑わいも見せてきた。
ただ、素材採取の依頼を失敗する冒険者が続出した。意外と南の森は難易度が高いところなのだろうか?
スザクは一人で当たり前のように素材を取ってきたところなので、ギルドはブロンズ級として設定していたが、実際はもっと難しかったらしく、難易度をシルバー級に設定しなおしたらしい。
私は冒険者ではないのでブロンズとかシルバーとかよくわからなかったけど、村長さんに教えてもらった。
私もたまに冒険者パーティの助っ人として南の森に行くこともあった。
でも結果としては失敗続き。
ブロンズ級のパーティの助っ人だったのでパーティとしてそもそも攻略する実力がなかったり、
軽薄な男冒険者が私に触れてこようとしたので氷漬けにしてやったり、一見優しそうな冒険者が、この依頼に成功したら僕のものになってほしいとか言ってきたので氷漬けにしてやったり、私のことを「まな板」とか言った男冒険者を氷漬けにしてやったり。
なんかだいたい私が氷漬けにしたせいで失敗しているような気がするけど。
難易度をブロンズ級からシルバー級に設定したことで村に訪れる冒険者は減ったが、それでも村はスザクが王都に向かう前よりずっと賑わっていた。
ある時、南の森の採取依頼に噂になっている冒険者が来るとのことだった。
もしかしてスザクかもと心を躍らせたが「美女コンビ」の冒険者とのことだ。最近シルバー級に昇格して、とにかく成長度が凄い「美女コンビ」だそうだ。
女性の冒険者は男性より少ない印象がある。良かったら助っ人として同行できたらいいなと私は思った。
*********
「モック村の南の森の依頼だったから、もしかしたらジュリアに会えると思ってな」
「ジュリア元気にしてた?」
「私は元気です。エレンさんもシオンさんもお元気でしたか?」
その冒険者コンビというのは、エレンさんとシオンさんだった。
「早速ちょっと聞きたいことがあるんだかいいか?」
「はい。なんでしょうか?」
「この村に噂の氷の魔術師がいるってきいてな。助っ人として私たちと一緒に来てほしいんだが、知っているか?」
ん、もしかして・・・。
「なんかナンパしてきた男を氷漬けにしたという噂もあるのよ。」
「・・・・・」
それはですね。
「ん、どうかしたの?ジュリア」
「・・・・それもしかしたら私です」
まさかの形で助っ人として同行できることとなった。
*************
南の森に向かう道中・・・。
「あのジュリアが屈強な男冒険者を氷漬けにするまでになるとはな。」
「エ、エレンさん違います。それは男が私に触れてこようとしたからで・・・」
「うふふ、それで氷漬けにしちゃうなんて。ジュリアっておとなしい娘だと思ったけど意外とやるのね」
「シオンさんもからかわないで」
こうやって女性とワイワイと会話するのは久しぶりな気がする。
スザクとの心の距離に悩んだり、魔法の修行に明け暮れた日々だったから・・・。
洗脳され、魅了状態にされていた頃以来かもしれない。
洗脳されていたことなんて消し去りたい過去だけど、その間に出会ったエレンさんたちとの出会いをなかったことにはしたくない。
エレンさんの言う通り、洗脳で失ったものが多いからこそ、その過去を乗り越える「同志」は大切にしたい。
けど私は一つ気になっていることがある。
なんでこの二人は冒険者をやっているのだろうか。
もしかして、もしかして。
私がそんなことを思っていると森の入り口についた。
「ジュリア。私たちが冒険者やっていることに疑問に思っているかもしれないが・・・」
エレンさんには私の考えていたことはお見通しだったようだ。
「そのことについてはちゃんと説明するって約束する。だが今はこの依頼の成功に集中してくれ。」
2章が始まりましたが、仕事がかなり忙しくなりそうです。
感想に対する返信が遅れることもあるかと思います・・・。
せっかくの感想に書いてくれる方には申し訳ないですが・・・。
できるだけ目を通すようにしますので、ドシドシ書いてください。
また一応予約投稿済ではあるので、私が仕事で忙し過ぎたり、忙しすぎてぶっ倒れてもしばらくは投稿されるようにしてあります。
皆様をお待たせすることはないのでご安心(?)ください。