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1-6 「冒険者登録試験」

 30話程書き溜めているので、一月は毎日投稿予定です。

ーオリガ王国 リョーリカの街 宿屋 翠星亭


 目覚めるとそこは宿屋の天井だった。

 全身がギシギシと痛む。

 その原因を確かめようと身体を起こすと、皮の鎧を装着したまま床で寝ていた。


 そうだ、昨日はこの鎧を錬成しようとしたら意識を失ったんだ。

 魔力枯渇だろうか...まさか次の日の朝まで寝てしまうとは...。


 効果を確認する為、早速鑑定してみる。


『拒絶の皮の軽鎧』

防御力+25

胸部に花柄をあしらった皮の魔法鎧。その華やかさはまるで女神からの贈り物の様で、全ての物理攻撃を拒絶する。

製作者︰マツリカ=スドウ


 ちゃんと反映されている様だ。

 流石チート。もうこうなると防御力に意味は無い様な...。それもあってお店にあったものよりもかなり肉抜きしてある。そのお陰で、幼女の私でも軽い。


 しかし、新しい事が分かった。完全物理耐性などのチートを要求すると、大量の魔力を消費し、昨日の様に意識を失う様だ。

 これを戦闘中にやってしまうと目も当てられない。

 やっぱり、もうちょっとこの能力の検証が必要みたいね。


 これで冒険者用の武器と防具が揃った。

 いよいよ冒険者ギルドへ行こう!


 冒険者ギルドの位置は、クリス姉ちゃんと一緒に街をまわった時に確認している。




ーオリガ王国 リョーリカの街 冒険者ギルド


 ギルドの中に入ると中央に受付の様なものが見えた。

 受付には二人の女の人が立っており、受付に近付くと右側の女の人が手を上げて促してくる。

 

「いらっしゃい〜!素材買取とアイテム販売はこっちだよ〜。お使いかな?」


 緑髪のショートヘアーが良く似合う、優しそうなお姉さんが、カウンターに両手を預けて屈むように聞いてくる。


「いえ、冒険者登録をしに来ました。」


 その瞬間四方八方から突き刺さる視線と沈黙。

 うん、この展開小説で読んだ...。


「お嬢ちゃんは他の国から来たのかな?」


「はい...そうです。」


 日本...確かに他の国(世界)だ。


「やっぱりね!最近チラチラ居るんだよねぇ...戦争で帝国や他の国から流れてきて、この国で色々と優遇されている冒険者になろうって子供が...。」


 緑髪のお姉さんは、困り顔で話を続ける。


「でもね、冒険者ってのは誰でもなれるって訳じゃ無いんだ。どういう噂を聞いたのかは知らないけど、お嬢ちゃんはなった次の日に死んじゃうよ。」


 そこでお姉さんの愛想は消え、諭すように私に宣言する。


 え?見ただけで何で決めつけられなきやならないの?経験則だけで判断しちゃいけないってヒューム先生もゆってたでしょ?

 今まで何人の同じ例を見てきたかは分からないけど、その中に”私”は居なかったんだから、”私”がこの先どうなるか何て、このお姉さんには分からないはずだ。

 しかし、哲学を説いても冒険者になれる訳じゃ無いので、建設的に話を進めよう。


「誰でもなれる訳じゃ無いのなら、どういう条件が必要何ですか?」


「登録試験を設けてるわ。試験官に冒険者として生きていく力を証明しなければ、冒険者登録は出来ません。これは普通に大人でも落ちるし、怪我をする事も珍しくないわ。」


「では、その登録試験を受けたいので、試験官の所に案内をお願いします。」


「って話聞いてなかったの!?怪我をするのよっ!」


「勿論考えての事ですし、自己責任なので、お願いします。」


「.........分かったわ。そこでちょっと待って居て。」


 すると緑髪のお姉さんは、受付の奥へと入っていった。

 

 暫くすると、奥から片目に眼帯をした中年の男がやって来た。


「お前か?登録試験を受けたいと言うのは?俺は試験官でC級冒険者のバジョットだ。着いてこい。」


 バジョットさんはそう言うと、受付の奥へと進んでいった。

 暫くバジョットさんに着いていくと修練場の様な所に出た。

 修練場には、鉄で出来たハンマーや剣などの武器や、トレーニング用具、太い丸太に藁を巻いたカカシの様な物があった。


「お前には俺と模擬戦をやってもらう。何俺はC級だ、お前の剣が俺にかすりさえすればそれで認めてやる。だが、容赦はせんぞ?」


 そう言うと男は、腰のシミターを抜き放った。

 うーん、これはまずい普通に剣の打ち合いで勝てる気がしないよ...というか剣術何て授業で剣道をちょっとかじった位だ。

 ここは何とか”交渉”するしかない。


「えっと...すいません、模擬戦の前に素振りをさせて貰ってもいいですか?」


「構わん。好きにしろ。」


「ここだとまずいので、あの丸太を斬ってもいいですか?」


「は?素振りくらいどこでも出来るだろう。さっさとしろ。」


「いや何というか...危ないので...。」


「何を良く分からん事を言っている?あぁ、シミターを見て、怖気付いたのか?多少脅してくれと頼まれたが、何も命までとろうって訳じゃない。」


 うーん、何と言えば良いのか...。

 もう、めんどくさいや...えいっ!


 そして、5m程先の丸太に向かって風刃を抜刀する。

 次の瞬間、丸太が真っ二つになって崩れる。

 轟音と共に丸太が修練場の床に転がった。


「なっ...!い、今、お前何をしたっ!」


 バジョットさんが焦った様に聞いてくる。


「剣を使って闘気を飛ばしました。ある程度の剣術家は闘気を纏って受け流せるので通用しませんが、丸太は闘気を纏ってないので簡単に真っ二つになります。」


「闘気?飛ばす?」


 構わず、そのまま続ける。


「やだなぁ。所謂”剣気”って奴ですよ!もちろんバジョットさんレベルの使い手になると、闘気を纏っているので、あれ位の”剣気”じゃあ受け流されちゃうと思うので、もっと威力が高い”剣気”を使うので期待してて下さいね!」


 そして風刃を鞘に納刀し、バジョットさんの方へ抜刀姿勢を構える。


「ちょ、ちょっと待て!!...あ、アレか?”剣気”か?使えるのか”剣気”を?」


 よし。乗ってきた。


「何だ、そ、そうか!”剣気”が使えるなら、合格だ!」


 さっきからバジョットさんの汗が凄い。


「あれ?でも模擬戦で、バジョットさんに攻撃をかすらせないと駄目何ですよね?」


「は?え?いや、アレは...そうだ...最初は分かんなかったからな、お前が”剣気”の使い手だって事を!最初から”剣気”使えますって言ってくれりゃ俺も模擬戦なんて言い出さ無かったよ。だから、もう模擬戦はなしだ。」


 これで”合格”と”模擬戦なし”の言質はとった。


「ありがとうございます!」


 ペコリと丁寧にお辞儀をする。


「お、おぅ!」


 これで晴れて冒険者だ!

 所で”剣気”って何ですか?

 冒険者登録の話が2話に跨いでしまったので、続きを本日中にもう1本投稿します。


 また評価して下さった方々、ありがとうございます。非常に励みになります!

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