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5-2 「宣戦布告」

 更新遅れました。

ーマスグレイブ帝国 マスグレイブ城 大会議室


 民族紛争へと発展するかと思われたヘーゲルの発言から1ヶ月経ったが、ヘーゲルの接待はピタリと止んだ。

 まぁ流石にヘーゲルも空気を読んだのだろう。


 帝国とは連絡を密にする為に、伝令役としてマルクスを置いている。

 今回はそんなマルクス経由で緊急の呼び出しが掛かったのだ。

 そして、その理由は”宣戦布告を受けたので助けてくれ”との事だった。

 まさか今だにそんな堂々と宣戦布告をしてくる国が残っている事に驚いたが、世界への抑止力として黒の大剣の存在をアピールするチャンスだと思い、マスグレイヴ城へと来ていた。


「おぉ、黒騎士様!急にお呼びだてして申し訳ありません。皆さん会議室でお待ちです!」


 何度か目にした上級兵士に会議室へと案内される。

 マルクスの話では、今回マスグレイヴ城に集められたのは、この世界の主要国家の代表達だそうだ。

 詳しい話は帝国に来て貰ってから話をするとの事で、集められたらしい。

 もちろん馬車なんて走らせたら何ヶ月も掛かる為、マルクス運輸が運んだ。


 そんな世界各国の代表を集めると言うことはそれ程の大国もしくは国家同盟が宣戦布告をしたのだろうか?


 私が宣戦布告をした国の事を考えているといつもの大会議室に到着し、各国の代表達に迎え入れられる。


「黒騎士様!待っておりました!さぁさぁ、中央の席に!」


 ヘーゲルに誘導され、用意された椅子に座る。

 途中オリガ王が顔を向けて来たので、軽く会釈を返す。


 私が着席するとヘーゲルが目配せし、話し始める。


「先ずは緊急の招集にも関わらず、感謝する。」


 ヘーゲルが国の代表達に軽く頭を下げる。

 昔の傲慢なヘーゲルでは有り得ない、殊勝な心掛けだ。


「今回集まって貰ったのは、帝国が”宣戦布告”を受けた為だ。」


 部屋がざわざわと騒がしくなる。


「まさか...そんな命知らずな国がどこに...?」


 発言したのはマルブランシュ王国国王のニコラだった。

 マルブランシュはコハクとアルバートそしてクリス姉ちゃん等が私の手の内にある事をよく知っていおり、国家予算の半分以上のオリハルコンを失うと言う手痛い損害を被った。

 黒の大剣の実力をその身をもって知ったのだ。


「いや...正確には()では無い...種族と言った所か...。

 我々は魔人(・・)からの宣戦布告受けた。」


 部屋が先程よりも遥かに騒がしくなり、”馬鹿な...!”、”有り得んっ...!”等と言う、声が響く。


 魔人?

 魔人...どっかで似た様なのが出てきたな...。

 あっ!鍵の迷宮で出てきた”イフリート”だ!

 確かにイフリートは強かったな...。

 完全魔法耐性を持った不可視の盾(・・・・・)でも防ぎきれない程の威力を持っていた。

 イフリートが魔人の中でどれ位の強さなのかは知らないけど、アレが平均だとしたら一般の兵は役に立たないだろう...。


「魔人が責めてくると言う事は、従えた大量の魔物も一緒に責めてくると言う事だ...。

 だからこれは我々帝国だけの話では無く、人族の国家の話になるだろう。」


 ヘーゲルは沈痛な面持ちで言う。


 魔物も...?

 魔人は魔物を従えているんだ...。

 確かクリス姉ちゃんの話では、知能があり人族の言葉を操る魔物が魔人と言っていたけど、魔人は魔物のボス的な存在なのだろうか...?


 帝国が滅べば次は隣国のオリガ王国、次はマルブランシュ王国...。確かに他人事ではないだろう。


「だが、安心して欲しい。我々には”黒の大剣”と言う、最終兵器があるのだ!」


 ヘーゲルがそう言った瞬間、全体から”おぉ!”と言う歓声があがり、”黒の大剣”の話が飛び交う。


「おぉ!確かに!」


「元特A級冒険者のクリスティーナも所属しているとか?」


「マルブランシュ王国領で発見された人型古代兵器も居ると聞きましたぞ!」


 一通り話が落ち着き、静寂に包まれた所で、皆の期待に満ちた視線が私に集まる。


 うわぁ...、流石にこんな偉い人達に見つめられると緊張するな...。

 でも、ここは連携し、協力を得る為にも勇ましい言葉で安心させないと...!


「任せておけ。魔人なら倒した事がある。」


「「「「魔人!?」」」」


 私の言葉に反応し、全員が大きな声でハモる。


「...流石は黒騎士様です。

 魔人が出没すれば、兵士では時間稼ぎにもならないだろう...。恐らくA級冒険者チーム3チーム以上で何とかいい勝負になるかならないかか...。

 では、魔人の件は黒騎士様に一任し、魔物に関しては各国の混合兵で対応すると言う事で...反対意見は無いな?」


 そう言ってヘーゲルが決をとる。


 あるぇ?しれっと魔人は全部振られちゃったんだけど...。

 でも、格好付けちゃったし今更冒険者を貸してとかは言い辛いよね...。

 まぁ、この件は装備(・・)で何とかしよう。


 そして事務的な確認が数点行われて、この日は解散となった。

 因みに帰りも”マルクス運輸”は大活躍だった。




 こうして人族の存亡を掛けた”人魔大戦”が幕を開けた。


 暫く休載していたSF小説のリメイク版『パラ・べラム』の方の更新を再開したので、すいませんが『無剣の黒騎士』の更新頻度が下がります。

 なお黒騎士(茉莉花)のイラストを描いて頂いたので、活動報告に掲載していますので、是非足を運んでみて下さい!

 

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 『無剣の黒騎士』にも出てくるコハクがメインヒロインのSFファンタジー小説『パラ・べラム〜機械仕掛けの死人使い(ネクロマンサー)〜』を連載し始めました。(旧作品のリメイク)

 下部のリンクもしくは”作者ページ”の”作品”から読めますので是非そちらの方もよろしくお願いします。↓↓

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