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4-16 「嫉妬」

 今回心理描写多目です。

 この小説の読者の方は問題無いかと存じますが...”百合展開注意”です。

ーオリガ王国 オリガ王城 浴室


 私はクリス姉ちゃんの声を確認し、石で出来た壁の傍で武具錬成を起動した。


 形状”浴室の壁と同じデザインで、目線に小さな穴を開けた状態で天井までの高さの”、

 材質”浴室の壁と同じ石材”の

 重量”普通”

 特性”なし”を持った

 武具”タワーシールド”を

 出現方法”私を覆う様に”

 属性”パーマネント”

 

 すると私は浴室と同じ材質の盾に囲まれ、まさに”いしのなかにいる”状態となる。

 私が隠れて直ぐにクリス姉ちゃんがルティを発見する。


「あっ!ルティ!やっぱりもう入ってたのね?

 もう、誘ってくれれば良かったのに!」


 クリス姉ちゃんが水臭いと言わんばかりに、ルティに声を掛ける。

 二人って仲が良かったんだ...。

 私は何故か胸の辺りがチクチクと痛むのを感じた。


「えぇ...ちょっと一人で考えたい事があったのよ。」


「まさかルティまた()の事を悩んでるの?

 ルティはそのままが一番似合ってるわよっ!」


 クリス姉ちゃんが貧乳の気持ちなど1ミリも分からなそうな胸を弾ませながらルティに向かってサムズアップする。

 それにしてもクリス姉ちゃんの胸を初めて見たけど...全く羨ましけしからん...。

 あの顔であの胸は反則よっ!


「クリス...。あなたの気持ちは良く分かったわ...。

 このオリガ王国第一王位継承権を持ち、数々の婚姻申込者を切り伏せて来たアマルティア=オリガに喧嘩を売ろうとは...。」


 ルティはゆっくりと湯船から立ち上がりながらクリス姉ちゃんを見据えて言う。


「え?ちょ、ちょっとルティ...?」


「レイピアの無い今のあなたに、この技が見切れるかしら?」


『邪法”胸が小さくなるマッサージ”』


 ルティは湯船から飛び出すとすぐ側に居たクリス姉ちゃんを床に押し倒し、クリス姉ちゃんの胸をこれでもかとマッサージし始める。


「ちょ!きゃあぁぁぁ!はぁはははは!あっ♡んんんっっっ!!

 ル、ルティ!あっ♡こゃ!ははははぁぁ!ギ、ギブ!もぅ...!無理っ...!」


 ルティに完全にマウントを取られ、身動き取れないままにクリス姉ちゃんは蹂躙される。

 しかし、今回ばかりは仕方がない...。

 クリス姉ちゃんの発言は貧乳じゃないからこそ言える発言だ。

 ハゲてる人に「うん!君はハゲが一番似合ってるね!」何て言って喜ぶハゲてる人が居るだろうか?

 私達に慰めは要らないのだ...。




 暫くルティの蹂躙が続きクリス姉ちゃんが痙攣し足をピクピクし始めた所で、ルティが立ち上がりクリス姉ちゃんを解放する。


「はぁ...。はぁ...。死ぬかと思ったわ...。鍵の迷宮最下層よりも...もっと深い...闇の深淵を...見た気がするわ...。」




 クリス姉ちゃんは暫く息を整えた後、湯舟に浸かる。


「はぁ...。やっぱりオリガ城のこのお風呂は最高ねっ!」


 先程と打って変わってクリス姉ちゃんがリラックスした表情で、気持ち良さそうに湯舟に浸かる。


「ふふ。そうね。

 でも、それもこれも黒騎士様のお陰よ。

 黒騎士様があの時国を救って下さらなかったら、今頃この国は無く、私は帝国のヴァルターの玩具にされていたでしょうね。」


 ヴァルター...。

 オリガ国王の前でルティを辱め様としていたあのいけ好かない偉そうな奴か...。

 

「なるほど。ルティ|はそれで黒騎士様(・・・・)を好きになったんだ...?」


「え...。う、うん、そうよ。

 と言うか知っていたのね。」


 ルティは顔を赤らめながらバツが悪そうに答える。


「実は私もさ...その...好きになったんだよね...。」


────水の音が波紋を立てて広がる。


 暫くの沈黙の後、最初に口を開いたのはルティだった。


「それで...?」


「え?あ、うん。その...怒って無いのかなって...。」


「私が?どうして?」


「だって私より先にルティが告白してたって...その...ソフィから聞いたから...。」


 クリス姉ちゃんは水面から指を出して鼻を掻きながら話す。


「あぁ...どうりで私が黒騎士様を好きな事も知っていたのね...。

 でも、そうだからと言ってクリスが遠慮する事何てないわ。

 と言うかそもそも私が先に告白したからって諦められるの?」


 クリス姉ちゃんは苦笑いしながら首を横に振る。


「でしょう?

 それにもし順番が逆だったとしても私も諦めたりしないわ。

 私としては、クリスか黒騎士様どちらかを選択するなんて事はしたくないの。

 だから私はみんな(・・・)と幸せになる道を選ぶわ。」


みんな(・・・)か...。あっ...ルティそれってもしかして...」


「ふふふ。そうよ。ソフィの考えよ。

 あの子凄いのよ?私達の中で一番年下なのに一番大人なの。」


 ルティは嬉しそうにソフィの話をする。


 これってもしかしてエピクロスに行く途中の馬車での事かな?

 ソフィはルティとそんな話をしていたのね...。


 その後、クリス姉ちゃんとルティは私の理解出来ないレベルの剣術の話で盛り上がり、浴室を後にした。


 二人が去った後に一人で入る大きな湯舟に寂しさを感じたのは、ただ浴室が広いからなのか、それ以外の理由なのかは今の私には分からなかった。



 色々含みを持たせる表現でヤキモキしてしまう話になってしまったかも知れませんが、人それぞれ色んな捉え方があって良いのでは無いでしょうか?

 答えは大分先になってしまうかも知れませんが。


 次回土曜投稿予定です。

 ついついお風呂回に2話使ってしまいましたが、メインストーリーに戻ります。

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