プロローグ
俺は、「優柔不断」だ。
例えば好きな人ができたとする。
でも、他にも気になる人がいる場合どうしていいかわからなくなる。
本当はわかっているはずなのにどうしてもそれを認めたくない自分がいる。
こんなに考えないといけないなら恋愛なんてしなくていい! そう考えた事も何度かあるが、人生は一度きりと言うし、やっぱり恋愛はしときたい。そう思うこの頃。
そんな優柔不断の俺の名前は茜川星也。
今日から元咲ヶ丘高校に通う高校生だ。1時間程すると入学式が始まる訳だが、妙に緊張はしていない。自分でも不思議なくらいだ。
多分だが、これから始まる高校生活に不安より期待の方が大きいのだろう。
「さてと、そろそろ向かうか」
入学式と言うのはこれで小中高と三回目な訳だが、小中まではまだ良しとしよう。でも、
高校の入学式ってのはなぜかとても緊張を覚えるものだ。
俺は、下駄箱の前に腰をかけ、新しく買ってもらったローファーを履いて玄関の扉を開け、「行ってきまーす! ! 」
と、元気よく家を後にして、俺の高校生活の1日目が始まろうとしていた。
高校の場所は家から10分で着く近場なところだ。
でも、近いから選んだと言う訳ではない。ちゃんとこの高校でやりたいことがあったのだ。
それは、文芸部に入り、小説を書くこと。
そう、俺は将来本格的に「小説家」という職業を本職にしたいのだ。
でもただの「小説家」ではない。じゃあなんなのかと聞かれたらそれは、「ラノベ作家」だ。
ラノベ。俺がこの存在に気づいたのは中2の時に読んだ「僕はみんなの注目の的」という作品を読んでから恋愛に関するジャンルのラノベが好きでたまらなかった。
そんなことを考えてる内に学校に着いた。
言い忘れていたが、この学校には中学で友達だった奴は1人もいない。なぜならみんな違う区の高校に行ってしまった。だから俺は友達作りもなにかもかも0からのスタートなのだ。
昇降口に入ると下駄箱に靴を入れ、上履きに履き替えた。そして教室へ向かう。
教室の場所を校内に掲示されている校内案内図を見て確認していると、なにやら周りが騒がしい。
「・・・・・・あれが、今年の1年かよ! !
あんな可愛い子って現実の世界にいたのな! 」
案内図の前に集まって来たのは上級生達だった。なにに集まって来たのか隣を振り向くと
そこには1人の清純そうな瞳をした茶髪のショートカットの女の子が僕を見つめている。
「あの、なにか? 」
「あ、いや、その、ごめんなさい! 」
彼女はそう言い残すと一目散に走って行った。
「ん? なんで俺は謝られたんだ? それにしてもあんな可愛い子に見つめられるとさすがに緊張したな」
そう思いながら俺は入学式の会場へと向かうのだった。