ツアー代金の謎
最近、桜を見る会の前夜祭で金銭の流れが問題になっているが、政治家の先生方は自費で旅行していないのか、ツアーの代金の流れを理解していないようだ。
まず、ツアーの中のイベントにはパックとオプションがある。パックの場合は、ツアーに組み込まれているため、参加者はツアーの実行責任者であるツアー会社と契約する。オプションの場合は、参加者がオプション企画の実行責任者と契約する。
さらに、イベントには企画と実行があって、通常は企画者が事前に企画料金を実行者から受け取るか、歩合で受け取ることになる。
パックの場合は、参加者はツアーの実行者との間の契約になるので、収支は発生する。
そこで、実行責任者がホテルでオプション企画であったとしよう。事前に企画ができているから企画が参加者個人というのはありえないので、政治家の事務所等が企画者とみていいだろう。ただ、対価を要求していないので、企画だけでは収支は発生しない。また、一般にオプション企画を旅行会社が宣伝しているとしても、宣伝だけなら収支は発生しないだろう。
オプション企画に対して、添乗員が代金を代行して集めることはある。通常の企画では参加人数に応じてマージンがあるからだ。だか、今回はマージンは無い。だから集金代行自体にも収支はない。
つまり、オプション企画である限りにおいては、企画者の収支を追求しても無駄である。そこで、実行責任がどこにあるかが重要である。参加者はオプション企画の実行者との契約になるから、仮にそれがホテルなら、ホテルと参加者との契約になる。事務所なら事務所との契約になる。この間であれば、マージンが0円であっても収支は存在する。
この場合、企画段階で仮だとしても予約をとっているわけだから、予約者が実行責任者とみることができるだろう。企画だけしか請け負わない者が会場を実際に予約することはない。ホテルが実行責任者であれば、予約者は存在しない。
ただ、万が一にホテルが実行責任者であった場合、色々問題が出てくる。特定の政治家の後援会企画をホテルが主体的に実施したことになってしまう。いくらもちこみ企画だとしても、これはこれでまずい。さらに料金設定をホテルがしたとなればなおさらである。企画者が5千円で一任します。ということなら問題はないが、ホテルが説明もなく5千円なら請け負うよと言ったとすると、企画がまるなげしたことになる。企画自体もホテル主導ということになる。
敵を攻めるには、仲間割れをさせるのが、古今東西の定石である。相手が裏切ったのではないかと、疑心暗鬼にさせて、寝返らせる。はてさて、今回の件は、ホテルと政治家が仲間割れするのだろうか?