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4-17 「競り準備」

 ギリギリとなってしまいました。

 いよいよコハクを賭けた競りの準備が整います。

ーマルブランシュ王国 首都オーベル 宿屋


 マルブランシュ国王ニコラとの約束から1週間が経過し、いよいよ決戦当日となった。


 この1週間で集めたオリハルコンは以下の通りだ。


・オリガ王国の協力︰約300kg

・ヤスのコネ︰約150kg

・”武具錬成”のオリハルコン︰約350kg(換算値)


 先ずオリガ王国のオリハルコンだが、オリガ国王の人柄で国中の兵士や傭兵のオリハルコンを集めてくれたそうだ。

 最終的にブルーノさんやルティの鎧も渡すと言い出したので、流石にそれは断った。


 次にヤスのコネだが、ヤスの人脈の中でマルブランシュ王国に肩入れしていない商人などから大量のオリハルコンを購入した。

 オリガ王国が用意出来るオリハルコンの半分を用意してしまったのだからヤスの人脈は侮れない。

 因みに資金は主にクリス姉ちゃんとシルヴィアさんの冒険者時代のお金を拝借した。


 そして最後に”武具錬成”だが、私の”武具錬成”での魔法を付与したオリハルコン武具精製は1日に約25kgが起きて居られる限界だった。

 その為、毎日25kgずつ錬成し7日間で約175kgのオリハルコンを用意出来た。

 因みにコハクに確認したところ強力な魔法がかけられているものはコハクにとって倍の価値があるらしく、単なるオリハルコン換算で約350kgとなる。

 私一人でオリガ王国を上回るのだからやはりこの能力はとんでもないチートだ...。


 それら全てのオリハルコン約800kgを現在はヤスのアイテムボックスに収納している。

 問題はこの800kgがマルブランシュの用意出来たオリハルコンに届くかだけど...。


「ヤス。相手のオリハルコンの試算は出来ているか?」


 私は漆黒の鎧を見に纏い、宿の部屋のテーブルに向かい合って座るヤスに状況を聞く。


「あぁ。大体700kg程度だな。

 マルブランシュ陣営はかなり無理矢理に商人や武具店から徴発を行っているらしく、腹を立てた商人達が細かく教えてくれたぜ。

 ただ妙なのは、一部のオリハルコン製の武具は街の炉で溶かしてから届けさせていたそうだ。」


 確かに妙だ。

 オリハルコンを数用意するだけなら、わざわざ溶かす必要は無い...。

 コハクもナイフをそのまま食べていた位だし、武具の形状でも食べるのには問題無い筈だ...。

 いやその形状を拘ってコハクに対してのポイントアップを狙っているの...?

 

 オリハルコンを溶かしている理由は分からないが、数では勝っている。

 決戦までもう時間が無い。アレこれ考えても拉致があかない今、前へ進むしか無いだろう。


 私達は最終的な打ち合わせを終え、マルブランシュ城へと向かった。







ーマルブランシュ王国 首都オーベル マルブランシュ城 大部屋


 私達がマルブランシュ城の門に到着すると前回とは違い、すぐに守衛にこの前の大部屋へと案内される。


 大部屋には既に国王ニコラを始め、補佐官のアントワーヌ、大将のシモン、そしてもう1人前回居なかった人物が居たので、『生物鑑定』が使えるヤスの方を見る。


(まずいぞ...。ありゃあ”ライプニッツ”だ。)


(”ライプニッツ”?)


 ん...どこかで聞いた様な...。


(ライプニッツはこの世界で一番有名な鍛冶師だ。  

 でも帝国のお抱え鍛冶師だと聞いたが...何故こんな所に?)


 ヤスが首を傾げながら言う。

 

 うーん、ライプニッツか...。

 ん?あ!そうだ思い出した!

 リョーリカの街の南の山岳地帯で初めてゴブリンを倒した時に手に入れた棍棒の製作者だ!

 それにしてもそんな人物がここに居るとは...。

 オリハルコンの品質を少しでも上げる為だろうか...?敵国の帝国に貸しを作ってまでも手を打って来るとはマルブランシュも必死なのだろう...。


 私がヤスとヒソヒソと話をしていると補佐官のアントワーヌが中央に立ち、口を開く。


「では揃った様なので、始めさせて頂きたいと思います。

 これより兵器コハクを賭けた競りを行います。

 競りのルールは金銭ではなく、”オリハルコンのみ”を使用した競りとなり、”判定及び価値の判断はコハクさんが執り行い”、”より多くのオリハルコンを積み上げた方”がコハクさんとの契約を結べると、そう言う事で構いませんね?」


 アントワーヌはルール説明をし終わると、それぞれの陣営の顔を流し見る。


「構わん。」


 国王が頷く。


「あぁ。問題ない。」


 次に私も頷く。


「コハクさんも構いませんね?」


 アントワーヌがコハクに問う。


「えぇ。いいわよぉ。この勝負に勝った方と契約するわぁ。」


 するとマルブランシュ陣営から”良しっ!”と言う声が上がる。

 そもそもマルブランシュはコハクと最初に一緒に居た時も契約はしていなかった。私もこの隙にとコハクに契約を持ち掛けたが、安定して供給出来る財力を見せないと駄目だと断られてしまったのだ。

 つまりは名実共にこの競りの勝者がコハクの所有者となるのだ。

 コハクは強い...。クリス姉ちゃんですら倒せないと言っていた。それを軍事国家であるマルブランシュや帝国の手に渡す訳にはいかないのだ!


 私は再度気持ちを引き締め、中央の絢爛豪華な絨毯が敷かれた場所へと移動する。


 すいませんが仕事が忙しくなり、次回土曜投稿予定です。

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