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4-1 「初めての依頼」

 今話より4章が始まります。

ー宗教国家エピクロス 首都ラミア 黒の大剣拠点 茉莉花の部屋


 アリス教皇に”黒の大剣”の拠点を下賜されてから約1ヶ月が経った。

 私はこの1ヶ月間でロビー活動の一環として”黒の大剣”の存在をアピールしていた。

 幸い”黒の大剣”には”白銀の報復者ソフィ”と”清輝のクリスティーナ”と言う二大看板が居るお陰でその噂は瞬く間に広まっていった。

 最近はクリス姉ちゃんは”スライム殺し”などとも呼ばれているらしい...。何だか弱そう何だけどこの世界じゃスライムは最強生物何だよねぇ...。


 さらにはヤスの情報網を使って各国の情報を集めていた。

 この世界の戦争を止めるにあたって注意すべきはやはり帝国、そして次にマルブランシュ王国...。

 どうやらこの世界の戦争は主にこの二大大国が火種となっており、それに巻き込まれる形でその他の周辺諸国が嫌々(・・)参加させられている様な構図になっている様だ。

 つまりはこの二国の”戦争継続能力”を断てばこの世界の戦争は終わると言う訳だ。


 私がこれからの”黒の大剣”の事を考えていると自室の扉がノックされる。


 「黒騎士様。”黒の大剣”に直接依頼をしたいと言う方が来ています。」


 ソフィに呼ばれて私は広間へと向かった。






ー宗教国家エピクロス 首都ラミア 黒の大剣拠点 広間


 広間には既にクリス姉ちゃんなど他の”黒の大剣”メンバーが揃っていた。


「黒騎士様。この人が”黒の大剣”へ依頼したい事があると。」


 ソフィに促されて茶髪の16歳位の青年が前へ出る。


「ふーん。あんたが”黒の大剣”のリーダーか...。僕はてっきり”スライム殺し”がリーダーかと思ったんだけど...。」


 青年はクリス姉ちゃんの方に視線を送りながら不思議そうに言う。

 まぁクリス姉ちゃんのお陰で”黒の大剣”は有名になったと言っても過言ではないので、そう思われても仕方ないよね...。


「で、”黒の大剣”に直接の依頼とは?」


「緊急の依頼でね。ギルドを通してやりとりしてたんじゃ話にならないから直接来たのさ。

 ただ、その前に腕を見せて貰っていいかな?

 ”スライム殺し”の噂は聞いてるけど、自分の手で確かめないと気が済まない(たち)でね。」


 そう言いながら青年は腰のナイフの柄に手を添える。

 その瞬間ソフィとクリス姉ちゃんが身構える。


「あぁ待って待って。別に殺し合おうって訳じゃないんだ。

 実力を見たいだけだからこんな物騒な物は使わないよ。」

 

 青年はにこやかにそう言うと腰のナイフを外し、床に置く。


「ルールは簡単。僕に身体を触れられる前に一撃入れられれば君達の勝ちでいいよ。

 その場合は依頼内容の話をする。受けるか受けないかはその時判断してくれて構わない。

 ただ国家機密に関わる事だから、その場合は受けて欲しいけどね。

 まぁ、たぶん君達の目的からすれば受けざるを得ないと思うけどね。」


 青年はそう言うと意味深に笑う。

 私達の目的って戦争終結に関わる話って事?

 ともかくこの人に勝たないと話は聞けない訳か...。

 私は青年の前へ出る。


「君がやるのかい?舐めないで欲しいな。クリスティーナが来た方が良いんじゃないかな?」


 青年は私を一瞥し、溜息を付きながら言う。


「いいわジャズ。私が行くわ!」


 すると指名を受けたクリス姉ちゃんが前へ出る。


「あぁ、クリスに任せよう。」


 私の武具錬成は殺傷能力が高いので、こういった模擬戦は苦手なので助かる。



 そして、”黒の大剣”のメンバーに囲まれた中でクリス姉ちゃんと青年が対峙する。


「じゃあ俺がコインを投げるから、コインが地面に着地したと同時に勝負開始だ。」


 そう言ってヤスがコインを投げる。


「ふふ...良かったよ君で。あの黒いのじゃつまんないからね。」


 青年はそう言い残すとコインが床に着地する音と共に消えた。

 

 え!?ど、どこに?


 私は辺りを見渡す。


「きゃぁっ!!」


 クリス姉ちゃんの悲鳴が聞こえて来たので私はクリス姉ちゃんの方を見る。

 するとクリス姉ちゃんは青年に背中から抱きつかれ胸を鷲掴みにされていた。


「くっ...!」


 クリス姉ちゃんが青年の腕を振りほどいて距離を取って(うずくま)る。


「凄いね。想像以上の胸だ。その顔でこの胸って反則じゃない?

 まぁ実力に関しては想像以下だけどね。」


 青年は悪びれる様子も無く、腕に残るクリス姉ちゃんの胸の感触を確かめる様にワキワキと指を動かす。

 そんな...クリス姉ちゃんが何も反応出来ずに背後を取られるなんて...!


「そんな...ジャズにもまだ揉んで貰って無いのに...!?」


 クリス姉ちゃんが蹲りながら両手で自分の胸を抱き締めて言う。

 そっち...!?


「黒騎士様。私が。」


 すると今度はソフィが名乗りを上げる。

 いやダメだ。今度はソフィがあのセクハラ野郎の餌食になってしまう...!


「待て。我が行く。」


「へぇ?もしかして怒った?

 でもそう言うルールだからね。

 身体に触れる(・・・・・)って言った時、君達は触れる場所を指定されていないだろう?」


 青年は両手を広げてルールである事を強調する。

 私は前へ出て青年を正面に見据えて対峙する。


「あれ?もしかして恋人だったりした?

 だとしたらゴメンね。クリスティーナは特定の男を作らないって噂だったからさぁ。

 あ、でもそれなら止めといた方がいいよ?

 恋人に格好悪い所見せたく無いだろう?

 僕は男には容赦無いよ〜。だって男の胸なんて触っても楽しく無いしね!」


 青年はペラペラと捲し立てる。

 クリス姉ちゃんは「こ、恋人...!」とモジモジしながら反芻しているので放っておいても大丈夫だろう。

 青年は特に煽って来る様な言い方では無く、自分に相当の自信があるらしく、真剣にこちらを気遣っている様だった。


「ほぉ。まるで我が負けるのが前提の様な言い草だな。」


「え?だってあんたの傭兵団の実力No1が何も出来ずに負けたんだよ?

 お飾り(・・・)のリーダーに一体何が出来るんだい?」


 なるほど...。この青年は私がお飾り(・・・)でリーダーをやっていると思っているんだ...。


「ふっ。なら試して見るか?」


 次回土曜投稿予定です。

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