表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

9/97

1-8 「初めてのゴブリン戦」

 異世界転生部門でデイリー10位!?

 ブクマ&評価、そして感想もありがとうございます!

 30話程書き溜めているので、一月は毎日投稿予定です。


ーオリガ王国 リョーリカの街 東門


 私は常駐の採取クエストと討伐クエストの為に、街の外へと向かっていた。

 すると街の門で2、3人の守衛らしき人達が何やら話していた。


「街の北の森でドラゴンの群れが出たらしい。僕とマッハで様子を見てくる。」


 ドラゴンって、あの小説とかで最強生物のドラゴン...!それが群れとか...恐ろしい...。

 転生系の小説とかだと、それを倒して街の危機を救って大英雄、さらに冒険者ランクもいっきに上がって、”ドラまた”とかの二つ名も付いたりして...。

 いやいや君子危うきに近寄らずだ。所詮私はまだE級のぺーぺー。ここは華麗にスルーしよう。

 それにそもそも私は冒険者でやっていくつもりは無い、冒険者はあくまで表の顔に過ぎない。本来の目的は戦争を終わらせることで、冒険者ランクはどうでもいいのだ。

 私はクエストやダンジョン探索中に”たまたま”高価な武具を見つける、”非常に運のいい”冒険者ジャスミンを目指すんだ。


 守衛は街周辺の魔物の情報に詳しいらしいので、せっかくなので周辺の魔物について聞いてみよう。


「すいません、この辺りでゴブリンとかって出たりしますか?」


「ゴブリン?はは、ゴブリンは流石にこの辺りには出現しないよ!って、お嬢ちゃんのそのギルドカードもしかして冒険者なのかい!?」


「はい。さっきなったばかりなので、取り敢えず採取クエストへ出ようかと思っていた所で...。」


「あぁ、成程ね。採取をするなら危険な魔物の出現場所は知っておかないとね。しかし、その年で冒険者とは凄いなぁ!名前はなんて言うんだい?」


「ジャスミンです。」


「そうか、かわいい名前だね。僕はスタンプと言う。何か分からないことがあったら気軽に聞いてくれ!」


 そう言ってスタンプさんは、鉄鎧の上からドンと胸を叩いた。とても人が良さそうだ。頼もしい。


「...で、ゴブリンだったね。ゴブリンは南の山岳地帯を根城にしているから、南にさえ近付かなければ大丈夫だと思うよ。」


 こんな幼女がいきなり討伐クエストに向おうとしてるって分かったら全力で止められそうだなぁ...。

 でもさっきの掲示板情報で山岳地帯で取れる薬草も結構あったし、オマケにゴブリンで実戦練習も出来る。一石二鳥だ。


「ご忠告、ありがとうございます。」


「あぁ気を付けてね!」


 そして私はスタンプさんが北の森へ行く為に街を出るのを確認し、南の山岳地帯へと向かう。




 街から大分離れ、人通りも無くなった辺りで武具錬成の検証をする。

 武具錬成は人目もあるので、冒険者ジャスミンとして、あまり使うつもりはないけど、人目の無い今がチャンスだ。


『 ソードオブパニッシュメント!』


 私は大きな岩を目掛けてインスタントの武具錬成を放つ。

 大きな岩が内部から粉砕する。相変わらず、凄まじい威力だ。


 続いて、もう少し離れた木を対象に神罰の剣ソードオブパニッシュメントを放つ。

 が、今度は発動しない。


 あれ?おかしいな?岩の時は発動したのに...。

 

 色々検証した結果、武具錬成魔法には射程がある様で、大体自分を中心に半径3mといったところ見たいだ。

 風刃のウインドカッターの射程が20m程なので、大分短い。


 さらに同時発動数にも制限があった。

 武具錬成をインスタントで使用する場合は、最初に出現させた武具が消えるまで、次の武具を出現させれなかった。

 つまり大人数を相手取る様な場合、今の手札だけでは厳しい。今後の課題だ。




 

ーオリガ王国 リョーリカの街 南の山岳地帯


 途中何度か休憩を挟み、予め買っておいた大雑把な街の周辺地図を片手に進んで行くと、守衛の言っていた山岳地帯が見えてきた。

 きっとあれの事ね!


 そして今一度武具の確認を行う。

 ゴブリンと言えども、トナ改以降まだ二回目の戦闘だ。油断は出来ない。


 装備を確認して山岳地帯に入る。


 入口付近で早速ギルドの掲示板で見た特徴に一致する”エポナ草”を見つけたので、5株ほどアイテムボックスに収納する。


 暫く道なりに歩いた所で人影を見つけた。

 私は咄嗟に岩陰に隠れ、相手の姿を再度確認する。

 相手は金色の棍棒を持ち、背は私より少し高い位しかなく、長い耳を持ち、緑色のしわくちゃの肌。掲示板で見た、ゴブリンの特徴に一致する!

 幸い向こうはまだ気付いていない。ここは風刃で先制をとり、一撃で仕留めよう!


 私は左足を前にして風刃を構え、岩陰から右足を踏み込みながら抜刀した。するとウインドカッターがゴブリンの剥き出しの腕と胴を捉え、鮮血が飛散る。

 だが大した量ではなく、ゴブリンの腕も健在だ。地面に血が滴っている事からウインドカッターが命中したのは確実だが、致命傷を与えるに至っていない様だった。

 ゴブリンはコチラに気付き、グギャァー!と呻き声を上げながら棍棒を振り上げコチラに向かってくる。


 私は第二刃を放つべく、抜刀して切り上げた状態の風刃を今度は切り下げる。

 が、速いっ!ゴブリンは想像以上に俊敏で、あっという間に私の3m程手前まで近付く。

 そこで何とか風刃の切り下げが間に合い、ウインドカッターが発動する。

 が、またしてもウインドカッターは浅くゴブリンの足の皮膚を切り裂いただけで、致命傷には至らない。

 ゴブリンは一瞬仰け反ったものの、直ぐに体制を立て直し、棍棒を横にスイングさせる。

 私は咄嗟に風刃でガードするが、ABS樹脂製である風刃が金属製であろう棍棒を受け止めることは叶わず、風刃を砕き、私の右脇腹にクリーンヒットする。

 その瞬間私の身体は錐揉みしながら吹っ飛び、岩壁と岩盤浴した。


 いたいいたいいたいいたい!痛い!

 全身にトラックに突っ込まれた様な衝撃が走る。

 が、棍棒で殴られた右脇腹はチート皮鎧のお陰か、全くダメージが無い。主に岩盤浴でのダメージだろう。

 私はそのままの姿勢で直ぐに左手の指輪に意識を集中し、念じる。


『 エクスヒール!』


 身体中の痛みが消えたのを確認すると直ぐに起き上がり、武具錬成を起動させる。


『 ソードオブパニッシュメント!』


 もう人目を気にしている場合じゃない!こいつはヤバい、死ぬ!

 

 ゴブリンの足元から時速200kmでバスタードソードが出現する。

 が、ゴブリンは咄嗟に身体を捻り、直撃を避ける。

 え、アレを避けるの!?

 が、完全には避け切れず、バスタードソードはゴブリンの右足を捉え、ゴブリンの右足が宙に舞う。

 続いて片足でバランスを崩したゴブリンが地面に倒れる。


 地面に倒れたゴブリンは、怒気を込めた悲鳴の様なものを上げ続けている。

 いや、これは悲鳴じゃない...詠唱だ!

 ゴブリンは魔法を唱えようとしているんだ!


 私は神罰の剣ソードオブパニッシュメントが消えているのを確認し、新たに神罰の剣ソードオブパニッシュメントを放つ。


『 ソードオブパニッシュメント!』


 今度はゴブリンの胴体に命中し、ゴブリンは悲鳴を上げる間も無く真っ二つになり、絶命する。


 はぁ...はぁ...勝った...!


 ゴブリンが絶命した事を確認すると私は緊張の連続から、その場にへたりこんだ。

 だが、あまりゆっくりもしていられない、ここはゴブリンの巣(・・・・・・)なのだ...。


 私はゴブリンの死体と棍棒をアイテムボックスに収納し、直ぐに山岳地帯から出て、街の方角へ15分ほど進み、見晴らしのいい木陰で休む。


 死ぬかと思った...。

 まさかゴブリンにここまで苦戦するとは思わなかった...。


 もしかして...私の戦闘力、低過ぎ...?

 次回ゴブリンの強さの謎に迫ります。

 評価&感想頂けると励みになります、お待ちしております!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ