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4-7 「目覚め」

 茉莉花が目を覚ましたので、茉莉花視点に戻ります。

〈茉莉花視点〉

ーマルブランシュ王国 クレフェラン近郊


「んっ...。」


 私が目覚めると心配そうに俯くソフィの横にコハク(・・・)が立っていた。


「なっ...!!ソフィ逃げろっ...!!」


『ソードオブ...』


「ま、待ってジャズ!」


 私が武具錬成を起動させ様とすると、後ろからクリス姉ちゃんに止められる。

 そしてクリス姉ちゃんから私が気絶していた間に起きた出来事の説明を受ける。


「すまない...クリス、ソフィ...。不甲斐なかった...。」


 私はソフィやクリス姉ちゃん、そしてシルヴィアさんのボロボロになった衣服を見て戦いの壮絶さをしり、居た堪れない気持ちになり謝罪の言葉を口にする。


「止めて下さい黒騎士様っ!

 黒騎士様は私達を庇って倒れたのですから...!黒騎士様が庇って頂け無かったら今頃私もヤスも生きていません...。

 それに私の方こそ謝らなければならない事が...。

 黒騎士様に頂いた『必然のナイフ』をコハクに食べさせてしまいました...。」


 ソフィが泣きそうになりながら私に抱き着く。

 そうね...ソフィはこう言う()だ...。


「ソフィの機転で助かった。」


 私はソフィの頭を撫でながらソフィを(なだ)める。

 するとソフィは目をつぶり、幸せそうに私の手を頭で受ける。


「ジャズ...私も気にしてないから。だってジャズには助けて貰ってばかりで...その...ちゃんとお礼(・・)も...出来て無かったし...。

 だからこれで貸し借り無しねっ!」


 クリス姉ちゃんが腰に手を当て、胸を張って宣言する。

 その屈託のない笑顔に思わずドキッとしてしまう。

 そしてクリス姉ちゃんの唐突な言葉(お礼)に、あの時のキスを思い出し思わず赤面する。


 く、クリス姉ちゃん...。よ、良かった...兜を被ってて...。今私の顔はきっと真っ赤だよ...。


「あぁ、二人の言う通りだ。いつもお前に助けられてばっかりだからなぁ。」


 ヤスも言葉を付け加える。


「ヤスはあれからすぐに気絶して何もして無い。」


 さらにソフィに付け加えられる。


「おまっ!数少ないジャズに恩を売るチャンスなのに言うなよー!」


 さっきまでの死闘が嘘の様にみんなで笑い合う。




「で、後はマルクスがまだ目を覚まして無いんだけど...。」


 そして皆でマルクスが気絶している場所へと行く。

 マルクスの服や鎧もボロボロに傷付いていたが、既にシルヴィアさんの魔法によって身体の傷は癒えていた。


「マルクス。大丈夫か?」


 私はマルクスを揺すりながら声を掛ける。


「んんっ...。あぁ...ごめん...戦いの最中に意識を失って...なっ!”古代兵器”っ!!!???」


 私と同じリアクションを取るマルクスを押さえつけて落ち着かせた後、状況を説明する。




「な、何だって...!?”古代兵器”が仲間に...?信じられないっ...。」


 マルクスは酷く動揺してブツブツと何か言っていた。

 無理もない...私もこの超展開について行くのには説明を受けてからも少し時間が掛かった...。



「で、ジャズ。これからどうするの?」


 クリス姉ちゃんが心配そうに聞いてくる。

 クリス姉ちゃん達の話を聞いて、もう私の中でマルブランシュ攻略までのシナリオは完成していた。


「これからマルブランシュ城まで行き、交渉(・・)を行う。」


「「なっ...!!」」


 ソフィを除き一同から驚愕の声が漏れる。


「今は千載一遇の好機だ。こちらには今コハクも居る。向こうも下手に手出しが出来ないだろう。

 それにさっきの話ではコハクも城に戻りたがっているのだろう?」


「そうねぇ。あの男はいけ好かないけど、実際マルブランシュ城にオリハルコンがあるのは確かなのよねぇ。」


 コハクが顎に人差し指を当て少し考えてから言う。


「いずれこのままだとコハクは再度マルブランシュ側に付く。

 だから今コハクと言うカードが手札にある間に”交渉”をするのがベストだ。」


「なるほど...。確かに今なら一傭兵団である”黒の大剣”はマルブランシュがその脅威を一番良く知る”古代兵器”を持っていますからね...。

 ”交渉”のテーブルに着かざるを得ない訳ですね...。」


 シルヴィアさんがうんうんと言って頷く。


「うん...確かに今は好機かもしれないわね...。」


 先程までは驚いていたクリス姉ちゃんも納得する。


「それにいざとなればマルクスも居る。全力で撤退と決めればこれ程心強い戦力は居ない。」


「うん。それに関しては任せてよ!」


 マルクスが胸を張る。


「あ、ジャズさん。その前に街に寄って貰えませんか...?

 その...この格好でお城は...ちょっと...。」


 シルヴィアさんが無数の小さな穴が開いたローブを掴んで訴える。

 服は武具錬成で何とかなるけど今はちょっと温存したい...。シルヴィアさんの提案通り街に行くべきかな...?


「黒騎士様。さっきからヤスがコハクをいやらしい目で見ています。」


 コハクはただでさえ胸の開いたドレスをきており、今は所々破けていてクリス姉ちゃん以上の大きな胸が殆ど露出していた。


「なっ!べ、べ、別に俺はそんな...見てねぇし!」


 ヤスがしどろもどろになりながら言い訳をする。


「私は別に見られても構わないわよぉ。ほらぁ。」


 コハクはそう言うとチラッと胸を肌蹴(はだけ)させる。


「おおっ!!」


 ヤスが鼻の下を伸ばして顕になったコハクの豊満な胸を凝視する。


「ギルティ...。」


 ソフィとシルヴィアさんがゴミを見る様な目でヤスを見る。


「......先ずは街を目指すか。」


 気付くとヤスがボケ担当に...。

 そう言う訳で暫くほのぼのパートです。

 そしてお待たせしましたが、地味に人気があった”あの人”回を次回から2話続けてお送りします...!


 次回土曜投稿予定です。

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