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4-13 「国との大勝負」

 20万PV達成です!いつも読んで頂きありがとうございます。

ーマルブランシュ王国 首都オーベル マルブランシュ城 大部屋


 私の言葉に反応し、コハクが立ち止まったのを見て、私は言葉を続ける。


「我ならば”黒いナイフ”の様に強力な魔法(・・)が掛かったオリハルコンを用意出来る。

 普通の(・・・)オリハルコンだけで満足なのか?」


 するとシモンが口を開く。


「戯れ言を!コハク!耳を傾けるな!嘘に決まっている!」


「あらぁ?確かにアレは美味しかったわぁ。まぁでも量があるのも捨て難いわねぇ...。」


 コハクが腕を組みながら考える。


 よし!コレはいけるっ!


「ふっ...。アレは我がコレクションのほんの一部に過ぎない。

 アレを複数用意する事など造作も無いぞ。」


 そう言って私は武具錬成で『必然のナイフ』を3本創り、皮袋から取り出した様に見せる。

 するとコハクの目が輝き、こちらに向かって歩き始める。

 するとシモンが大きい声を上げてコハクに呼び掛ける。


「コハク!騙されるなっ!模造品(レプリカ)に決まっているっ!

 傭兵がそんな高価な物を幾つも持っている筈がないわっ!」


 模造品(レプリカ)と来たか...。確かに今すぐ証明する方法は無い...。

 例えこちらに鑑定持ちが居たとしても、嘘を言っていると言われればそれ迄だ。

 向こうに居たとしても「模造品(レプリカ)です。」と嘘の鑑定をされれば終わりだ。


 私が証明方法を考えているとコハクがシモンに向かって話し出す。


「あらぁ?忘れたの大将さん?

 私は金属を見ただけでその含有量や性質が分かるのよ。これは間違いなく強力な魔法が付与された最高品質のオリハルコンよ。」


 なるほど...。だからコハクはあの時、私の不可視の盾(インビジブルシールド)の材質を見抜いたのか...。


「ぐぅっ...!傭兵ごときが...!」


 シモンが捨て台詞を吐いて拳を握り締める。

 するとアントワーヌがそこで口を挟む。


「ちょっと待って下さい。確かにそのナイフは魔法が付与されたオリハルコン製のナイフかも知れません。

 しかし、一傭兵に用意出来る量なんて知れています。

 そうですね...1週間後お互いのオリハルコンを持ち寄って量と質をコハクさん自身に評価して貰い、どちらにつくかを決めて貰うのは?」


「なるほど...その勝負面白いっ。」


 国王が手を叩いて賛成の意を示す。

 

 何を白々しい...!どうせシモンが話してた時に、2人でコソコソと決めてたんでしょう?


 だが、向こうがその気ならやってやろうじゃない!


「まぁ私はオリハルコンが安定して食べられるならどちらでも良いわよぉ。」


 コハクがうっとりとしながら両手をほっぺたにあてて微笑む。


「良いだろう。ただしコハクはそれまで我と共に来て貰う。それがその勝負を受ける条件だ。」


 私が了承すると国王は(わず)かに口角を上げ告げる。


「精々コハクとの最後の一週間(・・・・・・)を名残惜しむが良い...。」








ーマルブランシュ王国 首都オーベル 市街


 私達は城を出た後、宿に戻って作戦会議をする為に市街を歩いていた。

 するとソフィが突然私の前に出て跪く。


「黒騎士様...申し訳ありません...!」


 え?一体どうしたの...!?


 私がポカンとしているとソフィが言葉を続ける。


「先程の契約(・・)の事です。

 確かに戦場で男とコハクが契約(・・)をする、しないと言う話をしていました。

 しかし、黒騎士様に伝えていませんでした...。」


 いやいや...あの生死を分けた戦いでそんな事聞こえても記憶に残らなくても無理は無いよ...。


 するとソフィは謝ろうと地面に額を着けようとする。


「待てソフ...ィ...」


 私が慌ててソフィを止め様とすると、クリス姉ちゃんが先に私とソフィの間に入りソフィを止め、私の前に跪いて言う。


「待って、ジャズ!それなら私もよ!私も確かに聞いていた気がするわ...。

 でも、そんな重要な事とは思わずジャズには話さなかった。

 まさかそれがこんな事に(・・・・・)...私も同罪よ...!」


 え...ちょっとクリス姉ちゃんまで...。

 

 全身黒づくめの怪しい黒騎士の前に跪いて許しを乞う美女と美少女2人...。

 気付くと周りの街人は立ち止まってその様子をヒソヒソと話をしながら伺っていた。


 まずいっ!何か変な感じになってるよ...!


「待て。二人とも顔を上げろ。我は何も怒って居ない。それにアレで良いのだ。」


 そう言って私は二人を抱き起こし、3人で人目のつかない路地裏へと入り、二人に問題ない事を説明する。



「そう...ジャズがそう言うのなら大丈夫なんだろうけど...。

 でも、相手は世界第2位の大国よ。資金は無尽蔵にあるのよ...。オリハルコンを集める為なら資金力に物を言わせて何でもして来ると思うわ...。」


 なるほど...それでソフィとクリス姉ちゃんはとんでもない失態をしたと思ったのか...。

 そしてだから国王が私に契約の事を尋ねた時にソフィはあんなに動揺していたのか...。

 ん?あぁ...そうか...これは使えるわね!


 その時、私は二人の態度を見てある事(・・・)を思い付く。


 っと、兎も角二人にはこれからの作戦を説明しないと!


「案ずるな。何せコッチには”武具錬成”と”マルクス”と言うカードがある。」


「え?マルクス?」


 2人がキョトンとした顔をし、クリス姉ちゃんが聞き直す。


 次回水曜投稿予定です。

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