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4-11 「同じ」

 クリス、ソフィ回の続きです。

〈クリス視点〉

ーマルブランシュ王国 首都オーベル 宿屋


「ジャズの話?」


 ソフィが切り出した話題に私の身体は思わずピクリと反応してしまう。


「クリスは黒騎士様が好き?」


 ソフィが単刀直入に聞いて来る。


「う、うん。そうよ。」


「黒騎士様を好きな人は他にも居る。」


 予測はしていても事実として知らされると少し動揺してしまう。


「やっぱり...そんだよね。ジャズは素敵だから。」


「クリスはそれら全てを受け入れられる?」


 ソフィが無表情ながらも先程よりも緊張した面持ちで問い掛ける。


「その...ソフィもジャズが女だって知ってるんだよね?」


「知ってる。」


 ソフィは即答する。

 つまりソフィ()性別を超えてジャズの事が...。


「だったら分かるよね?

 私は最初ジャズは男だと思ってた。

 だけど、違うって分かった時には既に好きで堪らなくなってた。

 そしてジャズが女って分かっても好きな気持ちは変わらなかった...。

 だから今更それ位(・・・)の事で気持ちは変わらない。」


 私は正直な気待ちをソフィに伝える。


「分かった。ならいい。」


 するとソフィは少し強ばっていた表情を和らげいつも通りの無表情に戻る。


 私...試されてたのかな...?


「ところでジャズを好きな人って他にどんな人が居るの?」


「私が知ってるのは2人。

 1人はオリガ王国のアマルティア姫。」


「え?ルティが!?」


 私は思わず大声を出してしまう。


「知り合い?」


「う、うん。ルティとは模擬戦で何度か戦った事があるし、オリガ王との食事会とかでも何度も会ってる...友達よ。」


 そっか...まさかルティと同じ人を好きになっちゃうなんて...。


「そう。なら良かった。」


「で、もう1人は誰なの?」


「もう1人は直接聞いた訳じゃ無い。

 でも、恐らく好きなはず。

 クリスも良く知ってる人。」

 

 え?もう1人も私が知ってる人?って誰だ...?


「分かんない...。誰なの?」


「...シルヴィア。」


「え?そんなまさか...!?」


 シルヴィーとは良く話をするしそんな事一言も言って無かったけど...。


「でもシルヴィーはそんな事何も言って来て無いわ。」


「シルヴィアはクリスも好き。だから言えない。」


 そう言う事か...私がジャズが好きなのを知ってるから、言い出せ無かったって事か...。


「でもシルヴィーがジャズが好きって決まった訳じゃ...。」


「いつも黒騎士様の事を目で追ってる。恐らく間違い無い。」


 ソフィが言い切る。


 そうなんだ...シルヴィーは親友だと思ってたけど私全然気付けて無かったって事か...。

 だとしたら私は1人で舞い上がってシルヴィーにジャズとの事を話して...。私サイアクだ...。


「そっか...。」


「だからシルヴィーの事も受け入れて。私達で揉める事を黒騎士様はきっと望んで無い。」


 あぁ...この()の行動原理は全てジャズの為なんだ...。

 こんな小さな女の子なのに、ソフィの事がとても大きく見える...。

 なんでだろう?ソフィといいジャスミンといい、私の周りの小さな女の子は皆しっかりしてるわね...。


「勿論分かってる。寧ろシルヴィーには謝らないと...。」


 私とソフィが話し込んでいると部屋の扉がノックされる。


「俺だ。ヤスとマルクスだ。」


 

 部屋の中に入って来たヤスとマルクスにコハクのスリープモードの説明をし、ソフィと2人で部屋を出る。

 部屋を出る際に忘れずにヤスとマルクスに釘を刺しておく。


「ヤス、マルクス。寝てるコハクの身体に触れたら、コハクに最後に食らわせた”奥義”を打ち込むからね?」


「わ、分かってる...!」

「だ、大丈夫だよ!」


 2人が怯えながら答える。

 私の奥義を2人共直接見た訳では無いが、コハクにダメージを与えた唯一の”奥義”と言う話をここに来る間にしていたので、その威力は想像に難くないだろう。 


 まぁ私達は散々コハクの身体を触ったんだけどね...。







ーマルブランシュ王国 首都オーベル 市場


 その後、私はソフィと市場の武具、防具店に行き、装備を整える。

 そこでソフィと色々装備の話をしていて分かったのが、ソフィのローブは『紅霞のローブ』と言って”魔法が効かず”、更にはある程度の”斬撃耐性”も持っているらしい。

 

 な、何て滅茶苦茶な性能のローブなの...。


 しかも、それは私の”クリストフォルス”見たいにジャズが創って(・・・)くれた物らしい。


 あぁもう...流石はジャズね!


 それにしてもジャズの話をしている時のソフィはいつもと違って多弁で、とても表情豊かだった。

 昨日までは大人しくて、無表情で、何を考えているか分からなかったが、今ならもう少しソフィの事が分かる。

 ソフィは四六時中ジャズの事を考えている一途な恋する乙女なのだ。


 それはまるで私と同じ(・・・・)様に。


 次回月曜投稿予定です。

 茉莉花視点に戻り、メインストーリーが進行します。

 え?ヤス、マルクス、コハク組の話は無いのか?

 この3人の組み合わせは色々と”アレ”な方向に行ってしまいそうなので...。

 と言いつつ気が向いたら閑話でやるかもです。

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