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4-2 「チェックメイト」

 青年の正体が明らかに...。

ー宗教国家エピクロス 首都ラミア 黒の大剣拠点 広間


「へぇ?君面白いね?今のを見て勝機があると思うの?」

 

 青年は笑いながらコチラを馬鹿にした様に言う。


 確かに青年の言う通り、さっきの動きは早過ぎて全く見えなかった。

 いや...超スピードだとかそんなチャチなもんじゃ無いだろう...。思わずありのまま起こった事を話そうとしてしまいそうになるレベルの出来事だった...。何せ世界最速レベルの剣士であるクリス姉ちゃんが見切れなかったのだ。

 でも私はコレ(・・)を知っている...。

 コレはきっと...漫画なんかで良くある時間停止能力(・・・・・・)だ!


「タネが分かれば造作もない事だ。」


 時間停止能力には弱点がある。

 それは...動けなくしてしまえばいいのだ。

 動けなくしてしまえばその場から動けないので、時間をいくら止め様が近付けない。

 そして動けなくしてしまえば、こちらが一撃与えるのも簡単だ。


「へぇ...。だったらやってみなよ!」


 青年は再び笑いを浮かべながら歩き、先程の位置に戻る。


 そしてヤスが再びコインを投げる。

 その瞬間私は不可視の牢獄(インビジブルジェイル)を発動し、青年を不可視の盾で取り囲む。

 これで青年は見えない盾に阻まれて移動出来ない筈だ。

 

 そしてコインが床に落ちる音が響く。


 ふっ...時間を止めても無駄(・・)よッ!

 あなたは詰み(チェックメイト)にはまったのよッ!


 が、次の瞬間青年は先程と同様に消える(・・・)


 なっ!嘘っ!?時間停止能力じゃないの!?

 って...!いけない!

 私は慌てて背中に不可視の盾(インビジブルシールド)を出現させる。

 不可視の牢獄(インビジブルジェイル)を使わないのは不可視の盾(インビジブルシールド)の方が構成がシンプルな為、発動速度が早いからだ。


 すると後ろから青年の声が聞こえて来る。


「なっ...何だコレ!?」


 私が振り向くと青年は見えない空間を叩いて立ち往生している。

 私は目の前の不可視の盾(インビジブルシールド)ごと『手刀』を放つ。

 するとチタンカーバイド製の『手刀』は不可視の盾(インビジブルシールド)諸共、青年の金属製の鎧の留め具を切断する。


 ガシャンと言う音と共に青年の鎧が外れ、床に転がる。


「流石黒騎士様ですっ!」


 ソフィが嬉しそうに私に近付く。


「よくアレを防いだわね...。」


 クリス姉ちゃんは感心して私の周りをマジマジと見る。


「なっ...ど、どうなってるんだ...?」


 私が不可視の盾(インビジブルシールド)を解除して既に何も無い空間を青年は手で触りながら言う。


「勝負あった様だな。」


「あぁ...。そうだね...僕の負けだ。まさか”黒の大剣”に”スライム殺し”以上の強者(つわもの)が居る何てね...。嬉しい(・・・)誤算だよ。」


 そう言うと青年は強ばらせていた表情を和らげ、にこやかな表情になる。


「あ...先ず初めに僕の名前はマルクス。

 クリスティーナ。さっきは本当にゴメンね。」


 そう言うとマルクスは人が変わった様にクリス姉ちゃんの方を向いて頭を下げる。


 一応常識はあったのね...。

 でも謝るのなら最初からやらなければ良いのに...。


「まぁ、いいわ。ただし、二度目は無いわよ。」


 クリス姉ちゃんはそう言うとレイピアの柄に手を置く。


「それと君の実力を疑ってゴメンね。

 でも少なくとも僕を倒せないと今回の依頼は達成不可能だから試させて貰ったんだ。

 で、依頼何だけど...実は僕も世界の戦争を終わらせ様と思っててね。

 今回はその手伝いをして欲しいんだ。」


 マルクスは先程までとは違って真摯な面持ちで話す。


 マルクス曰く。

 現在帝国とマルブランシュ王国の戦争は帝国側が有利に事を構えており、それに焦ったマルブランシュが一発逆転を狙う為、”古代兵器”の発掘を行っていたそうだ。

 そしてついにその”古代兵器”が発掘され、近々実戦投入されるとの情報をマルクスが掴んだそうだ。

 

「でも”古代兵器”何て今更持ち出しても戦争の役に立つのか?」


 ヤスがご(もっと)もな意見を述べる。


「今の文明は過去に栄えた文明が一度滅んで出来たもので、古代(・・)って言っても今よりも文明が低いとは限らないんだ。

 いや現に高い...。

 実は僕の能力で潜入して一度”古代兵器”を破壊しようと試みたんだけど刃が通らず、返り討ちにあって逃げて来たよ。」


 マルクスでさえも手が出ない程の兵器か...。

 そう言えばマルクスの能力をまだ聞いて居なかったな。

 と言ってももう心当たりはあるんだけどね。


「ところでお前の能力についてだが...それは転移(・・)能力なのか?」


 私はマルクスに単刀直入に尋ねる。


「ご明察。僕は行った事がある場所なら瞬時に移動する事が出来る。

 それと密着している物や人なら一緒に転送させる事も出来るよ。

 だからマルブランシュまでの足は僕に任せてよ!」


 マルクスは胸に手を当ててアピールする。


 転送(・・)も出来るのね...それは頼もしい。

 ん?転送(・・)...?確かアポスじいさんの話ではこの世界には”転送能力持ち”の転生者が居ると言う話だった。

 という事は...。


 私がマルクスの素性について思いを巡らせているとマルクスも同じ事を思ったのかマルクスが耳元で囁く。


(ところで君()転生者だよね?あんな魔法無いもん。)


〈お知らせ〉

 かなりストックがたまって来ましたので今後月、水、土曜の週3投稿に変更します。(仕事の関係等で忙しくなる場合はまた週2に戻します)

 ですので次回月曜投稿予定です。

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