4-3 「古代兵器」【挿絵】
今回は新キャラ”コハク”の挿絵付きです。
今回登場する新キャラ「コハク」です。
ー宗教国家エピクロス 首都ラミア 黒の大剣拠点 広間
マルクスが転生者である事が分かった事もあり、私はマルクスの依頼を受ける事にした。
勿論罠と言う可能性も考え、十分警戒はしてだけど...。
それにマルクスには気になる点がいくつかある。
その後マルクスは”黒の大剣”の拠点の近くの宿に泊まる事になり、一緒にその宿まで来ていた。
マルクスの転移能力は油断出来ない為、拠点の奥まで入らせる訳には行かないと考えての事だった。
「ここが一番近くの宿だ。」
「おっけー。ありがと。ところでさっきの話の続きだけど...。」
私はマルクスに転生者である事。そして能力について話した。
ただ能力についてはヤスと初めて会った時と同様に幾つかカモフラージュして話した。
「へぇ。詠唱省略でいくつか魔法が使えるのかぁ。それとその鎧や手甲、そしてさっきの見えない盾とかをアポステリオスに貰ったんだぁ。」
「そうだ。」
「その鎧の手甲ってどれ位の物まで切れるの?」
「少なくともオリハルコンは切断出来る。」
「っ...!すごいよ!それなら”古代兵器”を破壊出来るかもしれないっ!」
青年は興奮した様子で両拳を前に突き出す。
”古代兵器”はそこまで硬いのだろうか?
ー宗教国家エピクロス 首都ラミア 黒の大剣拠点 広間
翌朝。
マルクスから話があるとの事だったので、私達は広間へと集まっていた。
「じゃあマルブランシュまで転送するね。
もしかしたら既に帝国軍と交戦中かもしれないから、戦いの準備だけは念入りにね。」
「分かった。」
他のメンバーを見ると皆準備万端とばかりに頷く。
「転送に関してだけど、一度に転送できるのは僕を含めて4人程度だから2回に分けて転送する必要があるんだ。
だから二組に別れてくれるかな?
後それと一度に複数人をそれも長距離を転送するとなるとクーリングタイムが必要になるんだ。
だから2回目の転送は5分程後になるからそのつもりで二組に分けて欲しい。
最後に壁や屋根がある場所を転移する事は出来ないから、外に出て欲しい。」
なるほど。色々条件が必要なのか...。
まぁかなり有用な能力だし、制限があるのは当然よね...。
私は皆と相談し、次の様な順番で転送して貰う様にマルクスに言い、拠点の外に出た。
〈第1陣〉
黒騎士、ソフィ、ヤス
〈第2陣〉
クリス、シルヴィア
「じゃあ行くよ。僕に捕まって!」
第1陣の私とソフィとヤスがそれぞれマルクスの肩や手を掴む。
すると一瞬の浮遊感の後周りの景色が一新し、平原へと転移する。
ーマルブランシュ王国 クレフェラン近郊
転移先でまず飛び込んで来たのは鬨と土煙だった。
どうやら近くで合戦が行われているらしい。
「どうやら始まってる見たいだね...。僕は急いで戻ってクリスティーナ達を連れてくるよ!」
「あぁ、任せた。」
そう言って私達はマルクスを見送った。
そしてマルクスを見送って数分が経過した時。甲高い音が鳴ったと思うと次の瞬間眩い光が照射され、すぐ近くの丘が大轟音と共に消し飛ぶ。
これは例の”古代兵器”の仕業なのだろうか?
光が照射された場所は大きなクレーターが出来ており、その威力の凄まじさを如実に表していた。
「な、何だこりゃあ!?」
「仕方がない。我らも討って出るぞ。」
このままではいつかあの光線をまともに食らってしまう。ならばクリス姉ちゃん達をこのまま待っているより、発生源を突き止め対処する方がいいだろう。
光線が射出されたと思われる場所に近付くと先程と同じクレーターが大量にある平原に辿り着く。
そしてその平原の中央に戦場には似つかわしく無い黒い胸の開いたゴシックドレスを着た人形の様に整った女性と指揮官風の男が立っていた。
さっきの光線はあの人達が撃ってるの?
でもそれらしい兵器は見当たらないけど...。
周りのクレーターに身を隠して警戒していると、
黒いドレスの女性に気付かれる。
「あらぁ?まだ残っている帝国兵がいたのぉ?」
「待て。我らは帝国兵では無い。」
交渉の余地があるのなら穏便に済ませたい。
何せあの光線は見るからにヤバい...。
「何だ貴様らは!?」
するとそこで指揮官風の男が口を開く。
「我らは”黒の大剣”だ。”古代兵器”とやらを探しているだけで、戦争をしに来た訳では無い。」
「帝国の犬が!コハクっ!消し炭にしろっ!」
「分かったわぁ。」
くっ...!この世界には話を聞かないタイプの人間が本当多いなもぉ!
指揮官風の男がコハクと呼んだ女性に合図すると、コハクは腕を広げて目を閉じる。
まずい!
私は咄嗟にソフィとヤスに私の後ろに隠れる様に指示し、不可視の盾を正面に発動させる。
「滅びなさぁい。」
『アトミックレイ!』
すると次の瞬間。先程の聞き覚えのある甲高い音と共にコハクから光線が射出されるが、不可視の盾に遮られこちらには到達しない。
しかし、光線を”完全魔法耐性”で無効化出来ている訳では無い様で徐々に不可視の盾が押されていく。
嘘っ!?あの光線は魔法じゃないの!?
「防ぎ切れん!左右に避けろっ!!」
私は後ろの二人に向かって叫ぶ。
そして次の瞬間。光線に耐えきれなくなった不可視の盾を貫通し、光線の光に飲み込まれる。
どうやら光線に吹っ飛ばされた様で意識が朦朧とし、全身がだるく、熱い。
「インビジブルメタルの融点は981℃よぉ。私の『アトミックレイ』には耐えられないわぁ。」
な...何でインビジブルメタルの事を...まさか見えて...いるの...?
遠くでソフィの叫び声が...聞こえ...る...。
そこで私は意識を手放した。
暫くバトル回が続きますが、今回は黒騎士は余り活躍しません。
〈補足〉
因みにコハクは他のSF小説のキャラで、本名はM2-0589-OR4と言いますが、特にその小説の設定が出て来る訳では無いので、読んでいなくても大丈夫です。(作者お気に入りのキャラで色んな小説に出て来ます)




