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4-4 「強敵」

 黒騎士が倒れたので暫くクリス視点でお送りします。

 ※一部残酷な表現を含みますので注意願います。

〈クリス視点〉

ーマルブランシュ王国 クレフェラン近郊


 マルクスの能力でシルヴィーと一緒にマルブランシュ王国の領地へと転送される。

 

 人々の悲鳴、轟音、そして鬨の音。

 すぐにここが戦場である事が分かった。


「シルヴィー!バフをお願い。」


「分かりました!」


『エンチャントオーラ!』

『エンチャントボディ!』


 私達の身体が優しい光に包まれる。


「ジャズ達が居ない。マルクスどう言う事?」


「恐らく...既に戦場に行っちゃったんじゃないかな?

 あ!あそこ!くそっ...既に”古代兵器”が動き始めているっ!」


「”古代兵器”が動く?ってどう言う事?」


「話している時間は無いよ!黒騎士達は既に戦ってる筈だ!」


 そう言うとマルクスが走り出したので、シルヴィーに目配せを行いながら私達も走り始める。

 


 暫く走っていると轟音が鳴り響き、眩い光が放たれるのが見える。


「え?何あれ...?」


「分かりません。私もこんな魔法は見た事が...。」


 シルヴィーが首を横に振りながら答える。


「あれは魔法じゃなく。”古代兵器”の攻撃さ...。あの光に触れれば”スライム殺し”と言えどもただでは済まない筈だ...。」


「急ぐわよっ!」


 私は更に加速する。

 何だか嫌な胸騒ぎがするのだ。

 お願いジャズ...無事で居てっ!



 丘を駆け上がると”古代兵器”の攻撃で出来たと思われる穴が無数に開いた平原が見えた。

 そしてその中央には膝を着いて片腕を抑えるソフィと地面に倒れているヤスと...ジャズが...!


「ジャズっ...!!!」


 私は思わず叫んでシルヴィー達を置いて全力で駆け出していた。


 ジャズの側に駆け寄り、兜に耳を近付ける。

 良かった...息がある...!


「大丈夫。既に回復魔法は唱えてある。黒騎士様は気を失っているだけ。」


 私を見てソフィが答える。

 そしてソフィの方を振り向いてギョッとしてしまう。

 何故ならソフィの左腕は肩から無くなってしまっていたのだ。


『エクスヒール!』


 私は急いで詠唱省略で回復魔法を唱える。

 するとみるみる内にソフィ左腕が再生し、元通りに治る。

 ソフィがジャズの指輪の効果で回復魔法を使える事は知っている。

 しかし、今は指輪をしている方の腕が無い(・・・・)から使えないのだろう...。


「ありがと。でも...もう...血を失い過ぎた...。

 黒騎士様を...お願...い...。」


 するとソフィが膝から崩れて地面に倒れる。


「ソフィ...!!」


「クリス!今は目の前の敵に集中して下さいっ!」


 私がソフィの側へ駆け寄ろうとすると追い付いたシルヴィーに声を掛けられ、横を振り向く。

 すると目の前に黒いドレスの女性が迫って来ており貫手を放たれる。

 私はそれをすんでのところで避けて、距離を取る。


「あらぁ?あなたも結構素早いのねぇ?そっちの()も私の『アトミックレイ』を避けるから困っていたのよ。」 


「あなたが”古代兵器”なの...?」


「人は私をそう呼ぶわねぇ。

 あらぁ、あなたもこの子達の仲間なの?」


「おい!コハクっ!話してないでそいつらも殺せっ!!」


 するとコハクと呼ばれた女性の後ろに居た男が私達の会話に割り込んで来る。


 あれは...マルブランシュ王国の紋章...マルブランシュ軍の人間ね...。


「そう言う事なのよ。だから残念だけど、滅びなさぁい。」


 コハクはそう言うと両手を広げて目をつぶる。


 何かが来るっ!

 私は咄嗟に剣を構えつつ更に距離を取る。


『アトミックレイ!』


 コハクから眩い光が放たれる。

 私はサイドステップ左に回避する。

 が、しかしコハクが向きを変えるとその光も追随する様に方向を変え私に再度迫る。


 私は咄嗟に転がりながら何とかその光を避ける。

 が、掠ったのか軽鎧の一部が変形していた。


 なっ...!?オリハルコン製の鎧を変形させるなんて...!

 確かにマルクスの言う通りあの光に触れれば身体の露出している部分はすぐに蒸発してしまうだろう...。

 恐らくソフィのあの怪我はこれにやられて...。


『ウインドカッター!』


 するとその時シルヴィーから初級攻撃魔法が打ち込まれる。

 そうねこっちも遠距離から攻撃を仕掛ければ...!


『ファイヤーボール!』

『ウォーターボール!』


 私もシルヴィーの魔法に続いて初級攻撃魔法を詠唱省略で放つ。


「残念だけど、私に上級より下の攻撃魔法は効かないわ。」


 攻撃魔法の3連発を食らったにも関わらず、コハクは平然としていた。


「そんなっ...!」


 私とシルヴィーが使える攻撃魔法は初級だけだ。

 なら剣で戦うしかない!


 私はダメージが無いとは分かっているもののコハクに一瞬硬直が生まれる為、攻撃魔法を放ちつつコハクとの距離を詰める。


「何度やっても同じよぉ。”中級魔法耐性”を持つこのボディに魔法は意味がないわぁ。」


 コハクの動きはそれ程早くない為、徐々に距離が詰まる。

 また攻撃魔法の硬直のせいでさっきの”眩い光”も撃てない様だ。


 私がジリジリとコハクとの距離を詰めて居ると、突然コハクの後ろにマルクスが出現(・・)する。


 マルクスの転移ね!


 マルクスはコハクの首を目掛けてナイフで横に薙ぐ。


 決まったっ!


 が、マルクスに斬られた筈のコハクの首は繋がったままだ。


「残念だけどそんななまくらじゃあ私のボディに傷を付ける事は出来ないわぁ。

 滅びなさぁい。」


 コハクはそう言うと密着したマルクスに向かってボディブローを放つ。

 何本もの骨を砕く様な嫌な音が鳴り響き、マルクスが10m程吹っ飛ばされる。


 いつも読んで頂きありがとうございます。

 ブクマ&評価嬉しいです。励みになります。

 もしお時間あれば評価の方よろしくお願いします!

 

 次回土曜投稿予定です。


〈状況補足〉

 黒騎士気絶✕

 ソフィ貧血✕

 ヤス気絶✕

 クリス軽傷○

 シルヴィア無傷○

 マルクス重症、気絶✕


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