万の柿
手のひらを黒く染めたる柿の渋
人里でよく見かける柿の木は
紅葉が他の木よりも早い。
柿の葉が紅、朱、黄と雑多に交じり
ただの紅葉というには勿体ない様な
芸術的な着色が美しい。
特に柿を特産としているような
地方では、艶やかに色ずいた
この葉が地面に厚く散り敷いて
華やかな美しさを呈する。
山里で柿が赤く色づいて
たわわに実っているのを見ると
秋だなあという思いが深い。
甘柿、渋柿、その甘さによって食し方も変わるが
山柿はたいていが渋柿で、
熟すのを待って啜るか
串柿や樽柿にして渋を抜けば食べられる。
澄みきった秋空を背景に
朱い実をちりばめた山柿の姿は美しい。
葉が紅葉し 落ち尽くしても
柿の実はかなり遅くまで梢に残っている。
朱い実に白い雪を被って………