表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
123/132

呪い

「アンデッドドラゴンの呪いですか。これは強力な呪いですね。」


 ―『アンデッドドラゴンの呪い』


 という言葉に私はパニックになった。

 神父様が私の様子を見て落ち着かせた。


 彼は呪いの解呪を始めたが、苦戦しているみたいだった。



「この呪いを受けてもピンピンしているのは、流石スザクくんということか。」


 この剣士さんのお名前はスザクさんというらしい。


「いやそんなことは・・・。」


 神父様に褒められて、マゴマゴするスザクさん。


 その反応を見ると、本当に彼がアンデッドドラゴンを倒したのが不思議なくらい、可愛い反応だった。



「けれど呪いをしっかり解呪しないと、徐々に影響が出てくるだろう。」


 この呪いは数ある呪いの中でも、間違いなく最上級に強力な呪いだ。

 今は元気でも、放置していればきっと身体を蝕んでいく。


「マリア!」

「ひゃい」


 神父様に突然名前を呼ばれた私は変な返事をしてしまった。


「ひゃ、ひゃい?」

「いえ、申し訳ありません。」


 は、は、恥ずかしい・・・。


 私は手で顔を隠した。




 ・・・ふとスザクさんの反応が気になった。

 私は中指と薬指の間を少し開けて彼の顔を見た。




 その顔は笑顔だった。

 カムイくんに似た穏やかで優しい笑顔。



 カムイくんの方がカッコいいだろうか。

 でもスザクさんも屈託のない可愛い笑顔というか・・・。



「マリア、スザクさんの呪いの解呪に協力してください。」

「ひゃ、はい。」


 また変な返事をしそうだったが、しっかり返事をした。




「ふうー」


 私はゆっくりと息を吐いた。



 神父様でも解呪に苦労するアンデッドドラゴンの呪い。


 私が力になれるだろうか。



「マリアさん。」


 スザクさんに声をかけられた。


「お願いします。」



 トクン。


 また胸が高鳴った。



 このまま呪いを解呪できなかったら、きっとこの笑顔も・・・。


 それは嫌。


 この笑顔を守るために・・・。


 私は全力で解呪の魔法を唱えた。



「優しい魔法ですね。」


 彼はそう微笑んだ。


 なんだろう。

 今、ものすごく力が沸く。



 今の私なら、アンデッドドラゴンの呪いだろうが、魔王の呪いだろうが解呪できる気がする。



 これ以上、優しく可愛い笑顔を蝕むことは許さない。


 呪いよ、彼から出ていけ。






「マリア、よくやりましたね。」

「はあはあはあ。」



 初めてこんなに気合いを入れて、魔法を唱えた気がする。

 私は息を切らしていた。



「あ、ありがとうございます。神父さんと・・・マリア、さん?」



 スザクは頭をペコっと下げる。

 そして私の名前を自信無さげに言いながら、お礼を言った。



「はい。マリアです。」


 自分でもわかる。

 今私、凄い良い顔をしている。


「マリア。スザクさんは、まだしばらくここで安静する必要があります。」


 神父様が声をかけてきた。


「そ、そうですよね。」


 ちょっと前まで呪い状態だったのだ。

 解呪できたとしても、いきなり身体を動かすのはいけないのだろう。


「だからマリア、安静にする彼と一緒に居なさい。」


 へ?

 彼と一緒に?


「スザクさんのお話相手になりなさい。」

「ひゃい。」



 私はまたも変な返事をしてしまったけど・・・。



「あのスザクさん。」

「は、はい。」

「これからよろしくお願いします。」

「よ、よろしくお願いします。」

アンデッドドラゴンの呪いを解いた時の話でした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 知らないとはいえ罪なことするよ、この神父様……。
[良い点] マリアの思いもしなかった楽しげな姿。 続きを楽しみにしています。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ