4-23 「アルバートの告白」
遅くなり申し訳ありません。
家(実家)は大丈夫です。
マルクス事件を終えてアルバートの元へと向かう黒騎士、しかしアルバートの性癖が...。
ーマスグレイブ帝国 マスグレイブ城
「ほ、本当に行くのかい...?」
帝国の城門前でマルクスが不安そうに聞いてくる。
「あぁ。」
私は今マルクスと二人で転移で帝国へと来ていた。
出発前にクリス姉ちゃん達に反対されたが、アルバートが操作系魔法を使う以上、黒の大剣のメンバーが操られてしまうリスクを考えれば連れて行く訳には行かなかった。
私と同じ鎧を錬成する事も考えたが、アルバートにマルクスを通して私の正体がバレた以上事態は一刻を争う。とてもそんな時間は無かった。
私はマルクスと共に城門の兵に近付く。
「ん?何だお前達は?」
するとそれに気付いた衛兵が私達に近付き、槍の石突を石畳に威圧的に突き立てながら誰何して来る。
「アルバートに取次を。」
するとマルクスは複雑な紋章が刻印された金のコインをポケットから取り出し、衛兵に見せる。
「これは...!?も、もしかしてあなたはアルバート様直属の...?」
それに対しマルクスが軽く頷くと、衛兵は強気な態度を一変させる。
「し、失礼しました!」
衛兵は畏まり、城内へと案内を始める。
戦闘も覚悟していたがこの衛兵の態度から察するに、まだ余り帝国内にマルクスの事は広まっていない様だ...。
まぁそれはアルバート本人に聞けば分かる事だ...。
ーマスグレイブ帝国 マスグレイブ城 応接室
「案外早かったね?」
私達は応接室に通されると暫くして部屋の扉が開き、茶髪の癖毛が特徴的な魔道士風のローブを着込んだ青年が入って来る。
マルクスが話していた特徴と一致する。これがアルバートだ。
「って、そりゃぁそうか?何せ君の正体が世間にバレたら君の作戦は台無しだもんね?
直ぐに僕と交渉し、口止めしないとね?」
こいつ...。
「ふふ...。何で分かるかって?
何せ僕は君の事をマルクスを通じてずっと見てたからね。
マルクスには操作系魔法の他に視覚情報も共有していたのさ。
それにマルクスだけじゃない。マルブランシュにも僕の目は居たのさ。」
確かにマルブランシュ陣営に帝国の人間であるライプニッツも居た。帝国サイドにはマルブランシュとこちらのやり取りは筒抜けだったのだろう。
「でも、安心しなよ。君の正体はまだ誰にも喋って無いから。」
一先ず安心だけど...。アルバートの目的が分からない...何故皇帝達に話さない?
話さないと言う事は、アルバートは話さない事による価値を見出したと言う事になる。
「なるほどな...。
で、何が目的だ?」
「ふふ...。見ていた通り、君は随分頭が回る様だね。」
アルバートはふてぶてしく笑いながら、細やかな彫刻が彫られた木彫りの椅子に腰掛けて話を続ける。
「で、だ...。単刀直入に言うと、君を僕の第3夫人として迎えたい。」
アルバートは突拍子も無い事を言い放つ。
え...?第3夫人...?な、何を言ってるの...?
軍事的な交渉をしに来た私にとってこのパターンは完全に想定外の話だった為、思わず言葉に詰まる。
「だ、第3夫人って...君はまさか...!?」
私の思考が停止していた所で、マルクスが沈黙を破る。
「そう...。惚れちゃったんだよねぇ...。」
惚れちゃったって...私は見た目10歳程度の子供よ!?
アルバートだって魔法で視覚情報も共有していたのなら、私の正体を見たでしょう?
それって...まさか...。
私はそこで思わずマルクスを見る。
するとマルクスは呆れた様な顔付きで頷く。
「そう...。アルバートはロリコン何だ...。」
「ロリコンだと...!?だからあれ程違うって言っているだろう!
僕はロリコンなんかじゃないっ!ちゃんと大人の女性も恋愛対象さ。
僕はただ好きな女性を小さい頃から成長を見守りつつ、育て上げたいのさ!
ほら、さも有名な源氏物語でも語られる程ありふれた性癖だろう?」
アルバートはマルクスの発言に激昴して答える。
こ、こいつ...。自分の性癖を空想ファンタジー小説の主人公と同一視して正当化しだした...。
ってか光源氏がロリコンとか幼い子供を自分好みに育てたい性癖だと思ってる人多いけどあれは違うからね?
光源氏は言わば義母の”藤壺コンプレックス”で、その面影を残している藤壺の姪である紫の上を好きになったのであって、童女が良い訳でも理想の女性に育て上げる性癖持ちでもないのだ。
ただ最終的には結局我慢出来ずに義母の藤壺とも関係を持って、子供まで持たせたとんでもない奴ではあるけど...。
「断ると言ったら...?」
兎も角こんな変態の元に嫁ぐの何てお断りだ。それに第3夫人って...。
「勿論、君の性格からして、簡単に首を縦には振らないとは思っていたよ。
まぁそう言う気の強い所も僕の好み何だけどね...。
だから、勝負をしないかい?」
「勝負方法は?」
「シンプルに屋外での一騎打ちさ。」
屋外か...。アルバートは魔道士だから私と距離を取りたいのだろう。
「こちらが勝った時はこちらの軍門に入り、我の正体を墓場まで持っていって貰おう。」
「良いよ。誓おう。
僕はね...この世界が気に入っているんだよ...。元の世界は色々と制約が多過ぎる。
だけど、この世界は違う。幼女と結婚しても許されるし、何人と結婚しても良い。それにそれらは高貴な身分の者であれば全く珍しい事でも無い。
だから、必ず君も手に入れて僕の思う様に育て上げて見せるよ!」
なるほどね...。納得がいった。
第3夫人と言う事から、アルバートは既にこの世界の女性と結婚しており、元の世界に帰る気はサラサラなかったと言う事だろう。
そしてそれを邪魔する...つまり、戦争を終わらせようとする黒の大剣が目障りで、マルブランシュとぶつけて相討ちを狙ったと言う事ね...。
どっちみち帝国の最終兵器であるアルバートを倒さない事には、こっちには古代兵器のコハクが居るとは言え、帝国は最後まで抗い続けるだろう。
そんな兵器同士の戦争となればその犠牲は計り知れない。
それが一騎討ちで決まるのであれば、安いものだ。
「分かった。その勝負受けよう。」
私はアルバートを深く見据えて言い放った。
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次回アルバートのチートっぷりが明らかに...。「こいつ...ただの変態じゃ...ないっ!」
次回日曜投稿予定です。
〈余談〉
今回源氏物語ネタが出てきましたが、アレを平安時代に書いた紫式部はかなりぶっ飛んでいるなと改めて思わされます。
特に光源氏が義母に自分の子供を産ませた後、自分の子供だと勘違いしている父がその子を見て、「光源氏そっくりだ!(光源氏の子供なので当たり前)」と喜んでいるのが何とも残酷と言うか...何と言うか...。
知らない方が良い真実と言うのは実はポツポツとあるのかもしれません。




