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Encount ―邂逅―

タグにダークとか暗いことばかり書いてますが、この作品は基本的に王道ファンタジーものの世界観です。


前回は空白の使い方が分かっていませんでした。読みやすくなってるかなと思います。


 ぱちぱち……


 何かが小さく鳴る音と、わずかに香る煙の匂いで私は意識を呼び起こされた。

 ゆっくりと眼を開いた私が、まず最初に見たのは木々と生いしげる葉っぱだった。


(あ……私、生きてたんだ……。)


 何故、どうして。そんな疑問が浮かぶよりも先に、まず私は自分が生きていたことに……死んでいなかったことに内心ガッカリしていた。

 葉っぱの僅かな間から差し込む太陽の光を見るに、もう朝方なんだろう。


 グッスリ眠っちゃったのかな……。

 そこまで考えてやっと意識を覚醒させた私は身体を起こした。


 身体には灰色っぽいコートのようなものがかけられていた。身体の下には布も敷いてあった。

 覚醒したばかりの私はそれを確認して、ようやく誰かに助けられたんだろうと察することができた。

 親切心だったんだろうけど、ありがた迷惑ってヤツよね。こっちは過程はともかく最初から死ぬつもりだったんだし。


 少しだけ不機嫌になった私は、親切に私を助けた相手に抗議をしてやろうかと考えながら辺りを見回した。


 私から見て横の方には焚き火が残っていて、その横には少し大きめの薪が何本も転がっていた。そしてその焚き火を挟んで私の向かい側には私と同じように布が敷かれていて、誰かがそこで寝ていたことがすぐにわかった。

 しかし、近くに人の気配は無かった。


 何処かに行ってしまったのかな?

 そう考え始めた私の背後から叫び声が聞こえた。


「あぁ! 起きた!?」


 いきなり聞こえたその声にかなりビックリしながら、私は急いでうしろを振り返った。

 少し離れたところには大きな湖が広がっていた。きっと私が溺れていた場所だろう。そして、すぐ近くには薄紫色の花畑が広がっていて、その中に誰かが立っていた。


 目の前に立っていたのは私とそんなに年が離れてなさそうな1人の少年だった。

 黒の薄いインナー、上と同じ黒いズボンは全体的にゆったりとした感じ。顔立ちは割と普通、カッコいいと言うよりは童顔に近い、多分。背丈も160cmあるかないか、高すぎず低すぎず。


 そんなパッと見ではなんの変哲も無い少年だったけど、ただ一つだけ違和感があったのは背中。

 その背中には成人男性の上半身ほどはある何かを斜めに背負っていた……いや、何かじゃ無い。多分剣じゃないかな、アレ。


「いやぁ、心配したんだ。身体の中に溜まった水は抜いたし、息もしてたけど目を覚まさなかったからね。」

「えっと……あなたは?」

「あ、そっか。自己紹介がまだだったよね。 僕はマオ、よろしくね。」


 律儀に、そして笑顔で私に手を伸ばしてくる彼…マオは自己紹介した。

 面を食らっていた私は、抗議するのを忘れて戸惑いながらもその手を握り返して名乗ることにした。


「私はしおん、神木紫苑(かみきしおん)

「シオンか……いい名前だね。なにか意味があるのかな?」


 今まで他人から話しかけられたとき、大抵悪意や嘘を前面に押し出して接せられていた私は、少なくとも彼にはそれらと同じような嫌味や悪意……いわゆる負の感情って言われるものを感じなかった。


「別に意味なんてないよ。多分適当につけた名前だろうから。」

「あ、そっか……。ゴメンね。」

「ううん、気にしないで。別に私もなんとも思ってなかったから。」


 マオと話していると、何故だか心が澄んでいく。そんな気がした。

 けど、それは本当に気のせい。話をするだけで私の中の穢れたものが本当に澄んだりするはずがない。


 本当にやろうとしたことを思い出した私はもう一度自殺をする前に、マオに聞いておきたかったことがあった。


『ここは一体どこなのか』


 少なくとも私が飛び降りたのは学校の屋上だった、それは間違いない。にも関わらず、気付いた時には湖に浮かんでいた。

 ここはどこなのか、そしてどうしてそんなことが起こったのか。それを聞いてから死んでもいいかな。


 そう聞いた私に、マオは衝撃的なことを話し始めた。


「え、ここかい? ここはアンフィス・フォレストのはずだよ?」


  …………は?

 マオはもしかして私をからかっているのかな。

 そう感じたけど、目の前のマオは特におかしな様子を見せなかった。さっきまでと一緒で思ったこと、知ってることをそのまま伝えたいようだった。


「えっとね……ごめん、なに言ってるかよくわからないんだけど。」

「え? もしかしてここってアンフィス・フォレストじゃないの? もし間違えてたならゴメン。

 僕も旅をしててさ。今滞在してるフロハ村から野暮用で出かけたばかりで。道間違えちゃったのかな?」


 ???

 またもや意味不明な単語が出てきた。アン……なんとかフォレスト? フロハ村?

 頭を抱えそうになるのを抑えながら、私は恐る恐ると言った様子でマオに聞いてみた。非常に重要なことを……。


「ねえマオ、ちょっといいかな?」

「いいけど……今度はどうしたの?」

「えっとね。その……ここって日本で合ってるよね?」


 当たり前のことを……私の常識が正しいなら100%間違いないその質問に全てを託した。

 そんな変なこと起こるはずがない、だから否定してほしい。もうとっくにエイプリルフールは終わったんだから……!


 しかし、そんな私の最後の希望は脆くも崩れ去った。


「に、日本? ごめん、聞き覚えないかな。そこってどこ?」


 瞬間、私は雷に撃たれたかのようなショックを受けた。

 新しいタイプのいじめ? それともドッキリ?

 現実を受け入れられなくなってきて混乱し始めた私の姿はすごくわかりやすかったんだと思う。目の前のマオが慌て始めたのだから。


「え、もしかしてシオンにとっては当たり前のこと? ってことは……あぁっ!?」


 目の前で、またいきなり叫んだマオはショックで混乱していた私の両肩を掴むと、真剣な表情で声を紡いだ。


「もしかしてシオンって、ここの世界の人じゃないの……!?」


 ここの世界? どの世界!? ていうか何の世界!?


 訳が分からなくなってパニックを起こしていた私が落ち着くのは、それからしばらくあとのことだった。




♦︎




「えっと、つまりシオンは自分から命を断とうとしたんだね。そしてそのガッコウってところから飛び降りた……けど気付いたらこの世界に来ていた、と。」

「そう……かな? どうなんだろ?」


 落ち着いてからマオに事情を説明した私は自分でもかなり困惑していた。


 異世界転移……ってやつだっけ? クラスメイトの誰かがよくそんな作品を読んでたと思う。まぁ私はイジメとかのせいであんまり他の子と言葉を交わしたこともなかったけど。


 そんなことを考えながら思案していた私に、マオがまた真剣な表情を浮かべて私をじっと見ていた。

 なんだかこう、異性に見られると落ち着かないかな。そう考えていた私を前にマオが口を開いた。


「事情はわかったよ……けど自分から命を捨てるのはダメだ。それは、自分が生きる場所を……明日を捨てることになるんだから。」


 マオは私の(認めたくはないけれど)父が殺人を犯した犯罪者だと説明を受けたにも関わらず、私にさっきまでと変わらずに接してくれた。なんて出来た子なんだろう。


「うん……そうかもね。けど私にはもう居場所なんてないから……。」


そんな彼とは対照的に、人を殴った挙句に逃げ出した醜い自分が嫌になってきた。相槌をうちながら同意する私の心境を察してか否か、マオは突如話を切り出した。


「そうだ、良かったらシオンも来るかい? フロハ村に。新しい世界……新天地でなら、シオンもきっと楽しく過ごせるかも知れないよ?」


 それはきっと彼なりの気遣いだったんだろう。それを無下にするのも忍びない。そう思った私はマオに同意して、一緒にフロハ村という場所に行くことにした。

 死んだも同然の自分に広がる、異世界らしい場所。一体どんな世界なんだろう、そしてそこに私の居場所はあるのだろうか……。そんな僅かながらの期待を胸に輝かせながら、私はマオの後ろを付いていった……。




♦︎




「けどシオンは凄いね。普通、自分が本来いるべき世界じゃない場所に来てしまったら、もっと困惑なりすると思うんだけど。」

「うーん……多分、今も心の何処かでこれは夢か何かだと思ってるのかも。突拍子がなさすぎて現実味を感じないって言うか。」


 アンフィス・フォレストの中を歩きながら、私はマオと会話を続けてながら、ふと思ったことを聞くことにした。


「そういえばさ、マオはどうしてこの森に来ていたの? 野暮用って言ってたけど……。」

「ああそれ?  実は君が溺れていたあの湖にはよくアーティファクトって呼ばれるものが流れ着くんだ。その謎……要は湖のひみつを調べてたんだ。まあ成果は全くなくて、じゃあフロハ村に戻ろうかって思った時に近くでシオンが溺れてたってわけ。」

「へー……ところで、アーティファクトって?」


 人工遺物を意味するその言葉を聞いて、私は首を傾げながらマオにまた質問していた。


「アーティファクトって言うのは、こことは違う時代とか世界から流れ着いたと思われるものを言うんだ。例えば……これとか。」


 そう言ってマオは腰に巻いていた風呂敷の中からあるものを取り出した。

 一体どんなものだろう。そう思っていた私の前にマオが差し出したのは、私自身も見慣れたものだった。

外観は古い茶色い石のようなものだったけど、その中心には円状に並んだ数字と3本の針が規則正しく動いていた。


「コレって、時計?」

「へぇ、シオンたちの世界では時計って言うんだね。僕らの世界じゃクロックって言うんだけどね。」

「あ、私の世界でも国によって呼び方が違うの。その中にはクロックって呼び方もあるの。」


 そう説明した時、私の中にまたもや疑問が浮かんでいた。


「そう言えば、なんで私ってマオと普通に会話できてるんだろ? 偶々日本語と言語が似てたのかな?」

「え? あーそれは、その……ごめん!」


 しばらく言いよどんでから、マオは手のひらを合わせて頭を下げた。

 今日幾度目かのマオの謝罪。始めた会ったばかりの人に何回謝られたんだろう……。かく言う私もさっきから質問ばっかりなんだけどね。

 そんなことを考えながら、私はマオに続きを促す。


「どうしたの、突然?」

「じ、実はそう言った場合を考えて、シオンにちょっと言語のエンチャントを施したんだ……。」

「エンチャント? なにそれ?」


 私が率直に思った疑問を口に出すと、マオはすぐに説明してくれた。


「エンチャントって言うのは、自分の魔力や他のスキルを、物や相手に付与するスキルのことだよ。」

「ふーん……え? 魔力? スキル?」


 一旦聞き流しそうになったその発言を、私は急いで聞き返す。何かとんでもない発言が聞こえたと思うんだけど。

 そう考えていた私と、その様子を見て疑問に思ったのか首を傾げていたマオ。


 そんな私たち2人の近くで何かが響いた。



 ヴォォオアアア!!



 森中に響いたそれはどう聞いても鳴き声。けれど、私はその鳴き声を人生で聞いたことはただの一度も無かった。


「な、なに今の!?」

「……下がって。」


 狼狽える私を腕で制しながら、マオは背中に刺していた物へと手を伸ばしていた。


 しかしそんな彼の動きよりも早く、近くの茂みから巨大な影が飛び出した。


「伏せて!」

「きゃっ!?」


 マオに半ば突き飛ばされる形で地面に転がった。

緊急事態なんだから仕方ないけど、もう少し手心を……

 心の中でそんな抗議の言葉を浮かべながら私は身体を起こした。


 目の前にはマオが立っていた。そしてその奥には……なにか巨大な生き物がこちらと向かい合っていた。


 ワインレッドのように赤黒く、象よりも大きい胴体、二対の角と牙を鋭く生やした蛇のような頭部、四肢はその巨体を支えるのに充分すぎるほど発達していた。特に前脚には翼のようなものまで生えていた。


「な、なな……なにアレ……!?」

「ワイバーンか……森の奥深くにいる種族がここまで現れるなんて、珍しいな。」


 飲み込めない出来事が余りにも多すぎて気が狂いそうな私と違って、冷静に相手を分析しているマオ。

 それよりワイバーンってなに? この世界ってそんなのが普通にいるの?


 慌てふためく私を他所に、ワイバーンは唸り声を上げていた。足に力を込めて態勢を整えて、今まさに私たちに襲いかかろうとしている。



 ヴェアアア!


 そして目一杯叫んでから、目の前のマオへと飛びかかった。


「危な――」


 私がマオにそう声をかけようと叫んでいた時、マオは背中の剣を掴みながら、少しだけこっちに振り向いた。


「大丈夫だよ。」


 そうポツリと呟いたマオにワイバーンの右腕が迫る。


「……ハァッ!」


 それは一瞬だった。

 マオを捉えようとしていたワイバーンの右腕が、肘のあたりからザックリと斬り飛ばされていた。


 ワイバーンの腕の断面から鮮血が噴き出した。


 自分の身体や服の一部をワイバーンの返り血で紅くしながら、マオは手に持っていた大剣を構える。


 多分、あの一瞬で剣を抜いて斬った……のかな?


 マオは大剣を握りしめると、自分からワイバーンへと走り出した。

 ワイバーンは残った左腕で応戦する。持ち上げた左腕をマオ目掛けて振り下ろす。


 マオは振り下ろされたワイバーンの腕をスライディングのように勢いよく滑ってかわし、ワイバーンの懐に潜り込んだ。

 その無防備な胴体にマオが剣を突き刺した。


 充分痛そうだけど、流石にあの大きな胴体に刺しても効果は薄いんじゃ……そう素人なりに考えていた私の視界でマオが、いや正確には剣の方が赤い色を放っていた。

 なんだろうと考えるよりも先に、ワイバーンの身体が突如として燃え上がった。


ガッ……ァア……


 ワイバーンは小さな断末魔をこぼすと、膨大な炎で焼き尽くされ、一瞬で灰になった。

 後に残った灰は風に流されて消えた。


「ぇ……えっと……」

「ふぅ、終わったよ……アレ? 大丈夫?」


 そんな私の方に振り返りながら、マオは相変わらず優しい笑顔を浮かべていた。返り血のせいで余計に怖く見えるけど……。

 マオが手を差し伸べてくれて、ようやく私は腰を抜かして立てなくなっていたことに気づいた。正直すごく恥ずかしい……。




♦︎




「魔法なんてあるんだ、この世界……」

「まあね。」


 ワイバーンなる生き物を倒したマオと横に立って一緒に歩く私は森を歩いていた。あと数十分ほど歩けば目的地であるフロハ村に到着するらしい。

 その道中で、私はこの世界のことを簡単に説明してもらっていた。


 異世界とは聞いていたけど、魔法もあるなんて……とうとう現実味が完全に消え失せた。

 それと同時に、ここは元いた場所とは違う世界なのだと自分に言い聞かせて受け入れざるを得なかった。


「魔法やスキルと言っても、何種類かあるんだ。特にスキルは人それぞれだからね。」


 そう言ってからマオは私に魔法とスキルについて簡単に説明してくれた。



 魔法は複数の属性がある。

 それぞれ『火・水・風・土・雷』の5種類からなる『基本属性』と、『光・闇』の2種類からなる『特殊属性』の7種類があるらしい。

 そして体内にはその魔法に対応する魔力(エレメント)があって、それを使うことで始めて魔法が利用できるみたい。


 多分ゲームとかでもこんな感じなんだろうし、非常にわかりやすいとは思う。

 ……生憎、私はあまりゲームとかしたことないから、そこのところよくわからないけど。


 そして、この世界に住む人間が全員魔法を使えるわけではないらしい。

 曰く『魔法は世界そのものから与えられた力だから、生まれつき何が使えるのか決まっているらしい。』


 正直『この世界は、もしかしたらすごく良い世界なのかも。』……そう思っていた私の理想が打ち砕かれた気がした。……ワイバーンとかもいるけど。

 生まれつき才能や能力が決まるなんて、私の元いた世界でも大概だったけど、それよりも酷い。

 出来ないものは出来ない、そうバッサリと切り捨てられることになるんだから……それも世界から。

 それに生まれた時から決まるのなら、違う世界から来た私なんて何にも使えないってことになるんじゃ……。


 そう露骨に落ち込んでいた私の横で、苦笑いを浮かべてマオがフォローしてくれた。


「大丈夫だよ。厳密には世界そのものから授けられると言うより、内に眠っていた才能を呼び起こしてもらえるって感じみたいだから。」

「そうなの?」

「みたいだよ。だから違う世界から来ても、しばらくしたら魔法は使えるようになるはずだよ。ただ、魔法を使えるようになるのは世界だけじゃなくて自分自身にも直結する問題なんだ。」


 過去には『自分は他の属性の魔法は使えない』と思っていた人物が、数十年経ってから先入観を捨てて他の魔法を使ってみたらアッサリと出来てしまった』という事例があったらしい。



 次にスキルについて説明してもらった。


 スキル……所謂ユニークスキルとも言われるそれは、魔力こそ消費するけど基本的に魔法の7属性のどれにも当てはまらないものを指すらしい。


 種類に関しては、最初にマオが言っていた通り人それぞれ。


『周囲の魔力を探知するスキル』

『空を飛ぶことができるスキル』

『かつて訪れた場所に自由に行けるスキル』

『自分の運動能力を極限まで強化するスキル』

『水上や水の中を自由に動いたり泳げるスキル』


 ……他にも数え切れないほどあるみたい。

 ただし、同じスキルを別の人間が保有することもあるとのこと。


 正直1番最後のスキルは私も欲しいな、溺れてたし。


「といっても、いくつかはスキルを持ってなくても魔法で再現出来なくはないんだ。例えば飛行スキルは風属性魔法を使える人なら擬似的に再現できる……って感じにね。」

「じゃあ、そういうスキルってハズレ?」

「そうでもないよ。スキルは魔力を消費するけど、魔法よりも消費が少ないんだ。」


 顎に手を当てて考え込んでから、私はマオに確認した。


「つまり魔法で再現するには、そのスキルより多くの魔力を使う……ってこと?」

「そういうこと。余程魔力の量が多いか、スキル保有者の魔力が少ないかで、やっと魔法がスキルと並べるかって感じかな。」


 スキルの説明をしてもらってなるほど。と思っていた私は、今度はマオ自身に興味を持っていた。


「ねぇ、マオの使える魔法とスキルって何があるの? さっきの感じからして、やっぱり火属性魔法?」

「僕? 僕はね……あっ、着いたよ!」


 なぜだろう。ふとその笑顔が、どこか寂しそうに見えた。

 違和感を感じていた私だったけど、突然聞こえたマオの声でようやく気付いて、彼の視線の先を同じように見た。


 目の前には小さな木製の門が建っていて、壁には松明が立て掛けられていた。

 その門の奥には大きな風車がゆっくりと回っていていたのが見えた。


 どうやら話しているうちに、目的のフロハ村に辿り着いていたようだった。



 突如たどり着いた異世界は、私のことを知っている人間なんて誰1人としていない。それに(才能の差はあるけど)魔法が使えるなんて、小さい頃に夢見たおとぎ話みたい……。気づけば私は、当初の予定だった自殺という選択肢を捨てていた。


 ここでなら、今度こそ幸せな人生を送れるかもしれない……そんな予感を抱きながら、私はマオと一緒にフロハ村の門を通り抜けた。


改行をもっと使った方が良いかなと思っていますが、それはそれで字数稼ぎみたいでなんだかなぁと思ってしまう。けど逆に少ないと読みづらい。

これくらいで大丈夫でしょうか?

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