4-21 「真夜中の暗殺者」
遅れてすいません。
休日出勤でゴタゴタしていました。
ー宗教国家エピクロス 首都ラミア 黒の大剣拠点 茉莉花の部屋
状況から考えてマルクスが私の寝込みを襲い、殺そうとしたのは間違い無いだろう。
しかし、何故ヤスがそれを気付き止めているのか...。
「おっと...!能力は使うな。飛べば俺も一緒に飛ぶ。そして飛んだと同時にお前を殺す。」
するとヤスは”魔鉱切”をアイテムボックスから取り出し、反対の手でマルクスの背中に突き付ける。
ほんの数時間前まであんなに仲が良さそうだった二人が何故この様な状況に...?
「ふっ...まさか黒騎士の正体がこんな小さな女の子だったとはね...。
こんな少女にハイデガーやヘンペルはビビっていた何て笑い草だ。
でもまぁだとすれば恐る必要は無い。今回は失敗したけど、私自らが相手をしてあげるよ。」
「お前何言ってやがる!頭がどうかしちまったのか?」
ヤスが声を荒らげてマルクスに聞く。
「ちっ...そろそろ時間切れか...。」
そう言うとマルクスは突然ナイフを落とし、周りをキョロキョロと見渡す。
「え...あ...ち、違う...あ...こんな...!」
するとマルクスはさっきまでと雰囲気が変わり、突然狼狽し始める。
「何が違うんだ!お前が茉莉花を殺そうとしたんだろっ!」
────ヤスは目に涙を浮かべていた。
ヤスは本当にマルクスと打ち解け、信頼を築いていたのだろう。
しかし、それは私の殺害未遂と言う行動でぶち壊され、ヤスも気持ちと行動の整理がついていないのだろう。
するとその時騒ぎを聞きつけたソフィ達の声が部屋の外から聞こえたので、私は”早着替え”で漆黒の鎧を身に纏う。
「黒騎士様っ!どうされたのですか!」
「ジャズ!蹴破るわよ!!」
鍵が掛かっている為だろうクリス姉ちゃんが部屋を蹴破ろうとする。
「待て大丈夫だ。今開ける。」
私は自室の扉を破壊され無い様に慌てて部屋の鍵を開け、扉を開く。
するとクリス姉ちゃん、ソフィ、シルヴィアさんが中に入って来る。
「物音がして来てみたけど...これは一体...?」
クリス姉ちゃんが床に転がったナイフとヤスに床に押さえつけられたマルクスを見て、只事では無い状況を察して言う。
「こいつが...マルクスが...黒騎士を...殺そうとしたから取り押さえた...。」
ヤスはマルクスを見ながら声を絞り出す様に話す。
マルクスは呆然としており、瞳を宙に彷徨わせていた。
すると突然クリス姉ちゃんの後ろで控えていたシルヴィアさんが前に出てマルクスの方を凝視して声をあげる。
「...っ!これは...この魔法は...操作系魔法の残渣です...!」
「操作系?」
私はシルヴィアさんに聞き返す。
「はい。恐らくマルクスさんは誰かに操られていたんじゃないかと...。」
マルクスは操られてたの...?
確かにそれならばマルクスの不可解な行動は合点がいく...。
最初にクリス姉ちゃんの胸を揉みしだいた直後には別人の様に謝ってたし...。
でも、問題は...。
「その魔法は解けるのか?」
「ジャズ。シルヴィーに解けない魔法は無いわ!」
クリス姉ちゃんが胸に手を当てシルヴィアさんを持ち上げる。
するとシルヴィアさんが慌ててそれを止める。
「ちょ!ちょっとクリス!絶対では無いです...。」
するとそこでヤスに取り押さえられ方針状態だったマルクスが口を開く。
「ほ、本当に解けるのか...!?」
「た...多分...。取り敢えず見せて下さい。」
マルクスに一声掛けるとシルヴィアさんはマルクスの傍で屈み何やら魔法を詠唱し始め、呪文を唱える。
『レリーズ!』
するとマルクスの身体が緑色の淡い光に包まれた後、ゆっくりと光が消える。
「出来ました。この手の呪文でしたらコレで大丈夫です。」
自信なさげだったシルヴィアさんだったが、あっさりと操作系魔法を解いてしまった様だった。
「そんな...!上級操作系魔法をこんなあっさりと...。」
「それは当然よ!何せシルヴィーは世界一の支援魔法使いだから!」
またも何故かクリス姉ちゃんが胸を貼る。
「ところで魔法は解けたんだ。洗いざらい吐いて貰おうか?」
取り押さえていたヤスが口を開く。
「勿論だ。魔法が解けた以上、もうアルバートは怖くないっ!何でも聞いてくれ!」
ヤスの拘束から解放されたマルクスは正座の状態で、床に両手をつけてこちらを見詰める。
操作系魔法が解かれた嬉しさからかその瞳からは真っ直ぐとした覇気が感じられ、それまでの茫然自失とした様子とは異なっていた。
最近仕事が忙しく、執筆時間が取れません。
すいませんが、次回は土曜投稿予定です。




